IP軸戦略の要点は、新しい事業を足すことよりも、すでに持っていた玩具・ゲーム・映像を一つのキャラクターの下で編み直したところにあったといえる。統合が生んだ縦割りは、二つの会社を並べたことの副作用であった。石川祝男社長が担当役員制と戦略会議で試みたのは、組織を再編するより先に、IPという共通言語で部門をつなぎ替えることであったと思われる。ドラゴンボールの復活は、その仕組みが具体的な数字に転じた象徴的な事例といえる。
一方で、成長の中心が定番の大型IPに依存する構図は、この戦略の裏面でもある。ガンダムやドラゴンボールという強力な資産があってこそ横断展開は回るが、次の収益源となる新規IPを同じ密度で生み出せるかは別の課題として残る。田口三昭社長・川口社長がそろって新規IPの創出を最重要に挙げ続けている事実は、IP軸戦略が到達点ではなく、絶えず苗木を植え替えねば維持できない仕組みであることを示しているのだろう。