1981年9月、24歳の孫正義氏[1]は東京都千代田区四番町に日本ソフトバンクを設立[2]し、パーソナルコンピューター用パッケージソフトの流通業を始めた。創業の地は福岡市[3]である。当時はパソコンの普及でソフトの種類が増える一方、メーカーから小売店へ商品を届ける卸機能を担う事業者がほとんど存在せず、利用者は複数のマイコンショップを探し回らねば[4]目当てのソフトに辿り着けなかった。孫氏は書店で本を買うようにソフトを届ける中間流通[5]として事業を設計し、資本が小さく成長性が高いという条件で数業種に絞り、社員を雇って市場と技術を1年半調べたうえで[6]創業に踏み切った。翌1982年5月には月刊『Oh! PC』と月刊『Oh! MZ』を創刊[7]し、出版事業へ参入している。
創業資金は、米国留学中に開発した自動翻訳機の特許で得た1億円[8]であった。ソフトは担保にならないため創業時の流通業へ融資する銀行はなく、シャープの佐々木正氏らの個人保証でようやく実行に至っている[9]。経営経験の不足を補うため、1983年には日本警備保障出身の大森康彦氏を社長に迎え、孫氏は会長へ退いた[10]。売上高は2期の23億円から3期45億円、4期75億円[11]と伸び、5期にあたる1985年12月期には115億円へ達している[12]。設立翌年に創刊した『Oh! PC』も成功し、出版が卸売と並ぶ事業の柱に育った[13]。孫氏は1986年に社長へ復帰[14]している。
1990年7月に商号をソフトバンクへ改め[15]、1994年7月には株式を日本証券業協会へ登録[16]して株式公開に至った。公開で得た資金調達力を梃子に、同年12月から米国の展示会事業コムデックスと、シリコンバレーのIT出版社ジフ・デービスの買収[17]へ動いている。買収資金は社債でまかない、1995年2月の第1回無担保普通社債100億円[18]を皮切りに、1996年11月までに12本・合計2,200億円を発行した[19]。相次ぐ大型買収を借入で重ねた結果、有利子負債は売上高を超える規模へ膨らんでいる[20]。1998年1月には東京証券取引所市場第一部へ上場した[21]。
1996年1月11日、ソフトバンクは米ヤフーとの合弁で資本金2億円のヤフー株式会社を設立[22]した。出資比率はソフトバンクが60%にあたる1億2,000万円[23]、Yahoo Corporationが40%にあたる8,000万円で、代表取締役社長には孫正義氏自身が就いている[24]。事業内容は日本国内における日本語対応の情報検索サービスの提供とミラー・サイトの運営[25]で、ブランドと技術を米ヤフーから借り、資本と経営をソフトバンクが握る変則的な合弁であった。同年4月には米ヤフー本体へ約100億円を追加出資し、創業者を上回る筆頭株主となった。当時の米ヤフーは社員5〜6名、月商数千万円のベンチャーにすぎない。
連続買収に対しては財務体力の消耗を懸念する声が市場から上がり、1996年8月には相次ぐ買収に体力がもつのかという疑問[26]が投げかけられた。孫正義氏は『心配ない』と応じ、買収は『高い買物ではない』、『浮利は追っていない』[引用元]と反論している[27]。1997年秋には買収した企業の業績悪化が表面化し、孫流の拡大路線に暗雲が差した[28]。孫氏個人の会社を用いた買収スキームにも批判が集まったが、孫氏は『影の部分にも自分の責任はある』[引用元]と述べつつ、買収は続けると明言した[29]。同年11月の時点でも財務の工夫で当面を乗り切った状態で、買収先の業績悪化により予断を許さなかった[30]。
1999年10月、ソフトバンクは純粋持株会社へ移行し[31]、事業会社の株式を保有して統括する形へ組織を改めた。2000年2月にはAlibaba.com Corporationへ出資して関連会社とし[32]、のちにグループ最大級の含み資産となる持分を得ている。インターネットバブルのピークでは、米ヤフー株価の高騰によりソフトバンクの時価総額は一時20兆円へ達した。株式の評価額の大半はヤフー関連の含み益に支えられ[33]、事業から生まれる利益との落差が大きかった。1994年の株式公開から6年足らずで、ソフトウェアの卸売業者は世界有数の時価総額を持つ投資会社へ姿を変えている[34]。
