SHIFT ソフトウェアテスト専業化 製造業向けコンサルティングからの撤退を伴う業態転換

更新:

時期 2009年
当時の社長 丹下大
論点 事業領域の選択と人材モデル
何をなぜ決めたか
概要

2009年、製造業向けコンサルとして創業したSHIFTが、丹下大社長の主導でソフトウェアテスト専業へ業態を転換し、テスト人材を標準化して大量に育てる事業モデルへ移した経営判断。

背景

創業から4年は主力が定まらず、コンサルと並行して立ち上げたSNS・レンタルの各事業は半年ほどで撤退し、社員は18名から12名に減っていた。そこへ大手企業からテスト外注のコスト過多を相談され、付随作業として軽く扱われ専業も乏しい未開拓の市場であることを見た。

内容

2009年11月にソフトウェアテスト事業部を設け、製造業の工程分析手法をテストに持ち込む。1人250万円のコンサル型を捨てて1時間1,480円の従量課金へ移し、2010年のCAT検定で未経験者の適性を測り、研修と合わせ3カ月から半年で現場に出せる人材供給の仕組みを構築した。

含意

標準化した人材供給が収益を支え、地方センターやオフショアと組み合わさって急成長と2014年の上場につながった。のちの連続M&Aで買収先の利益率を引き上げるPMIの土台にもなった。

いつ何が起きたか 10件
筆者の見解
筆者の見解

規模より、どんな仕組みで人を供給するか

この判断の性格は、競争優位に立てる事業をみずから畳んだ転換というより、主力が定まらないまま社員を減らした4年の末に見つけた一手へ、全社を寄せた点にある。丹下氏自身、ビジネスの型を固めないまま起業し、今の事業にたどり着くまでに5年を費やしたことを自戒として語っている。裏を返せばこの転換は、創業時の構想を実現したものではなく、試行の末に引き当てた答えであった。丹下氏が賭けたのは、ソフトウェアテストという工程そのものより、製造業で当たり前だった標準化を品質保証の世界へ移せるという読みであったのだろう。テストを属人的な職人技のままにせず、検定と研修で誰でも一定の水準に届く標準の能力へ組み替えたことが、大量採用と短期の戦力化を同時に成り立たせたといえる。

この標準化は、テスト事業の外へも効いていった。買収した企業へ同じ人材育成と工程管理を移し、営業とコストの両面から利益率を引き上げるPMIの手法として、2016年以降の連続M&Aで差別化の要素になった。創業事業を捨てて選んだ、人を標準化して供給するという一手が、テスト専業の急成長にとどまらず、その後の買収を通じた拡大の下地にもなっただろう。何を売るかより、どんな仕組みで人を供給するか——SHIFTはその問いに早い段階で答えを出した会社と思われる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

業績の推移
同じ問いに直面した会社
参考文献
出典・参考
  • ドリームゲート(2012年12月4日)「第156回 株式会社シフト 代表取締役社長 丹下大」
  • SHIFT 有価証券報告書【沿革】

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