クックパッド の歴史

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創業 1997年
創業者 佐野陽光
創業地 神奈川県藤沢市
創業
1997年10月、佐野陽光氏が神奈川県藤沢市で有限会社コインを設立した。受託開発を収入源に、翌1998年3月に料理レシピの投稿・検索サービス「kitchen@coin」を始め、1999年6月に「クックパッド」へ改称する。献立を生活者自身に書かせる投稿型を選び、無料で集めた投稿の厚みをそのまま検索の精度に変えた。2002年に広告、2004年9月に月額294円の有料会員を重ね、同月に株式会社へ組織変更する。ただし当初の月500円の課金は2か月あまりで撤回しており、価値と規模を先につくる順序は試行錯誤の末に定まった。
決断
経営の舵は、最後には創業者が握る4割超の議決権に従ってきた。2012年5月、佐野氏は代表執行役を退任し、カカクコム元社長の穐田誉輝氏に経営を託し、習い事・海外レシピ・結婚情報へ約2年で90億円を投じる多角化が始まる。売上高は39億円から168億円へ4倍に伸びた一方で利益は追いつかず、料理への集中を求める佐野氏との路線対立が深まった。2016年3月、佐野氏は株主提案と委任状争奪戦を経て穐田氏を社長の座から退ける。プロ経営者を招いても、持分が創業者に偏る限り路線の最終決定権は移らなかった。
現況
現在のクックパッドは、規模の拡大を捨てて費用を収益に合わせる縮小均衡の途上にある。2025年12月期の売上高は53億円で、ピークだった2016年12月期168億円のおよそ3分の1、連結従業員数も2020年末の547名から101名へ減った。2023年2月の希望退職と6事業廃止、同年10月の創業者の社長復帰という縮小均衡への転換が費用を圧縮し、2024年12月期に営業黒字化した。ただし有料会員は減り続けており、黒字は稼ぐ力の回復ではなく身の丈を縮めた結果である。
競合
戦う相手は二度変わり、二度とも押し切られた。国内の投稿型レシピでは数百万件の蓄積と検索での強さで後発を寄せつけなかったが、2016年前後に短尺動画でレシピを見せる後発サービスが台頭すると、文字と写真の蓄積は防御壁として働かず、国内月間利用者は2年で約1,000万人減った。多角化で入った結婚情報や習い事はリクルートら専業の先行者が押さえる市場であり、食の情報でも外食の口コミは穐田氏がカカクコムで育てた食べログが握る。買収各社を売却して料理・食へ絞り直したのちも、生鮮ECや動画の新規事業は収益源に育っていない。
クックパッド:長期業績の推移(売上高・利益率)売上高(億円純利益率(%)
2005年4月期2025年12月期

創業ストーリー レシピプラットフォームの創出と本格的な収益化 (1997年〜)

個人開発から始まった日本発のレシピサイト

1997年10月、慶應義塾大学藤沢キャンパス出身の[1]佐野陽光氏が有限会社コインを設立し[2]、当初はシステムの受託開発事業を手がけた。翌1998年3月には自社サービスとしてキッチン・アット・コイン[3](現在のクックパッド)の提供を始めた。パソコンを通じたインターネット環境から、誰もがレシピの投稿と検索を行える画期的なサービスであり、1999年1月にはサービス名称を現在の『クックパッド』へ変更[4]している。佐野氏自身が一人で開発を手がけていた時期からのスタートであり、日本におけるUGC型サービスの草分けのひとつとなった。インターネット黎明期における個人発の挑戦が、のちの上場企業の原型をかたちづくった。

  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【沿革】
    • [1]慶應義塾大学藤沢キャンパス出身の佐野陽光が有限会社コインを設立した
    • [2]1997年10月に有限会社コインを設立した
    • [3]1998年3月に自社サービスとしてキッチン・アット・コイン(現クックパッド)の提供を始めた
    • [4]1999年1月にサービス名称を「クックパッド」へ変更した

