2000年〜 住商グレンジャー期 ── 米Graingerとの合弁から独立路線へ
MonotaROの業績推移:単体
- 2000年 住友商事と米W.W.Graingerの共同出資による住商グレンジャー設立 紙カタログでは採算に乗らなかった中小事業者向けの間接資材を、ネット通販で売り切れるか
- 2001年 インターネットによる工場用間接資材の通信販売事業に参入
- 2002年 倉庫物件を賃借しディストリビューションセンターを開設
- 2006年 「住商」「グレンジャー」を外した社名変更と東証マザーズ上場 出資2社の名を捨て、自前のブランドと資本市場での調達手段を手に入れられるか
- 2006年 コーポレート・ガバナンス体制を委員会等設置会社へ移行
- 2006年 個人消費者向け専用ウェブサイト(IHC.MonotaRO)をオープン
- 2009年 自己株式取得と公開買付による親会社の交代——住友商事から米Graingerへ 大株主の一方が全株を手放すとき、株価と経営の独立をどう同時に守るか
紙カタログ販売で儲かりにくい間接資材を、ネット通販で組み直す
2000年10月、工場用間接資材の通信販売業を目的として、住友商事株式会社と米国のW.W.Grainger, Inc.の子会社[1]Grainger International, Inc.の共同出資で住商グレンジャー株式会社が設立された[2]。資本金1億2千万円、本社は大阪市西区立売堀[3]である[4]。Graingerは1927年創業の[5]米国最大の間接資材ディストリビュータで[6]、当時から北米のMRO(Maintenance, Repair, Operations)市場で支配的な地位を占めていた。住商グレンジャーはGraingerの日本進出の足場として、住友商事のグループ内顧客基盤と日本国内のサプライヤー網を活用する設計の合弁会社として発足した。事業の主な対象は工場で日常的に使う消耗品・工具・安全用品などの間接資材で、紙カタログによる通販が主流だった既存市場をインターネット通販で再構築する構想だった。
- MonotaRO 有価証券報告書
- [1]住商グレンジャーは住友商事とW.W.Grainger, Inc.の子会社Grainger International, Inc.の共同出資で設立された
- [2]2000年10月に住商グレンジャー株式会社が設立された
- [3]設立時の資本金は1億2千万円だった
- [4]設立時の本社は大阪市西区立売堀に置かれた
- [5]Graingerは1927年に創業した
- [6]Graingerは米国最大の間接資材ディストリビュータである
2001年11月、住商グレンジャーはインターネットによる工場用間接資材の通信販売事業を開始[7]した。間接資材市場は、後に3代目社長を務めた鈴木雅哉氏が示したように[8]、多種多様な商品を多様な顧客が不定期に購入する独特の構造を持っていた。製造業の現場担当者が必要なときに少量を購入する事業者向け取引で、紙カタログでは商品掲載数に限界があり、注文・配送の処理コストも1件当たりの売上に対して重い。中小規模の事業者は地元の工具店や問屋から仕入れる慣行が定着しており、紙カタログ通販は大手事業者向けに限定された市場規模にとどまっていた。住商グレンジャーは商品の電子カタログ化と注文処理の自動化を組み合わせ、紙時代には採算が合わなかった中小事業者向け市場をネット通販で開く戦略を採った。
- MonotaRO 有価証券報告書
- [7]2001年11月にインターネットによる工場用間接資材の通信販売事業を開始した
- [8]鈴木雅哉は後にMonotaROの3代目社長を務めた
事業立ち上げ期の課題は、間接資材の商品マスター整備だった。鈴木氏は後に、300万点以上に拡大した商品ラインアップ[9]を1点ずつ電子カタログ化することから事業が始まったと語っている。サプライヤーから提供される商品情報は紙のカタログやエクセル表が中心で、規格・型番・在庫・価格を統一フォーマットで管理する電子カタログ化には人手と時間を要した。2002年3月、大阪府東大阪市加納に倉庫物件を賃借しディストリビューションセンター(DC)を開設し[10]、自社在庫を持ちながら即日出荷する物流体制を整え始めた。電子カタログと自社物流の組み合わせは、米Graingerの本国モデルを日本市場向けにローカライズする試行錯誤だった。
- SBクリエイティブ ビジネス+IT(2013年6月13日)
- [9]商品ラインアップは300万点以上に拡大した
- MonotaRO 有価証券報告書
- [10]2002年3月に大阪府東大阪市加納にディストリビューションセンター(DC)を開設した
- MonotaRO 有価証券報告書
- [1]住商グレンジャーは住友商事とW.W.Grainger, Inc.の子会社Grainger International, Inc.の共同出資で設立された
- [2]2000年10月に住商グレンジャー株式会社が設立された
- [3]設立時の資本金は1億2千万円だった
- [4]設立時の本社は大阪市西区立売堀に置かれた
- [5]Graingerは1927年に創業した
- [6]Graingerは米国最大の間接資材ディストリビュータである
- [7]2001年11月にインターネットによる工場用間接資材の通信販売事業を開始した
- [8]鈴木雅哉は後にMonotaROの3代目社長を務めた
