カカクコム の歴史

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前身コアプライスとkakaku.comの誕生

創業 1997年
創業者 槙野光昭
創業地 東京都
創業
1997年12月、槙野光昭氏が24歳で有限会社コアプライスを興し、家電量販店ごとの売価を横並びで見せる価格比較の「kakaku.com」を始めた。在庫も店舗も持たず掲載店から手数料を取る構造で、2000年5月に株式会社カカクコムへ改称する。ただし槙野氏は起業時から5億円稼いだら辞めると決めており、2001年に28歳で事業をICPへ約25億円で売って退いた。買い手の穐田誉輝氏が社長に就任し、翌2002年6月にデジタルガレージの資本参加を受けて子会社となった。創業者不在のまま、経営も資本も外から迎えて歩みが始まった。
決断
主力を傷つけてでも動く判断に特色がある。2005年3月、価格.com単一事業への依存を薄めるため、同じ投稿型の手法を外食へ移し、食べログを別ブランドで立ち上げた。同じ年の5月には不正アクセスで価格.comが改ざんされ、閲覧しただけで感染する被害に、主力サイトを約10日間にわたり全面閉鎖したうえ、掲載料の全額返金と販売機会損失の補償に踏み切る。その後も旅行・映画・自動車の比較サービスを買収で集約し、求人検索へも広げた。看板を貸さず別ブランドで新市場へ踏み出す型が、価格比較の一社を複数の収益源を持つ企業に変えた。
現況
食べログを主力に、価格.com・求人ボックス・インキュベーションが並ぶ 4 事業の構成である。2026年3月期は売上941億円・営業利益272億円で、うち食べログが売上402億円・利益222億円と全体の6割を占め、価格.comが236億円・125億円と続く。2005年に別ブランドで始めた新規事業が、そのまま最大の収益源になった。2024年4月にはその生みの親の村上敦浩氏が社長に就任した。一方、支配株主を持たないまま独立を保ってきた資本の形は2026年に非公開化をめぐる買収の争奪戦を招き、決着していない。
競合
戦う相手は事業ごとに違う。価格.comは、Yahoo!ショッピングのように値も集客も自ら握る総合モールが入口を兼ねるなか、売り手を横断して比べる中立性を拠り所にしてきた。食べログは年間予約1億人の規模に育った一方、評価アルゴリズムをめぐり飲食店に提訴され、2022年6月に東京地裁で敗訴した。2015年に始めた求人ボックスは米Indeedを買収したリクルートら先行者と競い、売上を202億円まで伸ばしながら15億円の営業赤字に沈んだ。比較の場を押さえるという同じ競争優位の作り方が、領域を変えれば通じるとは限らない段階に入っている。
カカクコム:長期業績の推移(売上高・利益率)売上高(億円純利益率(%)
2002年3月期2026年3月期

創業ストーリー 槙野光昭氏が在学中に立ち上げた価格比較サイトと28歳での売却 (1997年〜)

1997年・有限会社コアプライス設立と「kakaku.com」の誕生

1997年12月、当時24歳の[1]槙野光昭氏が有限会社コアプライスを設立した[2]のが事業の始まりである。1997年は日本でインターネットが家庭に普及し始めた時期で、ヤフーの日本サービスが1996年4月開始、楽天市場が1997年5月開始という前後関係にあった。価格比較サービスは、家電量販店ごとに異なる売価をユーザーが横並びで確認できるという、当時として新規性の高いサービスだった。槙野氏は事業を在学中に着想し、5億円稼いだら辞めると決めていたと後年語っているとおり、起業から早期売却を視野に入れた事業設計が当初から組み込まれていた。

  • 新R25
    • [1]槙野光昭は設立時(1997年)に24歳だった
  • カカクコム 有価証券報告書【沿革】
    • [2]1997年12月 槙野光昭が有限会社コアプライスを設立(事業の起点)

1999年12月、本社を東京都台東区に移転[3]。2000年5月、有限会社コアプライスから株式会社[4]カカクコムへ組織変更と商号変更を実施し、株式会社としての法人形態を整えた。2000年9月にも台東区内で本社を移転し[5]、組織拡大に対応した。創業から2年半で個人事業に近い形態から、組織化された株式会社へ転換する作業を進めた時期である。