2002年3月には広告掲載を開始して[5]本格的な収益化に着手し、2004年9月には有料課金サービスである『クックパッド[6] プレミアムサービス』を始めた。同月には有限会社コインからクックパッド株式会社へ組織変更している[7]。2005年4月時点の従業員数は正社員わずか4名と臨時雇用者9[8]名という零細な規模の企業だったが、広告収入と有料会員課金という二つの収益源を整えたことで、のちの急成長を支える事業基盤が整った。小さな編集体制とユーザー投稿によるコンテンツ量産という組み合わせが、資本効率の高いインターネット型事業モデルを成立させた。以後10年間の爆発的な成長に向けた助走期間である。

  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【沿革】
    • [5]2002年3月に広告掲載を開始した
    • [6]2004年9月に有料課金サービス「クックパッド プレミアムサービス」を始めた
    • [7]2004年9月に有限会社コインからクックパッド株式会社へ組織変更した
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【従業員の状況】
    • [8]2005年4月時点の従業員数は正社員4名・臨時雇用者9名だった
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【沿革】
    • [1]慶應義塾大学藤沢キャンパス出身の佐野陽光が有限会社コインを設立した
    • [2]1997年10月に有限会社コインを設立した
    • [3]1998年3月に自社サービスとしてキッチン・アット・コイン(現クックパッド)の提供を始めた
    • [4]1999年1月にサービス名称を「クックパッド」へ変更した
    • [5]2002年3月に広告掲載を開始した
    • [6]2004年9月に有料課金サービス「クックパッド プレミアムサービス」を始めた
    • [7]2004年9月に有限会社コインからクックパッド株式会社へ組織変更した
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【従業員の状況】
    • [8]2005年4月時点の従業員数は正社員4名・臨時雇用者9名だった

技術基盤の刷新とモバイル端末への対応

2008年、クックパッドは自社システムをアドビ・コールドフュージョンから、当時注目を集めていた新しいウェブ開発フレームワークであるRuby on Railsへ全面的に移行した。Ruby on Railsの公式サイトでも、世界でも指折りのRails製サイトの一つとして紹介されるほどの規模で、国内のエンジニア界隈からも関心を集める事例となった。同年11月にはNTTドコモ向けのガラケー用コンテンツ[9]としてサービスの提供を始め、翌2009年にはauおよびソフトバンク向けに『モバれぴ』[10]と名付けた専用サービスを開始した。ガラケーという当時の日本市場に固有の端末環境へ早期に対応した点が、その後の有料課金収入の拡大に直結した。

  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【沿革】
    • [9]2008年11月にNTTドコモ向けのガラケー用コンテンツとしてサービス提供を始めた
    • [10]2009年にauおよびソフトバンク向けに「モバれぴ」を開始した

キャリア決済という手軽な決済手段がレシピサイトの有料課金収入を押し上げ、その勢いに乗って2009年7月には東証マザーズへ株式上場を果たした[11]。ユーザーが投稿したレシピの蓄積量がそのまま検索精度とSEO上の優位性に直結するUGC型モデルの強みで、クックパッドはレシピ検索分野で寡占的な地位を築いた。佐野氏は上場時に、毎日の料理を楽しくすることが同社の役目であるとサービス思想を端的に示した。投稿数が増えるほど検索体験が良くなり、良くなるほど新たな投稿と検索が集まる正のフィードバックが働き、他社が後発で追いつきにくい構造となった。上場によって資金調達の選択肢が広がり、以降の多角化と海外買収の原資が確保された。

  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【沿革】
    • [11]2009年7月に東証マザーズへ株式上場した
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【沿革】
    • [9]2008年11月にNTTドコモ向けのガラケー用コンテンツとしてサービス提供を始めた
    • [10]2009年にauおよびソフトバンク向けに「モバれぴ」を開始した
    • [11]2009年7月に東証マザーズへ株式上場した

社長交代と多角化・海外買収の加速

2012年5月、創業者の佐野氏が代表執行役を退任し[12]、価格比較サイトを運営するカカクコムの元社長であった穐田誉輝[13]が新たに代表執行役社長に就任した。佐野氏自身は筆頭株主であり取締役の立場で経営に関与[14]し続けた。2013年10月にはパーソナル教室の予約仲介サービスを展開するコーチ・ユナイテッド社をおよそ10億円で買収した[15]。本業以外への資本配分の比重が高まる時期であり、インターネット料理事業の先にあるライフスタイル全般の接点拡大をねらう布石が打たれた。

