SUBARUの直近の動向と展望

/

SUBARUの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。

セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。

直近の動向と展望

関税下で営業利益1000億円を死守する計画

2025年5月、SUBARUは2026年3月期の営業利益目標として1000億円水準の確保を最優先課題に掲げた。米国トランプ政権による日本製自動車への追加関税の影響を年度を通じて受ける前提で、何も対策を講じなければ25億ドル超という負の影響を受けるとの見通しを経営陣が開示した。販売台数の上積み、車種グレードミックス改善による台あたり収益の向上、販売奨励金の抑制、原価低減という複数の打ち手を組み合わせた収益確保策を進めている。営業利益1000億円は経営の意思として達成すべき最低水準であり、そこから更なる収益の上積みを目指す姿勢を経営陣が表明している。中堅独立系メーカーの生存戦略を示す目標水準となった。

2026年3月期の米国インセンティブの通期実績は1台あたり2000ドル水準まで上昇し、前年の1200ドルから800ドル増える厳しい環境が続いている。生産体制については矢島工場でのBEV生産に向けた工事にともなう一時的な生産制約で約10万台の生産台数の減少が発生するが、国内他工場と米国工場の活用で90万台規模の生産を狙う計画である。新型フォレスターの米国工場生産への移管と新型アウトバックの国内工場への生産移管という日米間の生産体制の最適化を同時並行で進めている。社長の大崎篤は「電動化を急加速させる」(上毛新聞)方針を示し、現場経験の長い技術者らしく工場再編の実行を自ら指揮している。

参考文献
  • 決算説明会 FY24通期 2025/5/14
  • 上毛新聞
  • SUBARU経営計画資料
  • プレスリリース 2025

BEVとトヨタ協業が描く次のブランド軸

2025年から2026年にかけてSUBARUはトヨタ自動車との協業関係を深め、両社の共同開発による新型BEVの市場投入を進めている。2025年春発売のフォレスターSHEVに続き、クロストレックSHEVと新型アウトバック、そしてトヨタとの共同開発による新型BEVの投入が計画されており、SHEVとBEVの二面体制による電動化戦略を進めている。SUBARUが長年積み上げてきた低在庫・低インセンティブ・高残存価額というビジネスモデルの好循環を電動化時代にも維持することが、北米を最重要市場に位置づける経営陣の最大の戦略課題となっている。BEVの量産ラインを矢島工場に新設する判断は、中島飛行機の群馬県太田の地で航空機から自動車、そして電動車へと事業の重心を移す動きの最新の局面である。

研究開発支出は2025年3月期の1600億円から2026年3月期の1400億円へと一時的に減る見通しだが、これは新型ICEとSHEVとBEVの同時並行開発が一巡したことによる通常水準への回帰であり、関税影響との関連性は一切ないとの見解を経営陣が示している。株主還元についてはDOE3.5%と総還元性向40%を掲げる方針を堅持しつつも、日米関税交渉の長期化の懸念を踏まえて自己株式取得の実施判断を一時的に保留する慎重な対応を取っている。1953年の富士重工業設立から70年を超えるSUBARUは、関税、電動化、運転支援技術という三つの転換点を同時に迎え、水平対向とAWDを核とする独自の経営哲学が新しい時代にも通用するかが焦点となる。

参考文献
  • 決算説明会 FY24通期 2025/5/14
  • 上毛新聞
  • SUBARU経営計画資料
  • プレスリリース 2025

参考文献・出所

有価証券報告書
富士重工・社史 1984/7
ダイヤモンド 1955/3/21
経済展望 1961/3/1
週刊野田経済 1963/12
ダイヤモンド 1965/4/26
ダイヤモンド 1968/5/27
決算説明会 FY22
決算説明会 FY24通期 2025/5/14
上毛新聞
SUBARU経営計画資料
プレスリリース 2025
決算説明会 FY24通期
プレスリリース