2000年春からの株価下落で、投資先の多くが経営危機に陥った[35]。ソフトバンクは値上がりした投資先株式を選別して売却し、その利益で有利子負債を圧縮しながら1990年代に買い集めた資産を整理している[36]。並行して、破綻・国有化され公的資金で処理されていた日本債券信用銀行の買収に踏み切った[37]。投資会社を中心とするグループが銀行を保有する形には、系列企業へ融資を集中させる機関銀行化への懸念が当初から指摘されている[38]。2000年9月には日債銀の本間社長が自殺し、買収後のソフトバンクへ逆風が吹いた[39]。
https://the-shashi.com/api/companies.json https://the-shashi.com/api/9984/manifest.json https://the-shashi.com/api/9984/history.json https://the-shashi.com/api/9984/timeline.json https://the-shashi.com/api/9984/executives.json https://the-shashi.com/api/9984/shareholders.json https://the-shashi.com/api/9984/financials.json https://the-shashi.com/api/9984/financials-longterm.json https://the-shashi.com/api/9984/segments.json https://the-shashi.com/api/9984/regions.json https://the-shashi.com/api/9984/workforce.json | 時代 | 年月 | 社長・CEO | 出来事 | 重要度 |
|---|---|---|---|---|
| 1981〜2000年ソフトウェア流通からインターネット投資への転身 | 孫正義 | 日本ソフトバンクの創業とパソコンソフト卸売事業の立ち上げ 1981年9月、米国留学から帰った孫正義氏が福岡市で株式会社日本ソフトバンクを設立し、パソコン用パッケージソフトの卸売業に乗り出した経営判断。書籍取次に相当する卸機能の空白を突き、ソフトハウス・小売店・ユーザを1社で結ぶ流通を設計した。 詳細を読む | ★★★ | |
| 孫正義 | 月刊「Oh! PC」・月刊「Oh! MZ」を創刊 | ★★ | ||
| 大森康彦 | 大森康彦氏が社長に就任 | ★★ | ||
| 大森康彦 | 売上高115億円を計上 | ★ | ||
| 孫正義 | 孫正義氏が社長に復帰 | ★★ | ||
| 孫正義 | ソフトバンクに商号変更 | ★★ | ||
| 孫正義 | 日本証券業協会に株式を店頭登録 | ★★ | ||
| 孫正義 | 第1回無担保普通社債を発行 | ★ | ||
| 孫正義 | 米ヤフーとの合弁によるヤフー株式会社の設立 1996年1月、ソフトバンクが米ヤフーとの合弁で日本法人『ヤフー株式会社』を設立し、日本の検索ポータルに最先発で参入した経営判断。ソフトバンク60%・米ヤフー40%の出資で日本法人を握り、同年4月には米ヤフー本体へ35%・100億円を追加出資して創業者を上回る筆頭株主となった。社員数名のベンチャーへの出資が、のちにグループ最大級の含み資産へ育った。 詳細を読む | ★★ | ||
| 孫正義 | キングストンテクノロジーを買収 | ★ | ||
| 孫正義 | 相次ぐ買収と「拡大路線」への懸念 1994年の株式公開を機に、ソフトバンクがソフトウェア流通・出版から企業買収と投資へ軸を移し、米ジフ・デービスやコムデックスなどを相次いで買収した経営判断。1996〜1997年には、売上を超える有利子負債を抱えた連続買収に市場の懸念が高まったが、孫正義氏は『買収はやり続ける』と拡大の継続を明言した。 詳細を読む | ★★ | ||
| 孫正義 | 東京証券取引所市場第一部に上場 | ★ | ||
| 孫正義 | 純粋持株会社に移行 | ★★ | ||
