マルアイなど3社を取得(2005年・はごろもフーズの決断)

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論点 乾物メーカー3社の買収でグループ化するか
はごろもフーズ:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)
乾物メーカー3社の全株式取得と、初めての連結決算

何をなぜ決めたか:乾物メーカー3社の全株式取得と、初めての連結決算

概要

2005年4月1日付で、はごろもフーズが"花かつお"で知られる削り節メーカーのマルアイと関係会社マルアイ商事・愛食興産の議決権100%に相当する株式を取得した。3社株式の取得価額は44億62百万円で、この取得を機にはごろもフーズは初めて連結財務諸表を作成した。

背景

1990年代から続く"シーチキン依存からの脱皮"という課題に対し、無菌包装米飯やパスタといった自前の設備投資は成果に届かなかった。マルアイ側では前社長から後継者がいないとして譲渡の申し出があった。

内容

取得資金は取引銀行3行によるシンジケートローンなどの長期借入金40億円で賄い、3社の現金及び現金同等物を差し引いた実際の支出は22億33百万円であった。取得価額が受け入れた純資産を下回ったため連結調整勘定(負債)25億18百万円が発生し、5年均等で営業外収益に振り替えられた。

含意

乾物・ギフトという隣接カテゴリーは連結売上の15%ほどを占めたが、独立した収益源にはならなかった。2017年4月にマルアイは本体へ吸収され、2023年3月期には乾物製品群の設備に8億78百万円の減損損失が計上された。

いつ何が起きたか 6件
考察:依存を減らすことと、収益を上げることは別であった
考察

考察:依存を減らすことと、収益を上げることは別であった

この買収は、単一商品への依存を数値の上で下げるという目的については達している。乾物とギフトを加えたことで、連結売上に占めるツナの比率は45%台まで下がった。売り手から持ち込まれた事業承継案件を、純資産を下回る価格で引き受けた点も、取引としては不利な条件ではなかったと思われる。買収直後の5年間、負ののれんの償却益が経常利益を押し上げたことも、財務上の余裕をもたらしたであろう。

ただし、比率が下がることと、新しい収益源が稼ぐことは別の話である。買収前から利益率の低かった削り節・海苔の事業は、はごろもフーズの傘下でも収益力を取り戻せず、販売部門の再編、本体への吸収合併、そして工場の減損という順で整理されていった。缶詰で築いたブランドと流通の強みが、原料も売り方も異なる乾物にはそのまま効かなかったのだろう。依存の是正を目的に据えた多角化が、何をもって成功とみなされるのか——この判断は、その基準を測り直す材料として残っているといえる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
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図と表

はごろもフーズ:連結調整勘定(負ののれん)と総資産の推移

連結調整勘定(百万円)
はごろもフーズ:連結調整勘定(負ののれん)と総資産の推移
(百万円) 連結調整勘定総資産 備考
2006年3月期 2,01449,759 発生額2,518から当期の償却503を引いた残高
2007年3月期 1,51047,977
2008年3月期 1,00746,193 会計基準の改正により科目名が負ののれんへ変わった
2009年3月期 50343,246
2010年3月期 045,000 5年の償却が終わり残高が消えた
2011年3月期 046,182
出所:はごろもフーズ 有価証券報告書 第77期〜第82期(連結貸借対照表、主要な経営指標等の推移)
出所:はごろもフーズ 有価証券報告書 第77期〜第82期(連結貸借対照表、主要な経営指標等の推移)

はごろもフーズ:売上高と利益の推移

売上高(百万円)経常利益(百万円)
はごろもフーズ:売上高と利益の推移
(百万円) 売上高経常利益当期純利益 備考
2002年3月期 76,799992375 2005年3月期までは単体。連結財務諸表を作成していない
2003年3月期 76,531915471
2004年3月期 75,9341,824699
2005年3月期 70,6501,3721,132
2006年3月期 81,9051,625△1,209 連結初年度。単体は売上69,132・経常864・純損失1,847
2007年3月期 79,401456△151
2008年3月期 80,091885334
2009年3月期 80,4131,435570
2010年3月期 80,7333,4822,151
2011年3月期 78,3661,907640
出所:はごろもフーズ 有価証券報告書 第77期・第82期(主要な経営指標等の推移)
出所:はごろもフーズ 有価証券報告書 第77期・第82期(主要な経営指標等の推移)

買収の条件

買収の条件
科目 概要 備考
取得した会社 ㈱マルアイ、マルアイ商事㈱、愛食興産㈱ 愛食興産は2005年9月1日にマルアイと合併した
事業の内容 削り節・味付け海苔等の製造販売 マルアイ商事は進物用品の製造販売。ともに愛知県名古屋市
株式取得日 2005年4月1日 議決権100%に相当する株式を取得した
取得した議決権比率 100.0% マルアイへの役員の兼任は6名、マルアイ商事へは1名
3社株式の取得価額 4,462百万円 このうち25百万円は前期に支払済み
取得のための支出 2,232百万円 取得価額から3社の現金及び現金同等物2,203百万円を差し引いた純額
資金調達 長期借入金40億円 取引銀行3行によるシンジケートローンなど
連結開始時に受け入れた資産 12,252百万円 流動資産9,135百万円と固定資産3,116百万円
引き受けた負債 5,272百万円 流動負債3,228百万円と固定負債2,043百万円
連結調整勘定(負債) 2,518百万円 取得価額が受け入れた純資産を下回ったために発生した負ののれん
連結調整勘定の償却 5年間の均等償却 毎期503百万円を営業外収益に計上。2010年3月期に残高が消えた
企業結合等関係の注記 なし 企業結合会計基準の適用前であり、条件は沿革と各注記に分かれて載る
マルアイの売上高 11,835百万円 2006年3月期。経常利益245百万円、当期純利益134百万円
マルアイの純資産額 6,676百万円 総資産額は10,117百万円
出所:はごろもフーズ 有価証券報告書 第77期(2006年3月期)【沿革】【関係会社の状況】【連結キャッシュ・フロー計算書関係】
出所:はごろもフーズ 有価証券報告書 第77期(2006年3月期)【沿革】【関係会社の状況】【連結キャッシュ・フロー計算書関係】
参考文献

参考文献

参考
  • はごろもフーズ 有価証券報告書(2006年3月期・連結)
  • はごろもフーズ 有価証券報告書(2006年3月期・単体)
  • はごろもフーズ 有価証券報告書(2023年3月期・連結)
  • はごろもフーズ 有価証券報告書【沿革】
  • 証券アナリストジャーナル(2000年、後藤康雄 はごろもフーズ社長 )

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