この判断の核心は、経営破綻ではなく業績の低迷という段階で、独立をできるだけ残したまま巨大グループの内側へ移った点にある。トヨタは持ち分法や役員派遣を避け、スバルブランドも残した。資本の論理をむき出しにせず、機が熟すまで待つ——ダイハツや日野自動車を数十年かけて子会社化してきたトヨタの流儀が、ここでも貫かれていると思われる。中堅にとっては、支配される手前で踏みとどまりながら後ろ盾を得る、綱渡りに近い選択であった。
もっとも、独立と依存の境目は固定されたものではない。トヨタは2019年に出資比率を20%へ引き上げ、富士重工業改めスバルを持ち分法適用会社とした。2008年に引いた"支配しない"という一線は、十数年をへて静かに書き換えられた。GMからトヨタへと後ろ盾を乗り換えた中堅が、どこまで自らの色を保ち、どこから系列の一部となるのか——BRZと86に象徴される協業と、じわりと高まる出資比率のあいだで、その問いはなお残されているのだろう。