買収と統合
10の経営論点・668事例
日本企業のM&Aは「救済の器」から「成長と支配権の武器」へ変わった
高度成長期まで、合併は過当競争の整理と救済の手段であり、筋書きを描いたのは銀行と国。
2000年代の再編で経営の選択肢となり、いまは海外買収と同意なきTOBで企業価値を問う武器になっている。
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〜1960年代:統制と救済の器(収録した決断 51件)
戦時統制で銀行・電力・鉄道が束ねられ、戦後も合併は過当競争を抑え、行き詰まった会社を救う国の道具として働いた。
- 1942年 東急 「大東急」の形成:戦時交通統合による戦後の解体
- 1966年 日産自動車 プリンス自動車との合併:同業他社の取り込みによる、乗用車事業の一段の規模拡大
- 1968年 王子HD 十條・本州合併の撤回:旧王子3社の合併覚書の取り下げと、同業を一社ずつ吸収する路線への転換
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1970〜90年代:国と銀行が描く再編(収録した決断 97件)
八幡・富士や第一勧業の大型合併、安宅産業の救済と、筋書きは国とメインバンクが描いた。海外の名門買収は高い授業料に終わった。
- 1970年 日本製鉄 八幡と富士が合併:鉄鋼二社の統合による新日本製鐵の誕生(1970年成立)
- 1977年 伊藤忠商事 安宅産業の救済合併:「39年の恩」に応えた経営破綻企業の引き受け
- 1989年 ソニー コロンビア映画を買収:CBSレコードに続く連続買収と、ハードとソフトの垂直統合
- 1990年 パナソニック 米MCA買収し5年で売却:7800億円を投じた大型買収から短期で手を引く、方針の転換
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2000年代:生き残りの再編(収録した決断 188件)
金融危機の後、銀行・鉄鋼・製薬が自ら相手を選んで統合した。救済の受け皿は国から産業再生機構とファンドへ移った。
- 2000年 みずほFG 第一勧業・富士・興銀統合:3行が一つの傘の下に入り、2000年に成立した金融グループ「みずほ」
- 2002年 JFEHD 川崎製鉄とNKKの統合:2002年に成立した日本鋼管との経営統合と、JFEホールディングスの発足
- 2004年 ダイエー 産業再生機構の支援:自力での再建を断念し、公的な枠組みに委ねた経営の立て直し
- 2005年 第一三共 三共との経営統合:国内2社の対等な結合による第一三共の誕生と、単独路線の放棄
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2010年代〜:成長と支配権の武器(収録した決断 332件)
兆円規模の海外買収で時間を買い、同意なきTOBと非公開化で「誰が経営するか」を問う。M&Aは経営そのものの武器になった。
- 2016年 ソフトバンクG 英ARM買収で最大M&A:IoT・AI時代を見据えた3.3兆円という過去最大規模の投資
- 2019年 武田薬品工業 シャイアーの買収:自前創薬の細りを埋める6兆2,133億円の買収
- 2019年 伊藤忠商事 デサントへの敵対的TOB:同意なき買付けによる議決権の25.5%から40.0%への引き上げ
- 2023年 東芝 日本産業パートナーズに買収:国内連合による約2兆円の提案受け入れと、株式の非公開化