- [10]2002年3月に大阪府東大阪市加納にディストリビューションセンター(DC)を開設した
- SBクリエイティブ ビジネス+IT(2013年6月13日)
- [9]商品ラインアップは300万点以上に拡大した
「住商」と「グレンジャー」を捨てた社名変更と東証マザーズ上場
2006年2月、住商グレンジャーは会社名を株式会社MonotaROに変更した[11]。「MonotaRO(モノタロウ)」は「物(モノ)」と「太郎(タロウ)」を組み合わせた造語で、日本市場向けの独立ブランドとしての位置づけを社名で表現した。住商の傘下と米Graingerの合弁という設立時の立場から脱却し、独自ブランドの間接資材ECサイトとして展開する経営判断である。2代目社長の瀬戸欣哉氏は2001年に住商グレンジャー社長に就任しており、創業者として5年目に「住商グレンジャー」から「MonotaRO」への社名変更[12]を主導した。瀬戸氏は不可能と思われていることを可能と証明することこそ「プロ」の仕事だとする経営観を持ち、合弁会社の枠にとどまらない事業展開を志向した。
- MonotaRO 有価証券報告書
- [11]2006年2月に会社名を株式会社MonotaROに変更した
- [12]瀬戸欣哉が2006年の社名変更(住商グレンジャー→MonotaRO)を主導した
2006年3月にはコーポレート・ガバナンス体制を委員会等設置会社へ移行し[13]、上場準備を進めた。2006年6月には個人消費者向け専用ウェブサイト(IHC[14].MonotaRO)をオープンし、事業者向けだけでなく個人消費者向けの販売チャネルも試行した(同サイトは2020年9月に事業者向けサイト「モノタロウ」に統合[15])。同年12月、MonotaROは東京証券取引所マザーズに株式を上場した[16]。設立から6年での上場で、住商と米Graingerの合弁会社が独立ブランドのECサイト運営会社として資本市場に出た格好である。上場時の事業規模は売上数十億円程度で、間接資材市場の中での存在感はまだ限定的だったが、ネット通販という業態が将来的な成長余地を持つ点が投資家からの評価を集めた。
- MonotaRO 有価証券報告書
- [13]2006年3月にコーポレート・ガバナンス体制を委員会等設置会社へ移行した
- [14]2006年6月に個人消費者向け専用ウェブサイト(IHC.MonotaRO)をオープンした
- [15]IHC.MonotaROは2020年9月に事業者向けサイト「モノタロウ」に統合された
- [16]2006年12月に東京証券取引所マザーズに株式を上場した
2009年9月、Grainger Japan, Inc[17].による株式取得により、米W.W.Grainger, Inc.がMonotaRO発行済株式総数の52.85%を間接的に所有することになり、同社の親会社となった。きっかけは住友商事の投資方針変更で、同社は相対取引・公開買付・売出しの3経路を通じて保有株を手放し、2009年12月期末の保有株式数はゼロとなった[18]。合弁会社時代の二社均衡から米Grainger子会社という資本構造への移行が完了した。経営の独立性は維持されたが、議決権ベースでは米Graingerの傘下に入った。同年12月には東京証券取引所市場第一部に市場変更し[19]、マザーズから一部への昇格を果たした。住商グレンジャー設立から9年、MonotaROへの社名変更から4年で、東証一部上場かつ米Grainger傘下の独立ECサイト運営会社という立場が定まった。設立期からの試行錯誤を経て、事業モデルとガバナンス構造の両面で次のフェーズに移る基盤が整った。
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- [17]2009年9月14日にGrainger Japan, Inc.の公開買付が成立し、米W.W.Grainger, Inc.が保有比率52.85%の親会社となった
- [18]住友商事は投資方針変更により相対取引・公開買付・売出しの3経路で保有株を全て手放し、2009年12月期末の保有株式数はゼロとなった
- [19]2009年12月に東京証券取引所市場第一部に市場変更した
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- [11]2006年2月に会社名を株式会社MonotaROに変更した
- [12]瀬戸欣哉が2006年の社名変更(住商グレンジャー→MonotaRO)を主導した
- [13]2006年3月にコーポレート・ガバナンス体制を委員会等設置会社へ移行した
- [14]2006年6月に個人消費者向け専用ウェブサイト(IHC.MonotaRO)をオープンした
- [15]IHC.MonotaROは2020年9月に事業者向けサイト「モノタロウ」に統合された
- [16]2006年12月に東京証券取引所マザーズに株式を上場した
- [17]2009年9月14日にGrainger Japan, Inc.の公開買付が成立し、米W.W.Grainger, Inc.が保有比率52.85%の親会社となった
- [18]住友商事は投資方針変更により相対取引・公開買付・売出しの3経路で保有株を全て手放し、2009年12月期末の保有株式数はゼロとなった
- [19]2009年12月に東京証券取引所市場第一部に市場変更した