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食べログの立ち上げと「第二の柱」化

2005年実施

価格比較の隣に築いた「食」のユーザー投稿型プラットフォーム

時期 2005年3月
意思決定者 穐田誉輝(社長)
論点 新規事業と収益の第二の柱
概要
2005年、価格.com単一事業のリスクに対し、飲食店のユーザー投稿型クチコミ・評価サイト「食べログ」を別ブランドで立ち上げ、グループ最大の売上・利益源へ育てた新規事業の判断。
背景
2000年代半ばのカカクコムは価格.comに収益を頼っていた。2004年入社の村上敦浩が、飲食店は価格でなく食べた人の評価で選ばれるとして、安さ中心の印象を避けるため別ブランドでのクチコミサイトを提案した。
内容
社員2人・サーバー1台で開設し、ブロガーの投稿と検索に強い店舗データベースで利用者を増やした。2012年にはネット予約を始め、飲食店から掲載料・予約手数料を得る収益の柱を加えた。
含意
食べログ事業の売上は2020年3月期に263億円へ達しグループ最大の事業に。コロナ禍で3割超落ち込んだ後に回復し、2025年3月期に売上335億円、設立20年で年間予約1億人を超えた。
筆者の見解

価格比較の隣に築いた「食」のユーザー投稿型プラットフォーム

食べログは、価格.com単一事業のリスクに対し、同じユーザー投稿型の手法を外食領域へ広げた新規事業であった。安さ中心の印象を避けるため価格.comと切り離した別ブランドとし、社員2人・サーバー1台から始めて、飲食店の掲載料や予約手数料を柱に育てた。2020年3月期には売上でグループ最大の事業となり、コロナ禍の3割減を経てもなお回復し、2025年に年間予約1億人を超えた。創業事業に依存しない第二の柱を、模倣ではなく別ブランドの新規事業として築いた判断であった。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

背景

価格.com単一事業からの脱却と新規事業人材

2000年代半ばのカカクコムは、価格.comという単一の事業に収益を頼っていた。穐田誉輝社長の下、映画.comやフォートラベルなど、価格比較以外の情報サービスへ幅を広げようとしていた。2004年10月に新規事業の担い手として入社した村上敦浩は、飲食店のクチコミサイトを提案した。

村上は、飲食店は価格の比較で選ぶものではなく、実際に食べた人の評価で選ぶものだと考え、価格.comの中でグルメを扱えば安さ中心のB級グルメの印象になると主張して、別ブランドでの立ち上げを求めた[1]

決断

ユーザー投稿型グルメサイトの別ブランド立ち上げ

2005年3月、カカクコムは飲食店のユーザー投稿型クチコミ・評価サイト「食べログ」を、価格.comとは別のブランドとして開設した。社員2人、サーバー1台という小さな体制で、価格.comで使われなくなった機器を流用しての出発であった。ブロガーの投稿を呼び込み、店舗データベースを検索に強い形で整えることで、利用者と投稿を増やした[2]

価格.comだけを運営してきた社員にとって、別ブランドの立ち上げは衝撃であったと、後に社長となる田中実は振り返っている。2006年後半から食べログは急成長し、2012年にはレストランのネット予約を始めて、飲食店から掲載料や予約手数料を得る収益の柱を加えた。

結果

グループ最大の売上・利益源へ

食べログのネット予約の累計利用者は、2018年11月に5,000万人、2020年3月には1億人を超えた。食べログ事業の売上高は2020年3月期に263億円へ達し、グループ売上の43%を占めて、価格.comを上回る最大の事業へ育った。飲食店向けの販促がその大半を占め、有料契約店舗は約5万9,000店に上った。

2020年からのコロナ禍は外食を直撃し、2021年3月期の食べログ売上は178億円へ3割超落ち込んだが、その後は回復し、2025年3月期には売上335億円、セグメント利益181億円まで戻した。同年、食べログは設立20年で年間予約が初めて1億人を超えた。飲食店のクチコミという別ブランドの試みが、グループを支える柱へ育った。

出典・参考