東京放送は最後まで、楽天の統合提案を事業の論理で拒んだ。井上弘社長の、事業で下から積み上げたい、株を買って上から来ようとする、という対比は、放送は積み重ねで築くものだという事業観の表明であった。ところが決着をつけたのは事業ではなく、認定放送持株会社という放送法の制度である。一株主の保有を33%で頭打ちにする仕組みが、1,200億円を投じた楽天の道をふさいだ。
もっとも、支配権を守ったことと、楽天が突きつけた問いに答えたこととは別である。ネットと放送の融合をどう自らの事業へ取り込むかという問いに、東京放送が事業の側から答えを出したわけではない。攻防が終わった2009年3月期の連結純利益は17億円まで落ち、翌期は最終赤字を計上した。制度で囲い込んだ支配権の内側で、地上波広告に依存する本業の稼ぐ力はすでに減少していた。守りきった代償は、成長の道筋を自ら描き直すという課題として残ったといえる。