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株主提案への対応
株主提案への応じ方は、排除から交渉へ移った。1989年、小糸製作所はブーン・ピケンズ氏から取締役選任と増配を迫られたが、系列の安定株主が持株を動かさず要求は通らなかった。2007年のブルドックソースは新株予約権の無償割当でスティール・パートナーズの公開買付けに対抗し、電源開発は英TCIの買い増しを外為法の中止命令で退けている。2015年のコーポレートガバナンス・コードが機関投資家に議決権行使の説明を求めると、安定株主という前提が崩れた。2021年、東芝は永山治氏の取締役再任を総会で否決される。以後、オリンパスはバリューアクトを取締役に迎え、住友商事はエリオットの株式取得を受けて株主還元を積み増した。拒んだ側の花王もソニーも、退ける理由を計画の数字で示している。提案の可否は防衛策の設計ではなく、資本配分の説明が決めるようになった。
財務諸表のどこを見るか
まず「株式等の状況」の大株主の状況で、上位株主の顔ぶれと保有比率が期をまたいでどう入れ替わったかを追う。次に株主総会後の臨時報告書にある議決権行使結果を読む。議案ごとの賛成・反対・棄権の個数が載るため、取締役選任議案の賛成比率の低下が提案の圧力の強さを示す。コーポレート・ガバナンスの状況等では買収防衛策の有無と社外取締役の員数を確かめ、対応の中身は剰余金の配当と自己株式の取得の実績で裏を取る。
2020年代
英パリサーのABF要求 株主が突きつけた「価値向上プラン」と、事業価値の顕在化を迫る圧力 イオンとの資本提携解消 創業家が主導した買収防衛策の導入と、独立経営への回帰 坂井一也氏への社長交代 アクティビストの圧力下で踏み切った森下一喜体制からの刷新 村上ファンド系による株式取得 突きつけられた増配と自己株取得の要求への対応の決断 KKRによる非公開化 多角化の主導者を株主が退けた末の、市場からの退出の受け入れ オアシスの要求に対応 統治改革要求を受け入れた監査等委員会設置会社への移行 エリオットの大株主入り 「FUSION30」の資本政策転換 オアシスの株式取得 アクティビスト・ガバナンス改善要求 デジタルガレージへ出資 約500億円の追加出資と持ち分法適用会社化、その半年後に生じた449億円の評価損 エリオットの自社株買い要請 3,000億円規模の要請を受けた、累進配当・総還元性向40%への転換 清水賢治以外の取締役総退任 性加害問題を受けた刷新と、コンテンツを軸に据え直す立て直し 3Dの経営批判に対峙 コングロマリットディスカウント論と社長再任反対キャンペーンへの反論 KDDI株売却と計画撤回 中期経営計画の取り下げと、非中核事業の整理 ギャランツ圧力下で防衛策廃止 自己株式取得・増配による株主還元への切り替え 米ファラロンの株主提案 社外取締役2名選任と政策保有株売却の要求に対する、全議案の否決 エリオットの株主提案 アクティビスト・住友不動産の対応 ダルトンの株主提案を拒否 全面拒否を貫いた第119回総会と、離れていった安定株主の一部 3Dの株主提案で不動産切出し 外部からの要求を受けた事業再編と、ビール本業への経営資源の集中 ツルハホールディングスと統合 統合に伴う傘下入りと、独立した上場企業としての幕引き オアシスの株主提案対応 物言う株主の要求を退け、中期経営計画K27を堅持する選択 星光PMC株式売却で資産圧縮 液晶材料事業からの撤退と、美術品の売却まで含めた資産の圧縮 エリオットの株式取得 中期経営計画2026での株主還元強化 大和証券と資本業務提携 証券大手を引受先とする519億円の第三者割当増資による資本の受け入れ エリオットの資本効率要求 資産リサイクルの加速と株主還元の強化 村上ファンド系の株式取得 不動産の含み益をめぐって強まる株主圧力への対応と資本政策の見直し オリエンタルランド株を売却 保有株の一部を手放すことによる資本配分の見直しへの着手 エリオットの株式取得 5%の株式取得を背景に突きつけられた不動産売却要求への対応 KKR系TOBで上場廃止 公開買付けへの賛同表明と、東証プライム市場からの退出 シルチェスターの提案否決 特別配当を求める株主提案の否決 バリューアクトが株主提案 