LINEヤフー Yahoo!オークション参入 ショッピング事業との同時展開と、分かれたEC二本柱の明暗

更新:

時期 1999年9月
当時の社長 井上雅博
論点 事業多角化とEC参入
何をなぜ決めたか
概要

1999年9月、ヤフーはオンライン・ショッピングサービス「Yahoo!ショッピング」とオンライン・オークションサービス「Yahoo!オークション」を同じ月に立ち上げ、検索と広告のポータルから物を売る場へ事業を多角化した。

ショッピングは有名店から専門店までを集めたモール型で、オークションは個人間の商品の売買と法人による競売の場を提供する。ともに法人店舗からはテナント料と手数料を取り、オークションはのちに個人からもシステム利用料を取る形へ進んだ。

背景

ヤフーは1996年1月、インターネット上の情報検索サービスの提供を目的に、ソフトバンクとヤフー・インクの合弁として設立された。同年4月に日本語での情報検索サービス「Yahoo! JAPAN」を開始し、1998年7月には「My Yahoo!」「Yahoo!ページャー」「Yahoo!掲示板」「Yahoo!ゲーム」の四つの登録サービスを加えて、利用者を抱え込む面を広げていた。

ブランドの中核となる商標は全世界的にヤフー・インクが出願・登録・維持を行い、ヤフーはヤフージャパン ライセンス契約のもとで「ヤフー」を名乗る。集客と広告を主力に据えた構造の先に、商取引の場が残っていた。

内容

二つのサービスは1999年9月に同時に始まり、課金は段階を追って組み上げられた。オークションは2001年5月、サービスの安全性確保を目的に、本人確認と補償制度の提供を骨子とした有料化を開始する。2002年4月には出品システム利用料の課金が始まり、落札システム利用料は2006年5月に3%から5%へ引き上げられて、システム利用料収入が大幅に増加した。

法人向けには、両サイトのストア(法人店舗)から取るテナント料と手数料がコマース収入として立った。ショッピングは2001年12月のイー・ショッピング・ブックスの株式51.3%取得をはじめ、出資による品揃えの補強を重ねている。

含意

個人向けビジネスの主な収入は、オークションのシステム利用料と、オークションへの参加を含む「Yahoo!プレミアム」の売上に集まった。法人向けのコマース収入は、両サイトへのストア誘致で出店数を増やせるかに依存する。同じ集客からEC二本柱を立てながら、稼ぎの形は個人課金と出店誘致に分かれた。

競合として挙げたのは「楽天市場」と「BIDDERS」である。ショッピングは2013年10月にストア出店料と売上ロイヤルティを無料化する新戦略へ踏み切り、集客だけでは埋まらなかった差を、課金をやめることで取り返しにいった。

いつ何が起きたか 9件
筆者の見解
筆者の見解

同じ集客を、どちらの課金へつないだか

同じ月に二つ立ち上げたことより、そのあとの課金の付け方が二事業を分けたのだと推察される。オークションは開始から2年半、出品システム利用料をかけずに置かれ、2001年5月の有料化も本人確認と補償制度という安全の対価として入った。利用者の厚みを先に作ってから課金へ移す順序を踏んだからこそ、2006年5月に落札システム利用料を3%から5%へ引き上げてもシステム利用料収入は大幅に増え、値上げが通る場が出来上がっていた。

もっとも、ショッピングの課金は最初からストアのテナント料と手数料で、収入は出店数の多寡に直結していた。集客を出店誘致に翻訳する営業の仕事であって、利用者の厚みがそのまま収入になるオークションとは構造が違う。2013年10月に出店料と売上ロイヤルティをともに無料化したのは、その翻訳が届かなかったことを認め、課金の順序をオークションと同じ側へ組み直す試みだったと思われる。同じ集客から出発しても、どこで金を取ると決めるかで事業の伸び方は決まる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

業績の推移
立ち上げた二つのサービスと課金の条件

立ち上げた二つのサービスと課金の条件

科目 概要 備考
Yahoo!ショッピングの開始 1999年9月 オンライン・ショッピングサービスとして提供を開始した
Yahoo!オークションの開始 1999年9月 オンライン・オークションサービスとして同じ月に開始した
ショッピングの内容 有名店から専門店までのオンラインショッピングサイト 宿泊・航空券等の旅行商品やオンラインチケットの提供もこの事業に含む
オークションの内容 個人間の売買と法人による競売の場 法人向けにはオークションストア(法人店舗)のサポートを行う
法人からの課金 ストアのテナント料と手数料 両サイトのストア(法人店舗)から取るコマース収入。出店数の拡大が前提
個人からの課金 オークションのシステム利用料 「Yahoo!プレミアム」の売上とあわせ、個人向けビジネスの主な収入をなす
オークションの有料化 2001年5月 サービスの安全性確保を目的に、本人確認と補償制度の提供を骨子とした
出品システム利用料 2002年4月に課金を開始
落札システム利用料 2006年5月に3%から5%へ引き上げ 引き上げにより、システム利用料収入が大幅に増加した
ヤフー・インクとの関係 議決権の33.5%を被所有 ヤフージャパン ライセンス契約の締結先で、役員の兼任1名(2006年3月末)
親会社 ソフトバンクが議決権の41.3%を実質所有 1996年1月にヤフー・インクとの合弁で設立。両社あわせて74.6%を保有

出所:ヤフー 有価証券報告書 第11期(2006年3月期)【沿革】【事業の内容】【関係会社の状況】【事業等のリスク】、第12期(2007年3月期)【業績等の概要】

売上高・経常利益・当期純利益の推移

LINEヤフー:売上高・経常利益・当期純利益の推移

(百万円) 売上高経常利益当期純利益 備考
2002年3月期 31,49710,3185,868 第7期。ここから連結。前期までは単体で、有報の逐語で照合できていない
2003年3月期 59,09523,52412,096
2004年3月期 75,77641,30824,826
2005年3月期 117,77960,29536,521

出所:ヤフー 有価証券報告書 第11期(2006年3月期)【主要な経営指標等の推移】(連結)

同じ問いに直面した会社
参考文献
出典・参考
  • 日経ビジネス 2000年10月16日号(日経BP社)
  • 日経ビジネス 2000年12月18日号(日経BP社)
  • ヤフー 有価証券報告書「第11期(2006年3月期)【沿革】」
  • ヤフー 有価証券報告書「第11期(2006年3月期)【事業の内容】【事業等のリスク】」
  • ヤフー 有価証券報告書「第11期(2006年3月期)【関係会社の状況】」
  • ヤフー 有価証券報告書「第11期(2006年3月期)【主要な経営指標等の推移】」
  • ヤフー 有価証券報告書「第12期(2007年3月期)【業績等の概要】」
  • ヤフー 有価証券報告書「第19期(2014年3月期)【業績等の概要】」

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