この判断の核心は、会員を増やしたことよりも、増やす場所を1つに決めたところにあったとみられる。ソネット・エムスリーは自力で医師を集めるだけでなく、ウェブエムディと親会社から医療情報サイトを買い足して規模を作った。買い足しで育った会社が陥りやすいのは、譲り受けたブランドをそれぞれ残し、会員も収益も並列に管理する運営である。谷村格社長がとったのは逆の手で、看板を畳み、会員が戻ってくる場所を1枚のトップページに固定した。
もっとも、入口を絞る選択は、そこが詰まったときの代替を持たないことでもある。会員が別の場所で情報を得るようになったとき、この構えがどう働くかは今後の課題として残る。買い集めた資産を統合するか併存させるかという問いは、事業の入口をどこに一本化するかという問いでもあった——2003年の選択は、その関係を早い時期に示した例といえる。