スカパーJSAT の歴史

更新: Author:

創業 2007年
母体 ジェイサット+スカイパーフェクト・コミュニケーションズ
創業地 東京都千代田区
創業
1985年、通信自由化で電電公社の独占が崩れ、伊藤忠商事・三井物産・米ヒューズが出資した日本通信衛星、三菱商事系の宇宙通信、住友商事・日商岩井が主導したサテライトジャパンの三社が相次いで生まれた。日本通信衛星は日本で最初に民間が上げた通信衛星を持ち、放送局や企業へ映像と高速データを中継する事業を始める。ただし三社はいずれも需要より先に設備を抱えており、打ち上げてしまえば長く使う中継器の空きをどう埋めるかが共通の宿題だった。その答えが1996年に始めた多チャンネル放送であり、二年後には並び立てば共倒れになると読んで後発と合併する
決断
競争相手を潰さず抱え込み、一社へ集約してきた点で一貫している。1998年の合併でスカイパーフェクTVが発足したのち、2000年には日本から撤退する米ヒューズが抱えたディレクTVを救済統合し、デジタルCS放送のプラットフォームは事実上一本になった。2007年には株式移転で衛星会社ジェイサットと経営統合し、翌2008年には宇宙通信も傘下へ加えて、1985年に生まれた三社が一つの屋根の下へ集まる。相手を排除せず抱え込んだ結果、加入者を積み増して稼ぐ放送の頭打ちを、中継器を通信事業者や放送局へ長期に貸す衛星側の利益で埋める形に行き着いた。
現況
主力事業は放送ではなく衛星である。2026年3月期の連結売上高1,276億円は宇宙事業660億円・メディア事業615億円で、10年以上メディアが上回っていた売上構成が入れ替わった。セグメント利益でも宇宙241億円がメディア119億円を上回り、連結営業利益353億円の7割近くを宇宙が生む。2022年にはNTTと折半出資でSpace Compassを設立し、静止軌道の中継器貸しに低軌道・成層圏を足す構想を掲げた。有料放送を運ぶ一方、防衛省のXバンド通信衛星をPFIで調達・運用し、官公庁の需要まで取り込んだ。
競合
競争は放送と衛星で別々にある。放送ではDAZNなど動画配信の参入で放映権が高騰し、2016年度にJリーグを失い関連契約はピークの約20万件から半減した。赤字覚悟で高額の放映権は買わないと決め、残る視聴時間をケーブルテレビ最大手のジュピターテレコムや株主でもあるフジ・メディア・ホールディングスら在京キー局と奪い合う。衛星ではIntelsat・SESら欧米大手に規模で及ばず、追う手段を競争でなく共同保有に置いた。2018年にインテルサットと折半で上げたHorizons 3eがその形で、航空機や船舶へのブロードバンド回線を相手の販売網に載せて売っている。
スカパーJSAT:長期業績の推移(売上高・利益率)売上高(億円純利益率(%)
2008年3月期2026年3月期

設立ストーリー 電電公社の独占が崩れた1985年に生まれた三社と日本初の民間通信衛星 (1985年〜)

需給調整に阻まれた三社同時参入と日本通信衛星の船出

伊藤忠商事・三井物産・米ヒューズの3社が出資した日本通信衛星[1]、三菱商事系の宇宙通信、そして住友商事・日商岩井が主導したサテライトジャパンである。同じ市場に三社が同時に参入すれば共倒れになるという行政側の判断が働いたためで、衛星通信は生まれた時点から、需要より先に設備が立つ産業として扱われていた。一基の衛星は打ち上げてしまえば長く使い続ける設備であり、中継器の空きをどう埋めるかが三社に共通する課題として残る。

  • 日経ビジネス 1990年5月7日号
    • [1]日本通信衛星は伊藤忠商事・三井物産・米ヒューズ社の3社が出資した衛星通信会社

日本で最初に民間が上げた通信衛星であり、続く6月には宇宙通信もスーパーバードA号の打ち上げに成功する。放送局や企業向けに映像と高速データを中継する事業が、ここから始まった。日本通信衛星の社長には1989年7月、伊藤忠商事副社長だった中山嘉英氏が就いた[2]。中山氏は『企業経営も同じで、成功の後には衰退が待っている。頂点に達する前に、次代を支える新事業を立ち上げることがトップマネジメントの課題』[引用元]と語り、事業を始めたばかりの会社にすでに次を求めていた。