  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【役員の状況】
    • [12]2012年5月に佐野が代表執行役を退任し、穐田誉輝が代表執行役社長に就任した
    • [13]穐田誉輝はカカクコムの元社長だった
    • [14]佐野は退任後も筆頭株主かつ取締役として経営に関与し続けた
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書
    • [15]2013年10月にコーチ・ユナイテッドをおよそ10億円で買収した

2014年1月には、海外のレシピサービスの買収を集中的に実施し、北米のオール・ザ・クックスをおよそ5億3000万円、スペインのイティス・シグロ21を11億1000万円で取得した。[16][17]続く2015年1月には、アラビア語圏のネットシリア社をおよそ16億円で取得した[18]。2015年8月には結婚情報サービスのみんなのウェディング[19]を子会社化し、のれん残高はおよそ20億5000万円に達した[20]。同年12月期には年間売上高100億円を突破し[21]、翌2016年12月期には東証上場以来7期連続の増収を達成[22]する高成長となった。同じ時期に取得した海外のレシピ事業群の統合運営には難しさもあったが、株価は高水準を維持し、日本のインターネット業界を代表する成長銘柄となった。

  • クックパッド株式会社 有価証券報告書
    • [16]北米のオール・ザ・クックスをおよそ5億3000万円で取得した
    • [17]スペインのイティス・シグロ21を11億1000万円で取得した
    • [18]アラビア語圏のネットシリア社をおよそ16億円で取得した
    • [20]みんなのウェディング関連ののれん残高はおよそ20億5000万円だった
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【沿革】
    • [19]2015年8月にみんなのウェディングを子会社化した
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】
    • [21]2015年12月期に年間売上高100億円を突破した
    • [22]東証上場以来7期連続の増収を達成したのは2016年12月期である
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【役員の状況】
    • [12]2012年5月に佐野が代表執行役を退任し、穐田誉輝が代表執行役社長に就任した
    • [13]穐田誉輝はカカクコムの元社長だった
    • [14]佐野は退任後も筆頭株主かつ取締役として経営に関与し続けた
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書
    • [15]2013年10月にコーチ・ユナイテッドをおよそ10億円で買収した
    • [16]北米のオール・ザ・クックスをおよそ5億3000万円で取得した
    • [17]スペインのイティス・シグロ21を11億1000万円で取得した
    • [18]アラビア語圏のネットシリア社をおよそ16億円で取得した
    • [20]みんなのウェディング関連ののれん残高はおよそ20億5000万円だった
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【沿革】
    • [19]2015年8月にみんなのウェディングを子会社化した
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】
    • [21]2015年12月期に年間売上高100億円を突破した
    • [22]東証上場以来7期連続の増収を達成したのは2016年12月期である

創業者による社長解任劇と経営の混乱

2016年3月、議決権のおよそ43.6[23]パーセントを握っていた創業者の佐野氏と当時の穐田誉輝社長との間で、経営方針をめぐる対立が表面化した。取締役会において穐田氏は代表執行役(社長)を解任され[24]、クックパッドは創業者である佐野氏の意向を軸とする経営体制へと移行した。経営権をめぐる対立が株主提案という形で表面化したことは社内外に衝撃を与え、大口投資家のひとつであったひふみ投信は紛争発覚とともにクックパッドの全株式を売却する判断を下した。市場からの信頼が揺らぐ結果となった象徴的な事件である。上場企業における創業者の影響力の大きさと難しさが露呈した場面でもあった。

  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【大株主の状況】
    • [23]2016年3月時点で創業者の佐野はおよそ43.6%の議決権を握っていた
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【役員の状況】
    • [24]2016年3月の取締役会で穐田が代表執行役(社長)を解任された

さらに同年12月には、みんなのウェディングとの資本業務提携も解消[25]され、取締役最高技術責任者を務めていた舘野祐一氏もクックパッドを退職した[26]。技術部門のテックブログの年間投稿数は過去最高となる147件を記録し、Rubyエンジニアにとっての梁山泊とまで評される技術組織だったが、経営混乱とともに有力な人材の流出に直面した。上場企業でありながら43パーセントを超える議決権を単独で保有する創業者[27]という存在が、同社におけるコーポレートガバナンスの構造的な脆弱性を露呈させた。株主総会でのチェック機能が働かないという課題が、この時期に業界内へ共有された。

