上場企業の経営論点>M&A・業界再編
買収・合併後の統合
日本の経営統合は、商号と持株会社を決めた時点で終わったように見える。実際に難しいのはその後で、どちらの仕組みに寄せるかを決めなければ二つの会社が並んだままになる。さくら銀行、DDI・KDD・IDOを一社に束ねたKDDI、コニカミノルタ、光洋精工と豊田工機のジェイテクトは、いずれも合併そのものより後の一本化に年月を要した。花王は4,100億円でカネボウ化粧品を取得して後発から国内2位へ進み、日本板硝子はピルキントン出身者を社長に据えて委員会設置会社へ移った。買った側の流儀を通すか、買われた側の仕組みを採るか。この選択が統合の成否を分けてきた。
財務諸表のどこを見るか
統合が実務まで進んだかは、セグメントの区分に現れる。買収した事業が独立したセグメントのまま残っていれば別会社として運営されており、既存セグメントへ吸収されていれば一本化が進んでいる。従業員数と平均年間給与の推移では、両社の処遇差がいつ揃ったかを追える。のれんの減損は統合の失敗が数字になった瞬間で、注記の減損の経緯に理由が書かれる。システム統合の費用は特別損失に一時に立つことも、無形固定資産として資産計上されることもある。
2020年代
芦森工業をTOBで買収 シートベルト大手を傘下に収める完全子会社化 米Fictiv買収で加工事業獲得 北米のオンライン加工事業の獲得と、meviyとの統合 ソフィアの子会社化 持株会社ごとの取り込みによる、エース電研の傘下入り ケーヨーの完全子会社化 持分法適用だった関連会社の全株取得と、本体への吸収合併 ピーエス三菱をTOBで買収 垂直統合M&Aの始動 昭和電工マテリアルズとの統合 レゾナックへの社名変更を伴う二社の一体化と経営基盤の再構築 SHIFTグロースキャピタル設立 専門会社の設置による連続M&Aと買収後統合の仕組み化 エスコーツの子会社化 インド農機大手への最大約1,406億円の出資 NTT Ltd.との海外事業統合 規模の倍増と、有利子負債1.7兆円の引き受け 夢真HDを吸収合併 現金を使わず株式だけで行う統合と、2年後に両社の名を社名から外す決断 カーマ・ダイキら5社合併 ホームセンター事業会社5社の吸収合併によるDCM株式会社の発足と、店名の「DCM」への統一 ジェイ・エー・エー子会社化 完全子会社化と併せて踏み切ったHAA神戸会場の減損188億円の計上 富士エレクトロニクス吸収合併 並立していた事業会社の統合と、一つの運営体制への一本化 MACROKIOSKからの撤退 マレーシアで抱えた子会社の全株式譲渡と海外事業の整理 セイコーエレベーター子会社化 地域保守会社の連続買収と吸収合併による全国保守網の構築
2010年代
デマーグクレーン事業の取得 米テレックスからのドイツ生産拠点の集約 JACアジア法人を子会社化 業務提携で結んでいた海外拠点の連結化と、アジア展開の直営化 ホーク・ワンを買収 273億円を投じた、戸建の供給力を一段引き上げる規模の取り込み 東和信用保証を子会社化 地方金融機関系の信用保証会社の連続取得によるグループ化 富士通エレクトロニクス買収 約205億円を投じた、売上5,000億円級グループへの規模拡大 コインチェックの買収 NEM流出事件を起こした暗号資産交換業者の36億円での取り込み 三菱樹脂・レイヨン統合 傘下事業会社3社を1つにまとめた単一の化学会社の発足 東燃ゼネラルと統合 統合会社JXTGホールディングスの発足による国内元売りの再編 ソニーの電池事業を譲受 リチウムイオン二次電池の取り込みと、8年続いた構造改革の帰結 ユニーグループの吸収合併 サークルK・サンクスの自社ブランドへの一本化と店舗網の統合 リプライスの完全子会社化 同業の全株取得による、中古住宅買取再販での首位規模の確保 フンザを115億円買収 モンスト一本足からの脱却を狙ったチケット売買事業への参入と、その閉鎖 壱番屋をTOBで買収 買収を足がかりにした外食事業への進出と、川下への広がり 独BKギウリニの取得 水処理薬品事業の取得を起点とする、欧米連続買収での海外事業の拡大 パイオニアAV事業の取得 投資ファンドを交えた当初スキームの組み替えと、全株取得への切り替え ミスターミニット買収 創業50周年を機に踏み切った、スーツ一本足からの脱却 加瀬豊の有利子負債圧縮 有利子負債1兆5000億円の圧縮と旧二社の組織融合という10年の再建 