MIXIモンスト一本足からの脱却を狙ったフンザ115億円買収と、チケットキャンプ閉鎖
- 概要
- 2015年3月、ミクシィはチケットフリマアプリ『チケットキャンプ』を運営するフンザを、自社として過去最高額の115億円で買収した。スマートフォンゲーム『モンスターストライク』に集中した収益構造から抜け出すための第一手であった。
- 背景
- SNS『mixi』への依存で2013年に上場来初の営業赤字に落ちた経験が、経営陣に一本足への警戒を残していた。モンスターストライクのヒットで手元資金は900億円を超え、その資金を次の柱へ振り向ける余地が生まれていた。
- 内容
- 買収額は当時の同社のM&A実績より一桁大きく、高すぎるとの批判も出た。チケットキャンプの流通総額は2015年末に月間約36億円と1年で4.5倍に伸び、2019年に売上高70億〜80億円・営業利益35億〜40億円を狙う計画であった。
筆者の見解
分散を急いだ会社が、分散の作法を知るまで
この買収の判断そのものは、当時の材料から見れば理解しやすい。単一タイトルへの収益集中を解くという課題は明確で、対象事業は現に伸びており、資金も潤沢であった。躓いたのは買うかどうかの判断より、買った後に何を見ておくべきかという部分にあったとみることができる。チケット2次流通は、利用者の利便と興行主・演者の意向が正面から衝突しうる事業であり、収益の伸びだけを追っていると、その衝突が事業の存続条件であることに気づきにくい。急いで分散しようとした会社が、分散先の事業が抱える固有の摩擦を測りきれなかったといえる。
それでも、この失敗が残したものは小さくなかった。木村弘毅社長の下で執行役員制度が導入され、子会社の管理体制が組み替えられる。その体制は2024年にチャリ・ロトで不正が発覚した際に再び試され、審査部の設置や取引先との面談記録の義務化といったさらなる手当てにつながった。買収で事業を買うことと、買った事業を統治することは別の能力にあたる——MIXIがスポーツや海外ベッティングへ買収を重ねる今日、2015年の115億円が残した問いは、なお現在形で残っているとみられる。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
- ミクシィ「チケットフリマサービスを運営する株式会社フンザの全株式を取得」(2015年3月19日)
- ITmedia NEWS(2018年1月24日)
- ミクシィ 有価証券報告書(2015年3月期・連結)