「LINE」の投入(2011年・LINEの決断)

更新:
LINE:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
検索・ゲームからメッセンジャーアプリへの主力の移行2011年6月、韓国NHN Corporation(現NAVER)の子会社であるNHN Japanのグループが、モバイルメッセンジャー・アプリケーション「LINE」をリリースした経営判断。サービスの公開日は2011年6月23日である。

何をなぜ決めたか:検索・ゲームからメッセンジャーアプリへの主力の移行

概要

2011年6月、韓国NHN Corporation(現NAVER)の子会社であるNHN Japanのグループが、モバイルメッセンジャー・アプリケーション「LINE」をリリースした経営判断。サービスの公開日は2011年6月23日である。

LINEはユーザー同士であれば国内・海外、通信キャリアを問わず、無料で音声通話とメールができるスマートフォンアプリとして広がり、公開から約10か月の2012年4月18日に登録ユーザー数が世界3,000万人・国内1,300万人を超えた。

背景

NHN Japanの前身は、NHN Corporationが2000年9月にハンゲームジャパンとして設けた会社で、同年11月にゲームポータル「Hangame」を始めた。2003年8月にグループ会社のネイバーと合併してNHN Japanとなり、2007年11月に検索サービス「NAVER」を扱うネイバージャパンを設立、2010年5月にはライブドアの株式を取得し、NAVERとlivedoorの両サービスを結び付けた。

2011年2月時点のハンゲームは登録ID数3,800万を超えるパソコン向けオンラインゲームポータルで、同社は携帯電話やスマートフォン分野へのサービス拡充を進めていた。代表取締役社長は森川亮氏である。

内容

公開後のLINEは、機能と周辺サービスを足した。トークで文字・位置情報・画像(写真)・絵文字/スタンプを送れる仕組みに、2012年4月26日には動画・音声メッセージを加え、人気キャラクターのスタンプを買える「スタンプショップ」を世界同時に公開した。同年3月28日には「LINE Card」、4月12日には「LINE camera」も出している。

2012年6月18日には企業向けの「LINE 公式アカウント」を始め、第一弾に日本コカ・コーラ、ローソン、すき家などが加わった。7月3日には、本格事業化に向けたプラットフォーム戦略と新サービスを発表する場を設けると案内した。

含意

登録ユーザー数は2013年1月18日時点で世界1億人・国内4,100万人を超え、公開から約19か月での到達となった。同年4月には商号をLINE株式会社に改め、新設分割で設けたNHN Japanにハンゲーム事業を承継させて、NHN Corporationがその会社を完全子会社とした。2013年7月にはLINEの月間アクティブユーザー数が1億人を突破している。

売上収益は2013年12月期の395億円から2016年12月期に1,407億円となり、会社は2016年7月15日に東京証券取引所市場第一部へ上場した。

いつ何が起きたか8件
筆者考察
考察

考察:経営資源を集中したのは資金より、検索に張りついていた人と時間

慎ジュンホ氏は検索のために2008年に来日し、第2次ネイバージャパンの検索事業を任された人物である。新規事業が既存事業と人手を奪い合って立ち消える例は珍しくない。ここでは奪う側と奪われる側の責任者が同一人物であり、しかも韓国本社の指示ではなく日本法人の独自企画であった。その二つが重なったからこそ、4月末から2か月弱という日程が通ったとみられる。

ただし、震災から始まったという物語は後から整えられた面がある。6月27日のリリースは電話番号を登録キーにするという市場論だけで書かれており、震災には触れていない。速度の代金も安くはなかった。1,000万ダウンロードの翌期にあたる2012年12月期は経常損失、2013年12月期は税引前損失83億円で、広告宣伝と海外での費用が先に出ている。着想の早さだけでは、この日程は通らなかった。育てかけの検索から人を剥がせたこと、赤字を数年抱える判断ができたこと、その両方が揃っている。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
参考文献

参考文献

参考

  • LINE 有価証券報告書 第17期(2016年12月期)【沿革】
  • NHN Japan プレスリリース(2012年4月18日)「無料通話・無料メールアプリ「LINE」、サービス公開から約10ヶ月で登録ユーザー数3,000万人を突破」
  • NHN Japan プレスリリース(2011年2月3日)「NHN Japanとフィールズ、合弁会社を設立」
  • NHN Japan プレスリリース(2012年4月26日)「LINE、「スタンプショップ」を世界同時公開」
  • NHN Japan プレスリリース(2012年6月18日)「無料通話・無料メールアプリ「LINE」、企業向けに「LINE 公式アカウント」を提供開始」
  • NHN Japan プレスリリース(2012年6月14日)「無料通話・無料メールアプリ『LINE(ライン)』、本格事業化に向けたプラットフォーム戦略および新サービスを発表」
  • NHN Japan「LINE 2013年4-6月 媒体資料」(2013年)「利用ユーザー1億人を突破」
  • LINE 有価証券報告書 第17期(2016年12月期)【主要な経営指標等の推移】
  • LINE 有価証券報告書 第17期(2016年12月期)【株価の推移】
  • LINE株式会社 有価証券届出書(新規公開)【沿革】【主要な経営指標等の推移】

次に読む決断

同業他社の状況(ネットプラットフォーマー)

免責事項およびポリシー