株主提案を契機とするコンビニ事業を軸とした企業集団への収斂 JICのTOBで非公開化 産業革新投資機構によるTOBの受け入れと、東証プライム市場からの上場廃止 大手門のTOBで上場廃止 創業家による総額7,100億円のMBOと上場廃止 村上系への買収防衛策 大量取得に対する有事型の対抗措置とMoM決議、岩谷産業を迎えての決着 日本産業パートナーズに買収 国内連合による約2兆円の提案受け入れと、株式の非公開化 エリオット保有下の自己株式取得 「経営の基本方針」への転換と5年3,000億円の自己株式取得 米フォートレスへ売却 コンビニ集中のための百貨店切り離し 会社分割案の株主総会否決 2分割で自力再建を図る構想の提示と、支持を得られぬまま迎えた2022年の破談 オアシスのキャンペーン開始 「より「強い」北越」を掲げた外部からの経営改善要求 永山治議長の再任否決 エフィッシモの株主提案による独立調査と、経営陣への信任の否定 エフィッシモの公開買付け 投資ファンドの支配的株主への台頭と、経営の主導権の移り変わり IFP事業売却提案を退ける 英運用会社による6,000億円の自社株買い要求の拒否と、多角化路線の堅持 AVIが株主提案 増配・自社株買いと、ヒューリック政策保有株の売却を迫る要求 RMBキャピタルとの委任状争奪戦 株主提案を退けた大江体制の維持と、自前の経営陣による防戦 975社分の議決権再集計 行使書の先付処理の廃止と、過年度にさかのぼる誤集計の自主公表 レノの臨時株主総会請求 株主側が突きつけた全取締役の解任要求に対する現経営陣の対抗 エリオットの株主還元要求 4.5兆円資産売却・2.5兆円自社株買い
2010年代
サードポイントの事業分離要求 物言う株主の切り出し要求を退けたうえでの一体経営の堅持 オアシスと合併比率対立 株式交換による2社の経営統合の押し切りと、条件をめぐる攻防 バリューアクトの受入れ 物言う株主を経営に招き入れたうえでのメドテック企業への転換 エフィッシモ受け自社株買い 大株主の保有目的転換を受けた大型自社株買いと資本効率重視への旋回 エフィッシモの大量保有受入 筆頭株主の長期保有の受け入れと、社外取締役の招請による統治の見直し 日本農薬の連結子会社化 1928年に分離した相手を公開買付けと第三者割当増資で51%まで戻す資本の再結合 オアシスの経営改善要求 「A Better Pasona」への応答——株主提案を退けての南部体制の維持 昭和シェル合併に対抗し増資 合併に反対する創業家の持株比率を薄める3割の公募増資 鈴木敏文退任と井阪隆一昇格 カリスマ会長の退任にともなう、社内昇格による新体制への移行 SR部新設と配当性向倍増 専任部署の設置を伴う、株主還元と情報開示に対する方針の転換 サーベラスのTOB阻止 TOB阻止と東証一部への再上場 イオン・森トラストの要求拒否 大株主連合による経営支配要求の拒否と、平野秀一社長の退任 TKHDによるMBO非公開化 解散価値を下回る価格での株式公開買付けと、ジャスダック上場の廃止 日本政策投資銀行へCB発行 森トラストの増資提案の見送りと、150億円の資金調達先の選び直し
2000年代
日本興亜損保との経営統合 NKSJホールディングス設立による持株会社体制への移行と、単独路線の放棄 楽天の統合提案拒否 異業種からの経営関与を退けたうえでの認定放送持株会社への移行 サウスイースタンの反対 筆頭株主による社長再任反対と、経営統合をめぐるOB株主の反対 英TCIの買い増し阻止 外為法の中止命令と株主提案の否決による海外ファンドの排除 スティールへの買収防衛策 買収提案に対する事前警告型ルールの導入と、株主意思による是非の確認 スティールへの買収防衛策 TOBに対する新株予約権無償割当の実施と、経営権を守る姿勢の明示 HOYAとの合併撤回 白紙化に伴う社長の解職と、最後に受け入れることになったTOB 阪神電気鉄道を完全子会社化 TOBと株式交換による経営統合と、阪急阪神ホールディングスへの商号変更 新日本無線の子会社化 公開買付による株式取得と、連結子会社としての取り込み ニッポン放送の完全子会社化 ライブドアによる株買収に対抗しての、系列の要の囲い込み 村上ファンドへ買収防衛 物言う株主の接近に晒された局面での経営権の維持と防衛