  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【沿革】
    • [25]2016年12月にみんなのウェディングとの資本業務提携を解消した
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【役員の状況】
    • [26]2016年に取締役CTOの舘野祐一が退職した
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【大株主の状況】
    • [27]創業者は43パーセントを超える議決権を単独で保有していた
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【大株主の状況】
    • [23]2016年3月時点で創業者の佐野はおよそ43.6%の議決権を握っていた
    • [27]創業者は43パーセントを超える議決権を単独で保有していた
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【役員の状況】
    • [24]2016年3月の取締役会で穐田が代表執行役(社長)を解任された
    • [26]2016年に取締役CTOの舘野祐一が退職した
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【沿革】
    • [25]2016年12月にみんなのウェディングとの資本業務提携を解消した

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クックパッドの沿革1997〜2023年における主な出来事を抜粋

時代年月社長・CEO出来事重要度
1997〜2009年レシピプラットフォームの創出と本格的な収益化コインを設立
クックパッドの創業とレシピ投稿サービスの段階的な収益化

レシピを無料で集めて規模をつくり、広告と有料会員で段階的に回収する料理特化の収益モデルを確立した創業期の設計

詳細を読む
★★★
サービス名称をkitchen@coinからクックパッドに変更
広告掲載を開始(クックパッド収益化)
有料課金を開始(クックパッドプレミアムサービス)
クックパッドを設立
期末時点の従業員数4名
佐野陽光システムを全面改修。Ruby on Railsを採用
佐野陽光大手携帯キャリアへのサービス提供を開始
佐野陽光東京証券取引所マザーズに株式上場
2010〜2016年穐田誉輝氏在任中の成長と経営統治の揺らぎ穐田誉輝穐田誉輝体制での多角化と海外レシピ買収

2012年5月、社外取締役だった穐田誉輝氏が創業者・佐野陽光氏に代わり社長に就き、国内料理レシピへの依存を『一本足打法』と捉えて多角化した経営判断。習い事・海外レシピ・結婚・求人へ相次いで買収と出資を重ね、約2年でM&Aと大型出資に総額およそ90億円を投じて、生活領域全般のプラットフォーム化をめざした。

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★★★
穐田誉輝コーチユナイテッドを買収
穐田誉輝ALLTHECOOKS, LLCを買収★★
穐田誉輝Netsilia S.A.L.を買収
穐田誉輝みんなのウェディングを子会社化
岩田林平創業者による経営権の奪還(穐田誉輝社長の更迭)

2016年、議決権の43.581%を握る創業者・佐野陽光氏が、株主提案と委任状争奪戦を背景に、多角化を進めた穐田誉輝氏を代表執行役(社長)の座から退けた経営権の奪還。3月24日の株主総会で佐野側が取締役の過半を占め、総会後の取締役会で社長の首がすげ替えられた。

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★★★
岩田林平みんなのウェディングとの資本業務提携を解消
2017〜2023年動画レシピサービスの台頭と業績の落ち込み岩田林平「レシピ集中」への方針転換と食領域の新規事業への再投資

2016年の"お家騒動"で創業者・佐野陽光氏が前社長・穐田誉輝氏を退けたのち、岩田林平社長の下でクックパッドは『レシピへの集中化』を新方針に掲げた。穐田体制が買い集めた結婚情報や海外レシピの各社を売却する一方、動画・生鮮EC・スマートキッチンといった食領域の新規事業へ再投資した経営判断。

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★★★
岩田林平年間30億円の減益
岩田林平動画レシピ台頭による凋落と縮小均衡への転換

2016年前後に台頭したスマホの短尺動画レシピにテキスト投稿型のクックパッドが出遅れ、有料会員と売上が縮むなか、希望退職と6事業廃止で費用を削り、規模を追わず縮小均衡へ転じた経営判断。2023年10月には創業者・佐野陽光氏が11年ぶりに社長へ復帰し、2024年に黒字へ戻したが売上は58億円まで縮んだ。

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★★★
岩田林平営業赤字に転落★★
岩田林平2期連続の営業赤字に転落。40名の希望退職者を募集★★
佐野陽光3期連続の営業赤字に転落。1年でが減少
出典・参考
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【沿革】
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【従業員の状況】
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【役員の状況】
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】
  • クックパッド株式会社 有価証券報告書【大株主の状況】

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