  • カカクコム 有価証券報告書【沿革】
    • [3]1999年12月 本社を東京都台東区へ移転
    • [4]2000年5月 有限会社コアプライスから株式会社カカクコムへ組織変更と商号変更
    • [5]2000年9月 台東区内で本社を移転
  • 新R25
    • [1]槙野光昭は設立時(1997年)に24歳だった
  • カカクコム 有価証券報告書【沿革】
    • [2]1997年12月 槙野光昭が有限会社コアプライスを設立(事業の起点)
    • [3]1999年12月 本社を東京都台東区へ移転
    • [4]2000年5月 有限会社コアプライスから株式会社カカクコムへ組織変更と商号変更
    • [5]2000年9月 台東区内で本社を移転

2001年・28歳での「kakaku.com」売却とICPの登場

2001年、槙野氏は28歳でkakaku.comの事業[6]をICP(インターネット総合研究所系の投資会社)に約25億円で売却し、自らはリタイアした[7]。槙野氏は新R25インタビューで5億円稼いだら辞めると決めていたと、起業時に立てた終了基準が25億円という売却額で5倍超に達した経緯を語った。ICPの代表だった穐田誉輝氏が、売却後の第2代社長として就任し[8]、カカクコムの経営を引き継いだ。創業者退場と買い手側経営者就任の連続性が、IT黎明期の日本における事業承継の典型事例の一つとして残った。

    • [6]2001年にkakaku.comの事業を約25億円で売却した
  • 新R25
    • [7]槙野光昭は28歳で売却しリタイアした
  • カカクコム 有価証券報告書(役員の状況)
    • [8]ICP代表だった穐田誉輝が第2代社長として就任した

穐田誉輝氏は1969年生まれ、青山学院大経済卒で、ICPの代表からカカクコム社長に就任した。穐田誉輝氏(社長)体制の下で、価格比較サイト『kakaku.com』の事業基盤強化と上場準備が並行で進められた。2002年6月、株式会社デジタルガレージの資本参加を受け[9]、翌7月にデジタルガレージから役員を招聘し、同社の子会社[10]となった。デジタルガレージは伊藤穣一氏らが創業したインターネット投資企業で、当時の日本のネットビジネスのキーマンが集まる立場にあった。

  • カカクコム 有価証券報告書【沿革】
    • [9]2002年6月 株式会社デジタルガレージの資本参加を受けた
    • [10]2002年7月 デジタルガレージから役員を招聘し同社の子会社となった
    • [6]2001年にkakaku.comの事業を約25億円で売却した
  • 新R25
    • [7]槙野光昭は28歳で売却しリタイアした
  • カカクコム 有価証券報告書(役員の状況)
    • [8]ICP代表だった穐田誉輝が第2代社長として就任した
  • カカクコム 有価証券報告書【沿革】
    • [9]2002年6月 株式会社デジタルガレージの資本参加を受けた
    • [10]2002年7月 デジタルガレージから役員を招聘し同社の子会社となった

2003年マザーズ上場・2005年東証一部昇格

2003年10月、カカクコムは東京証券取引所マザーズ[11]に株式を上場した。創業から6年で公開企業へ移行する短期サイクルは、IT企業としても速い部類に属し、価格比較サイトという新規性の高いサービスが市場に評価された結果である。2004年6月、本社を東京都文京区に移転[12]。2005年1月にフォートラベル株式会社[13]を株式取得及び株式交換により完全子会社化、3月に東京証券取引所市場第一部へ市場変更を完了した[14]。上場から1年半で一部昇格を達成する速さも、当時のIT業界としては破格だった。

  • カカクコム 有価証券報告書【沿革】
    • [11]2003年10月 東京証券取引所マザーズへ上場
    • [12]2004年6月 本社を東京都文京区へ移転
    • [13]2005年1月 フォートラベル株式会社を完全子会社化
    • [14]2005年3月 東京証券取引所市場第一部へ市場変更を完了

2005年、食べログ(tabelog.com)[15]が立ち上げられた。後の第5代社長となる村上敦浩氏(2004年入社)が立ち上げの中心人物として関与し[16]、ユーザー投稿型のレストラン口コミサイトとして開始された。食べログは初期から本サイト『kakaku.com』とは別カテゴリの主力サービスとなる潜在性を持ち、2010年代を通じて急成長した。

  • カカクコム 有価証券報告書(役員の状況)
    • [15]2005年に食べログ(tabelog.com)が立ち上げられた
    • [16]村上敦浩(2004年入社)が食べログ立ち上げの中心人物として関与した

2006年6月、第3代社長として田中実氏(1962年生[17]、東京外大卒、三菱銀行→デジタルガレージ)が就任した[18]。田中氏は2016年まで10年間社長を務め[19]、その間カカクコムは連続増収増益を続け、食べログを主力サービスに育てた経営期間として残った。田中氏は経営プロのインタビューで、カカクコムには熱いおたく集団がいます、うちには、競合とどう差別化するかといったことを、ビジネススクール的なアプローチで分析するような社員はいないんですと、同社の現場主導の事業文化を語った。

