伊勢丹が岩田屋に投じた追加取得額は3,077百万円で、受け入れた固定資産47,996百万円に比べれば小さい。岩田屋が抱えていた現金は5,828百万円あり、連結のうえでは2,750百万円の収入超過となった。議決権の所有割合も過半に満たぬ43.1%にとどまり、有報は「持分は100分の50以下でありますが、実質的に支配しているため連結子会社としたもの」と記すにすぎない。買い取ったというより、債務保証と運転資金の貸付で支えてきた関係を、支配へ一段進めた手続きに近い。
岩田屋はその後も福岡証券取引所への上場と有価証券報告書の提出を続け、連結売上高の10%を超える規模を保った。看板ごと塗り替える完全子会社化を取らず、地元の店として残したまま仕組みだけを移したことになる。連結の初年度にあたる2006年3月期、百貨店業の売上高は127,619百万円増加し、販売費及び一般管理費も28,062百万円増加した。数字の上では規模の拡大だが、伊勢丹が得たのは売り場と業務の型を外へ移せるという確かめであったのだろう。その型は2007年3月の東急百貨店との包括的業務提携へ続き、2008年4月の三越との株式移転で伊勢丹自身の連結決算は幕を閉じた。