筆者の見解
借入で規模を拡大するという設計
この判断の核心は、2005年のクロスセルで作った収益モデルを、大型店への転換によって規模へ変えた点にある。クロスセルが1台あたりの粗利をどこに置くかという収益の質の設計だったのに対し、2015年からの大型店化は、店舗をどこまで広げ、その資金をどう賄うかという規模と財務の設計であった。広田靖治社長は、用地と建屋の取得を借入で賄い、自己資本比率の低下を受け入れてでも、成長の速度を優先した。財務レバレッジを引き上げて規模を買う判断であっただろう。
規模を借入で買う設計は、需要が伸びるあいだは強い成長エンジンになる。だが、重い固定資産と有利子負債を抱えた身は、市場が変調すれば一転して重荷になりうる。中古車という実車を見たい需要に経営資源を集中した大型店フォーマットが、その投資に見合う集客と収益を保ち続けられるか。そして、膨らんだ借入と薄くなった自己資本を、成長のなかでどう立て直すか——大型店化は、規模という果実とともに、財務の健全さをめぐる問いを同社に残したといえる。
Yutaka Sugiura, 2026年7月