  • 日経ビジネス 1990年5月7日号
    • [2]中山嘉英氏は1925年生まれ、1948年大建産業(現伊藤忠商事)入社、1986年6月伊藤忠副社長、1989年7月日本通信衛星社長に就任
  • 日経ビジネス 1990年5月7日号
    • [1]日本通信衛星は伊藤忠商事・三井物産・米ヒューズ社の3社が出資した衛星通信会社
    • [2]中山嘉英氏は1925年生まれ、1948年大建産業(現伊藤忠商事)入社、1986年6月伊藤忠副社長、1989年7月日本通信衛星社長に就任

スーパーバード二機喪失で決した衛星事業者の明暗

先行した宇宙通信は、衛星を二機続けて失った。1990年2月にスーパーバードB号がアリアン・スペース[3]のロケット打ち上げ失敗で消え、同年12月18日には軌道上のA号で姿勢軌道制御電子回路が故障する。宇宙線によるコンピュータの誤作動から燃料の元栓が閉じ、姿勢制御に必要な酸化剤が噴き出した。皆川広宗社長は12月23日の役員会で[4]、顧客を全員ライバルの日本通信衛星へ移すよう指示する。復旧は1991年1月23日に断念され、A号は機能を停止した。三菱グループの宇宙事業を担った会社は、営業手段をすべて失った。

  • 日経ビジネス 1991年3月11日号
    • [3]1990年2月にスーパーバードBをアリアン・スペース社のロケット打ち上げ失敗で喪失、1990年12月18日にスーパーバードAの姿勢軌道制御電子回路(AOCE)に故障発生、1991年1月23日に復旧を断念し機能停止
    • [4]皆川広宗氏は1919年生まれ、三菱商事出身で、1985年3月の宇宙通信設立に伴い同社社長に就任

顧客移管は3日で終えるような作業ではなかった。登録アンテナは3000カ所、発信局だけで100カ所以上[5]あり、全国300カ所にデポを設けて三菱電機ほかのアンテナメーカーと郵政省の協力を仰ぎ、一晩でやり遂げている。1991年7月には債務超過を避けるため三菱グループ30社が400億円を増資し、社長も谷口芳男氏に交代する。1995年度にようやく黒字化したものの累積損失は490億円近く残り、その一掃は2010年以降との見通しが立つほど傷は深かった。

  • 日経ビジネス 1991年3月11日号
    • [5]登録アンテナ3000カ所、発信局100カ所以上、全国300カ所にデポを設け、三菱電機をはじめとするアンテナメーカーと郵政省の協力で一晩で再調整
  • 日経ビジネス 1991年3月11日号
    • [3]1990年2月にスーパーバードBをアリアン・スペース社のロケット打ち上げ失敗で喪失、1990年12月18日にスーパーバードAの姿勢軌道制御電子回路(AOCE)に故障発生、1991年1月23日に復旧を断念し機能停止
    • [4]皆川広宗氏は1919年生まれ、三菱商事出身で、1985年3月の宇宙通信設立に伴い同社社長に就任
    • [5]登録アンテナ3000カ所、発信局100カ所以上、全国300カ所にデポを設け、三菱電機をはじめとするアンテナメーカーと郵政省の協力で一晩で再調整

大連合による日本サテライトシステムズとパーフェクTV開局

衛星の空き中継器を埋める答えが、多チャンネル有料放送だった。1994年11月に設立されたディーエムシー企画は[6]、のちに日本デジタル放送サービスとなり、1996年10月にデジタルCS放送『パーフェクTV』を開始する[7]。1997年1月には有料化に移った。放送開始までの1年間は会社近くに泊まる日々が続き、実際に放送が始まったときは『息が止まるかと思った』[引用元]と後年語っている。歓喜ではなく、止まったらどうしようという恐れのほうであった。

