MIXIモンスターストライク1本への資源集中と、65億円の公募増資

時期 2014年2月
意思決定者(推定) 朝倉祐介・取締役会 社長
論点 主力事業の入れ替えと資源配分
概要
2014年2月28日、ミクシィは新株113万株を発行する公募増資を決議し、手取概算63億円を前年10月に配信を始めたスマートフォン向けゲーム『モンスターストライク』の広告宣伝費に充てた。上場した2006年以来はじめての公募増資であった。
背景
SNS『mixi』の広告収入がガラケーからスマートフォンへの移行でほぼ消え、2013年4〜6月期に上場来初の営業赤字に落ちた。2014年3月期の連結売上高は122億円、営業利益は4億8,000万円まで細っていた。
内容
決議当時のモンスターストライクは月商1億円に届かず、利用者も100万人以下にとどまっていた。払込金総額は6,537百万円で、資金は開発でも新規事業でもなくテレビCMを中心とする宣伝に集中して投じられた。笠原健治会長の持株比率は49.24%となり、5割を下回った。
含意
2014年5月にApp Storeの国内アプリ売上ランキングで首位に立ち、2015年3月期の売上高は1,129億円と前期の9倍を超えた。2016年3月期は売上高2,088億円・営業利益950億円で、SNSの運営会社は2年でゲームの会社に変わった。
筆者の見解

沈む船を見ていた会社が、次に選んだ振れ幅

この判断で問われたのは、ゲームが当たるかどうかではなく、当たるかどうかが分からない時期に会社の資源をどこまで一本へ寄せられるかであった。2014年2月のミクシィは営業利益5億円に満たない会社であり、65億円の宣伝費を本業の稼ぎから出せる規模になかった。外部資金を入れ、創業者の持株比率が過半を割ることを織り込み、しかもその全額を、当たらなければ人材も技術も残らない広告へ回している。手元の現金を守って様子を見る選択もありえた場面で、経営陣は反対側を選んだ。

背中を押したのは、mixiの失速という自社の記憶であったとみられる。従来型携帯電話からスマートフォンへの移行で主力の入れ替えに間に合わず、上場来初の営業赤字に落ちた経験が、ためらう理由ではなく踏み込む理由として働いた。増資を決めた月、モンスターストライクの月商は1億円に届いていない。それから2年後、このゲームは1カ月で約150億円を売り上げていた。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

出典・参考
  • ミクシィ 有価証券報告書(2014年3月期・連結)
  • ミクシィ 有価証券報告書(2015年3月期・連結)
  • ミクシィ 有価証券報告書(2016年3月期・連結)
  • ミクシィ 有価証券報告書【沿革】
  • gamebiz(2014年2月28日)

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