| 孫正義 | ネットバブル崩壊下の資産圧縮と日債銀買収 2000年、米ナスダック発のネットバブル崩壊のなかで、ソフトバンクが保有する投資先株式を選別して売却し、有利子負債の圧縮と事業の整理を進めた経営判断。同じ2000年には、批判を受けながら破綻・国有化されていた日本債券信用銀行(のちのあおぞら銀行)を買収し、金融へ関与した。 詳細を読む | ★★ | ||
| 孫正義 | Alibaba.com Corporationに出資し関連会社化 | ★★ | ||
| 孫正義 | 日本債券信用銀行を買収 | ★★ | ||
| 2001〜2016年ADSLと携帯キャリア買収による通信事業体への変貌 | 孫正義 | ADSL参入とYahoo!BBの危機 2001年、ソフトバンクが『Yahoo!BB』ブランドでADSLに参入し、モデムの無料配布などの莫大な先行投資でシェアを取りにいった経営判断。参入直後の2002年度はブロードバンド事業が売上を超える巨額の赤字を出し、事業売却=解体しかないとまで報じられたが、孫正義氏は投資を続け、参入5年目に黒字転換した。 詳細を読む | ★★★ | |
| 孫正義 | ブロードバンド事業で営業損失179億円を計上 | ★ | ||
| 孫正義 | ブロードバンド事業の営業損失が962億円に拡大 | ★ | ||
| 孫正義 | 日本テレコムの買収と固定・携帯通信への布石 2004年7月、ソフトバンクが固定通信事業者の日本テレコムを約3,400億円で買収した経営判断。法人向け固定通信の顧客基盤600万ユーザーと光ファイバー事業を確保し、Yahoo!BBで築いた先行投資型の消費者事業モデルを法人・通信領域へ広げるとともに、携帯電話への参入をにらんだ足場とした。 詳細を読む | ★★ | ||
| 孫正義 | 福岡ダイエーホークスの買収と球団保有 2004年秋、ソフトバンクが福岡ダイエーホークスの買収に名乗りを上げ、球団の興行権を丸ごと買い取る形で交渉を進めた経営判断。当初は本命視されなかったが交渉をまとめ、2005年に福岡ソフトバンクホークスとして球団を保有した。消費者向けブランドYahoo!BBの知名度づくりに、プロ野球という露出装置を組み込む一手であった。 詳細を読む | ★★ | ||
| 孫正義 | ブロードバンド事業が黒字転換 | ★ | ||
| 孫正義 | ボーダフォンの日本法人を子会社化 | ★★★ | ||
| 孫正義 | 「ソフトバンク新30年ビジョン」を発表 | ★★ | ||
| 孫正義 | 携帯基地局の整備・増強に2500億円を投資 | ★ | ||
| 孫正義 | 営業利益6752億円を計上 | ★ | ||
| 孫正義 | スプリント株の70%取得を発表 | ★★ | ||
| 孫正義 | スプリントの買収総額を216億ドルへ引き上げ | ★ | ||
| 孫正義 | 米スプリント買収による北米携帯市場への進出 ソフトバンクが2012年10月に発表し2013年7月に完了した、米携帯3位スプリントの買収。総額約216億ドル(約1.8兆円)でスプリント株の約78%を取得して子会社化し、国内キャリアから北米の巨大市場へ進出した経営判断。 詳細を読む | ★★★ | ||
| 孫正義 | アリババがニューヨーク証券取引所に上場 | ★ | ||
| 孫正義 | 国内通信4社が合併 | ★ | ||
| 孫正義 | ソフトバンクグループに商号変更 | ★★ | ||
| 孫正義 | アリババ株の一部を売却 | ★★ | ||
| 孫正義 | アームの買収を発表 | ★★ | ||
| 孫正義 | 英ARM買収——IoT・AI時代を見据えた過去最大3.3兆円のM&A 2016年7月18日、ソフトバンクグループが英ARMホールディングスを約240億ポンド(約3.3兆円)で買収すると発表し、同年9月に完全子会社化した経営判断。ARMはスマートフォン向けを中心に世界の半導体設計で圧倒的なシェアを持ち、買収額はソフトバンクにとって過去最大規模であった。 詳細を読む | ★★★ | ||