独メテオール社の資産譲受 シーリング事業の欧州拡張と、5年後の連結除外 安藤建設と合併 同業との一体化と、株式会社安藤・間としての再出発 BTPNの子会社化 インドネシア——40%出資から現地二行統合までの6年 角川書店ら9社を吸収合併 持株会社傘下の事業会社を吸収合併し1社に束ねる組織の一本化 米FCTIの買収 米国のATM運営会社の取り込みによる、初めての海外市場への進出 櫻田謙悟氏の社長就任と損保2社合併 2期連続の赤字を受けて発足時のCEO体制を解き、事業会社2社を並存させる建付けを捨てて合併と一体化運営へ踏み込んだ選択 TMD Frictionの買収 欧州のブレーキ摩擦材大手の全株式取得と、その完全な傘下入り CSKとの合併 株式会社SCSKへの商号変更を伴う、新たな体制での再出発 カテナ吸収合併と商号変更 合併した二社を「システナ」の新社名の下に一体化する再編 ライブドアの買収 63億円を投じた検索サービス「NAVER」への取り込み NEC・ルネサステクノロジ統合 国内半導体2社を一本にまとめた、現在の会社としての成立 ヒロセコリアの完全子会社化 29年続いた韓国合弁の段階的な買い増しと、単独支配への移行 モルガン・スタンレーと証券合弁 米投資銀行と組んだ、日本国内の証券事業を担う合弁会社の設立
2000年代
デオデオがミドリ電化吸収合併 事業会社を東西2社へ集約後に持株会社が吸収合併、純粋持株会社体制から単一運営体制への移行 ジークレストを完全子会社化 オンラインゲーム子会社の全株取得による課金事業の取り込み am/pmジャパンの買収 買収による店舗網の取り込みと、自社ブランドへの看板の一本化 英Eidosの完全子会社化 13年後のEmbracerへの売却 三菱化学の機能材料事業承継 グループ3社との合併を通じた機能材料への事業構成の寄せ ピルキントン出身者を社長起用 買収先出身者と外部招聘による外国人社長2代の起用と委員会設置会社への移行 独デマーグなど5社買収 欧州機械メーカーを続けて取り込む5社連続取得 独EPCOSの買収 受動部品・センサー領域への事業補完 ビクターのサーキット事業譲受 他社事業の譲り受けによる自前主義から外部成長への転換 リズム買収で輸送機器参入 同業の買収を足がかりとした新たな事業領域への進出 ソーテックの子会社化 パソコン事業への参入と、量販店向け販売からの撤退 カネボウ化粧品の買収 約4,100億円を投じての、後発から国内2位への一気の浮上 クリスタルグループ買収 請負最大手を投資ファンド経由で取り込む一方でのデューデリジェンスの省略 光洋精工と豊田工機の合併 軸受と工作機械の統合による新会社ジェイテクトの誕生 マルアイなど3社を取得 乾物メーカー3社の全株式を44億5000万円で取り込む買収 SUMCOへ商号統一 旧社名を捨てた商号の一本化と、東証一部上場による資本市場入り エスエス製薬の事業承継 吸収分割による医療用医薬品事業の譲り受けと品ぞろえの拡充 バンダイとナムコの統合 共同持株会社の発足と、両社を一体で束ねる経営体制への移行 岩田屋をTOBで子会社化 連結子会社化を選ぶ一方での、丸井今井への出資の見送り 雪印物流・東急ロジスティック買収 大企業が手放すノンコア物流子会社の受け皿という成長モデルの確立 サークルKとサンクス統合 2つのコンビニチェーンを1社にまとめる統合新会社の発足 ドレーク・ビーム・モリン買収 不況期の新たな収益源を求めた企業買収による事業の上積み m3.comへ統合 並行して運営していた二つの医療情報サイトを畳んでの一本化 ミノルタとの経営統合 株式交換方式の採用と、両社を束ねる持株会社の設立 ヴァージン・シネマズ買収 シネマコンプレックス網の取り込みによる映画興行の自社一元化 興亜火災海上保険との合併 三社統合構想の破談と、残る2社での合併による再出発 三社合併でクラヤ三星堂発足 医薬品卸3社の対等合併と、これに伴う本店の東京移転 DDI・KDD・IDOの合併 長距離・国際・携帯を1社に束ねた総合通信事業者の発足
1990年代
1980年代
1970年代
1960年代
M&A・業界再編のほかの問い
- 海外企業の買収 182
- 外資の傘下入り 33
- 合併と経営統合 220
- 同意なき買収への対応 30
- MBO による非公開化 24
- 連続買収による成長 99
- 救済型の買収 75
- 破談と白紙撤回 38