2003年、伊勢丹は売場の床を広げる方針をとらず、1968年開業の館の中身だけを組み替えた。ブランドごとに仕切られた区画を解き、売り場をどう編集するかの権限を百貨店の手元へ引き戻す改装であり、ブランドホルダーは武藤信一社長に対し、失敗した場合に元の姿へ戻す保証を求めた。床を増やさずに改装しても当たらないというのが当時の通説で、見通しの立ちにくい方へあえて踏み出した工事であり、男性が来店者の53%を占めるという成果はその後に付いてきた。
もっとも、同じ手が婦人服で通るかは、この時点では決まっていない。婦人フロアの自主編集売り場は観測にとどまり、著名ブランドの力はなお絶大で詳細は煮詰まらず、一体再開発の構想も松竹の先行発表で流れた。新宿本店が単体売上高の57%を占める偏りは、本館へ150億円を投じるほど強まる。それでも2年分の伸びを捨てられたのは、優待率10%と7%の客30万人がアイカードの買い物1,900億円を支え、一時の売り場閉鎖では離れないと読めたからだろう。