  • カカクコム 有価証券報告書(役員の状況)
    • [17]2006年6月 田中実が第3代社長として就任
    • [18]田中実は1962年生・東京外大卒・三菱銀行→デジタルガレージの経歴である
    • [19]田中実は2016年まで10年間社長を務めた
  • カカクコム 有価証券報告書【沿革】
    • [11]2003年10月 東京証券取引所マザーズへ上場
    • [12]2004年6月 本社を東京都文京区へ移転
    • [13]2005年1月 フォートラベル株式会社を完全子会社化
    • [14]2005年3月 東京証券取引所市場第一部へ市場変更を完了
  • カカクコム 有価証券報告書(役員の状況)
    • [15]2005年に食べログ(tabelog.com)が立ち上げられた
    • [16]村上敦浩(2004年入社)が食べログ立ち上げの中心人物として関与した
    • [17]2006年6月 田中実が第3代社長として就任
    • [18]田中実は1962年生・東京外大卒・三菱銀行→デジタルガレージの経歴である
    • [19]田中実は2016年まで10年間社長を務めた

2007〜2014年・買収による事業拡大

田中実社長の在任期間、カカクコムは比較・評価領域のサービスを買収で取り込んだ。2007年4月に映画情報サイトの株式会社エイガ・ドット・コムを株式取得により子会社化し[20]、2014年3月に旅行関連の株式会社タイムデザイン[21]、2015年2月に自動車情報の株式会社webCG[22]を相次いで子会社化した。すでに2005年1月には旅行クチコミのフォートラベル株式会社[23]を完全子会社化しており、映画・旅行・自動車という消費者の関心領域ごとに、比較・評価サービスを自社グループへ取り込む動きを続けた。

  • カカクコム 有価証券報告書【沿革】
    • [20]2007年4月 株式会社エイガ・ドット・コムを子会社化
    • [21]2014年3月 株式会社タイムデザインを子会社化
    • [22]2015年2月 株式会社webCGを子会社化
    • [23]2005年1月 フォートラベル株式会社を完全子会社化

価格比較サイト・クチコミサイト・レビューサイトといった『比較・評価』を軸に据えるサービス群を、自社の傘下へ集約することで総合プラットフォーム化を進めた。田中実社長の在任期間における事業拡大は、本サイト『kakaku.com』と食べログの自社開発に、関連領域の買収を併用する形で進んだ。価格・飲食店・旅行・映画・自動車と、ユーザーが意思決定の前に『比較し評価を確かめる』場面を、領域横断で押さえる方向の拡大である。

  • カカクコム 有価証券報告書【沿革】
    • [20]2007年4月 株式会社エイガ・ドット・コムを子会社化
    • [21]2014年3月 株式会社タイムデザインを子会社化
    • [22]2015年2月 株式会社webCGを子会社化
    • [23]2005年1月 フォートラベル株式会社を完全子会社化

デジタルガレージから電通へ、上場後10年で入れ替わった主要株主

2009年5月、株式会社デジタルガレージが保有する自社株式の一部[24]をカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)へ譲渡完了し、デジタルガレージ及びCCCの持分法適用関連会社となった。2012年5月、CCCが保有する自社株式の一部[25]を株式会社電通(現・電通グループ)へ譲渡完了し、2012年6月に株式会社電通の持分法適用関連会社となった[26]。この間、カカクコム本体の事業は田中実社長の下で連続増収増益を続けており、株主の側だけが3年ごとに入れ替わる構図だった。

  • カカクコム 有価証券報告書【沿革】
    • [24]2009年5月 デジタルガレージ保有の自社株式の一部がCCCへ譲渡完了し両社の持分法適用関連会社となった
    • [25]2012年5月 CCC保有の自社株式の一部が株式会社電通へ譲渡完了
    • [26]2012年6月 株式会社電通の持分法適用関連会社となった

創業期の親会社デジタルガレージが筆頭株主の座を保ったまま、2009年にレンタル・流通のCCCが、2012年に広告最大手の電通が株主として加わった。デジタルガレージの筆頭株主としての継続と、CCC・電通という主要株主の相次ぐ参入は、上場後10年間のカカクコムを資本面から特徴づける動きである。事業の主導権は一貫してカカクコム経営陣が握り続けた一方、資本側ではネット投資会社に加えメディア・広告系の事業会社が株主として加わっていった。