| 2017〜2026年ビジョン・ファンドと投資持株会社への本格的転換 | 孫正義 | ソフトバンク・ビジョン・ファンドの組成 2017年5月、ソフトバンクグループが運用総額986億ドル(約10兆円)のソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF1)を組成し、サウジアラビアのPIFを中心とする外部資金でUber・WeWorkなど大型ベンチャーへ1社数十億ドルを投じた経営判断。自己資金331億ドルに対し外部資金655億ドルをてこにする構造で、事業会社から投資会社への傾斜を決定づけた。 詳細を読む | ★★★ | |
| 孫正義 | ソフトバンクが東京証券取引所市場第一部に上場 | ★★ | ||
| 孫正義 | ソフトバンク・ビジョン・ファンド2が活動を開始 | ★★ | ||
| 孫正義 | エリオット・マネジメントが自社株買いを要求 | ★★ | ||
| 孫正義 | 株価が1日で17%強下落 | ★ | ||
| 孫正義 | エリオットの株主還元要求と、4.5兆円資産売却・2.5兆円自社株買い 2020年3月、ソフトバンクグループが最大4.5兆円(410億ドル)の保有資産を売却・資金化し、最大2兆円の追加自社株買いと有利子負債の圧縮に充てると発表した経営判断。同月13日に公表した5,000億円分と合わせ、自社株買いは計2.5兆円規模となった。この発表は、物言う株主エリオット・マネジメントが大規模な株主還元とガバナンス改善を求めた直後に置かれた。 詳細を読む | ★★ | ||
| 孫正義 | 親会社の所有者に帰属する純損失9615億円を計上 | ★★ | ||
| 孫正義 | スプリントが子会社から除外 | ★★ | ||
| 孫正義 | 米エヌビディアへのアーム売却——最大400億ドルの契約と、規制が壊した世紀のディール 2020年9月14日、ソフトバンクグループが、2016年に約3.3兆円で買収した英半導体設計アームの全株式を、米エヌビディアへ最大400億ドル(約4.2兆円)で売却する契約を発表した経営判断。英国・中国・EU・米国の規制当局の承認を得られず、2022年2月8日に契約解消(破談)となった。 詳細を読む | ★★ | ||
| 孫正義 | 自社株買い1.5兆円を実施 | ★ | ||
| 孫正義 | 本社を移転 | ★ | ||
| 孫正義 | 親会社の所有者に帰属する純利益4兆9880億円を計上 | ★★ | ||
| 孫正義 | 米連邦取引委員会がアーム買収の差し止めを求めて提訴 | ★★ | ||
| 孫正義 | アームの売却契約の解消で合意 | ★★ | ||
| 孫正義 | 親会社の所有者に帰属する純損失1兆7080億円を計上 | ★★ | ||
| 孫正義 | プライム市場に移行 | ★ | ||
| 孫正義 | アリババが関連会社から除外 | ★★ | ||
| 孫正義 | 親会社の所有者に帰属する純損失9701億円を計上 | ★ | ||
| 孫正義 | アームがナスダックに上場 | ★★ | ||
| 孫正義 | 親会社の所有者に帰属する純損失2276億円を計上 | ★ | ||
| 孫正義 | エリオット・マネジメントが再び自社株買いを要求 | ★ | ||
| 孫正義 | アームの時価総額が約25兆円に到達 | ★ | ||
| 孫正義 | OpenAIへの巨額出資とAIインフラ「スターゲート」 2025年1月、ソフトバンクグループが米国のAIインフラに今後4年で5000億ドルを投じる新会社Stargateの設立に加わり、3月にはOpenAIへ最大400億ドル(約5.98兆円、実質最大300億ドル)の追加出資で合意した投資判断。段階的に払い込みを進め、2026年2月にはさらに300億ドルの追加出資で合意し、累計646億ドル・持分約13%まで積み増した。 詳細を読む | ★★ | ||
| 孫正義 | 米半導体設計Ampere Computingの65億ドル買収 2025年3月20日、ソフトバンクグループが、Armベースのサーバー向けCPUを設計する米Ampere Computingを総額65億ドル(約1兆円)の現金取引で買収すると発表した経営判断。主要投資家のCarlyleとOracleが持分を売却し、米当局の審査を経て同年11月25日(米国時間)に全持分の取得を完了、完全子会社化した。 詳細を読む | ★★ | ||
| 孫正義 | 親会社の所有者に帰属する純利益1兆1533億円を計上 | ★ |
免責事項およびポリシー
事実根拠:出所(ソフトバンクグループ)