筆者の見解
連合という発想の限界と、反復された挑戦
この構想の核心は、単独では宅急便に追いつけない日本通運が、規模で優る国営の郵便事業と手を組むことで劣位を一気に挽回しようとした点にある。共通ブランドの検討にまで踏み込んだ野心の大きさは、裏を返せば、当時の日通が置かれていた劣位の深さを物語っていると推察される。ただ、国営事業との提携は独占禁止法や公正性の観点から反発を招きやすく、実務レベルの協議がどれほど詳細に積み上げられても、政治的・制度的な壁の前では脆さを抱えていたといえる。
結局、2000年前後のこの構想は正式な合意に至らないまま立ち消えとなったが、郵政との連合という発想自体は消えなかった。2007年の統合合意を経て2009年にJPエクスプレスとして具体化した際も、事業は早期に行き詰まり、日本通運は出資比率の引き下げに追い込まれた。同じ発想が形を変えて繰り返し試みられ、そのたびに行き詰まる構図は、宅配便市場における日通の構造的な劣位が、9年という歳月でも解消されなかったことを示している。
Yutaka Sugiura, 2026年7月