  • カカクコム 有価証券報告書【沿革】
    • [24]2009年5月 デジタルガレージ保有の自社株式の一部がCCCへ譲渡完了し両社の持分法適用関連会社となった
    • [25]2012年5月 CCC保有の自社株式の一部が株式会社電通へ譲渡完了
    • [26]2012年6月 株式会社電通の持分法適用関連会社となった

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カカクコムの沿革1997〜2026年における主な出来事を抜粋

時代年月社長・CEO出来事重要度
1997〜2001年槙野光昭氏が在学中に立ち上げた価格比較サイトと28歳での売却ウェブサイト「価格.com」を創設★★
価格情報提供サービスを開始
槙野光昭コアプライス設立
槙野光昭サイト名称を「価格.com」に変更
槙野光昭コアプライスからカカクコムへ組織・商号変更
2002〜2015年田中実社長体制10年の連続増収増益と食べログの主力化穐田誉輝主要株主の変遷(デジタルガレージ→CCC→電通→KDDI)

カカクコムは2002年にデジタルガレージ(DG)の連結子会社となって以降、主要株主だけがCCC、電通、KDDIへと入れ替わりながら、いずれの買い手も過半を握らず、事業の独立を保ち続けた。2026年にはDGとKDDIが約38%の共同保有を届け出て、非公開化をめぐる争奪戦の前提を作った。

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★★★
穐田誉輝デジタルガレージの子会社に
穐田誉輝東京証券取引所マザーズに株式を上場
穐田誉輝フォートラベルを株式取得・株式交換により完全子会社化
穐田誉輝食べログの立ち上げと「第二の柱」化

2005年3月、価格.comに収益を頼っていたカカクコムが、飲食店のユーザー投稿型クチコミ・評価サイト『食べログ』を別ブランドで立ち上げた新規事業の判断。社員2人・サーバー1台で始めた小さな試みは、掲載料と予約手数料を積み上げ、のちにグループ最大の売上・利益源へ育った。

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★★★
穐田誉輝価格.com不正アクセス事件とサイト全面閉鎖

2005年5月、不正アクセスで価格.comが改ざんされ、閲覧しただけでトロイの木馬型ウイルスに無差別感染しかねない被害を前に、社長の穐田誉輝氏が主力サイトを約10日間にわたり全面閉鎖した危機対応。60台を超えるサーバーを丸ごと停止・入れ替え、掲載料・広告料の全額返金と販売機会損失の補償を打ち出した。

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★★★
田中実エイガ・ドット・コムを株式取得により子会社化
田中実デジタルガレージが保有株式の一部をカルチュア・コンビニエンス・クラブへ譲渡★★
田中実カルチュア・コンビニエンス・クラブが保有株式の一部を電通へ譲渡★★
田中実電通の持分法適用関連会社に
田中実タイムデザインを株式取得により子会社化
田中実webCGを株式取得により子会社化
田中実求人情報の一括検索サービス「求人ボックス」を開設★★
2016〜2026年畑彰之介社長体制から村上敦浩社長体制への承継と食べログの収益柱化畑彰之介LCLを株式取得により子会社化
畑彰之介ガイエを株式取得により子会社化
畑彰之介九州支社を開設
畑彰之介電通が保有する株式をKDDIへ譲渡完了★★
畑彰之介KDDIの持分法適用関連会社に
畑彰之介渋谷オフィスを開設
畑彰之介フォートラベルを吸収合併
畑彰之介東京証券取引所プライム市場へ区分移行
畑彰之介Patheeを株式取得により子会社化
村上敦浩Pathee の全株式を譲渡
村上敦浩連結の範囲から除外
村上敦浩非公開化をめぐる買収争奪戦とLINEヤフーの対抗提案

2026年、価格.com・食べログを運営するカカクコムの非公開化をめぐり、スウェーデンの投資ファンドEQTと筆頭株主デジタルガレージの連合による1株3,000円・総額約5,900億円のTOBに、LINEヤフーと米ベインキャピタルの連合が最大3,500円・約6,700億円の対抗提案をぶつけた買収争奪戦。取締役会は当初EQT案に賛同したが、7月に株主への応募推奨を撤回して中立へ転じ、本稿の時点で決着していない。

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★★★
出典・参考
  • カカクコム 有価証券報告書【沿革】
  • カカクコム 有価証券報告書(役員の状況)
  • カカクコム 有価証券報告書(セグメント情報)
  • 新R25(2018年9月6日)
  • 東京地方裁判所判決(食べログ評価アルゴリズム訴訟, 2022年6月)
  • 新R25

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