  • スカイパーフェクト・コミュニケーションズ 有価証券報告書 第13期(2007年3月期)【沿革】
    • [6]1994年11月に㈱ディーエムシー企画を設立(本店 東京都港区虎ノ門一丁目26番5号、資本金100百万円)、1995年7月に㈱ディーエムシーへ商号変更、同年9月に日本デジタル放送サービス㈱へ商号変更し本店を渋谷区へ移転
    • [7]1996年10月にJCSAT-3による衛星デジタル多チャンネル放送サービスを開始し、1997年1月にJCSAT-3を利用した有料放送を開始(サービス名称:パーフェクTV!)
  • スカイパーフェクト・コミュニケーションズ 有価証券報告書 第13期(2007年3月期)【沿革】
    • [6]1994年11月に㈱ディーエムシー企画を設立(本店 東京都港区虎ノ門一丁目26番5号、資本金100百万円)、1995年7月に㈱ディーエムシーへ商号変更、同年9月に日本デジタル放送サービス㈱へ商号変更し本店を渋谷区へ移転
    • [7]1996年10月にJCSAT-3による衛星デジタル多チャンネル放送サービスを開始し、1997年1月にJCSAT-3を利用した有料放送を開始(サービス名称:パーフェクTV!)

API for AI Agents — 認証不要、URLをGETするだけで機械可読なJSONをトークン消費を抑えつつ取得できます。

スカパーJSATの沿革1998〜2026年における主な出来事を抜粋

時代年月社長・CEO出来事重要度
1997〜2006年多チャンネル放送の乱立と淘汰、五社寄り合い所帯となったスカイパーフェクTVパーフェクTVとJスカイBの合併によるスカイパーフェクTV発足

1998年5月1日、デジタルCS放送『パーフェクTV』を運営する日本デジタル放送サービスと、豪ニューズ・コーポレーションとソフトバンクが折半出資したジェイ・スカイ・ビーが合併し、170チャンネルのスカイパーフェクTVが発足した。

詳細を読む
★★★
「スカイパーフェクTV」が発足★★
ライバル ディレクTVの救済統合と東証マザーズ上場

2000年3月2日、日本デジタル放送サービス(スカイパーフェクTV)はライバルのディレクTVを統合すると発表し、同年10月20日に東証マザーズへ上場した。デジタルCS放送のプラットフォームは事実上一本化された。

詳細を読む
★★★
東京証券取引所マザーズに上場
スカイパーフェクト・コミュニケーションズとジェイサットが経営統合で基本合意★★
2007〜2018年持株会社による経営統合と、放送の頭打ちを衛星の利益が支えた12年臨時株主総会で共同株式移転による持株会社設立を承認
仁藤雅夫株式移転による衛星会社JSATとの経営統合と宇宙通信の子会社化

2006年10月に基本合意し、2007年4月2日、スカイパーフェクト・コミュニケーションズとジェイサットは共同株式移転により完全親会社スカパーJSATを設立した。2008年3月には宇宙通信を子会社化し、同年10月に事業会社3社を一つに合併した。

詳細を読む
★★★
仁藤雅夫普通株式を東京証券取引所市場第一部に上場
仁藤雅夫株式取得により宇宙通信を子会社化★★
秋山政徳商号をスカパーJSATHDに変更
秋山政徳スカイパーフェクト・コミュニケーションズがジェイサット・宇宙通信を吸収合併
秋山政徳スカパーJSATに商号変更
秋山政徳連結子会社であったケーブルテレビ足立の全株式を売却
秋山政徳データネットワークセンターを完全子会社化
高田真治ディー・エス・エヌを設立
高田真治スカパーJSATが、連結子会社であったオプティキャストを吸収合併
高田真治WAKUWAKU JAPANを設立
高田真治CS放送の衛星一般放送業務をスカパー・エンターテイメントへ承継
2019〜2026年宇宙会社への転換と、持株会社を畳んで事業会社に戻った2026年米倉英一スカパーJSATが、連結子会社であったWAKUWAKU JAPANを吸収合併
米倉英一スカパーJSATが、連結子会社であった衛星ネットワークを吸収合併
米倉英一スカパー・ピクチャーズを設立
米倉英一スカパー・カスタマーリレーションズ株式の一部を売却
米倉英一JSAT Beyond Innovation LLCを設立
米倉英一スカパーJSATを吸収合併★★
米倉英一スカパーJSATに商号変更
出典・参考
  • スカイパーフェクト・コミュニケーションズ 有価証券報告書 第13期(2007年3月期)【沿革】
  • 日経ビジネス 1990年5月7日号
  • 日経ビジネス 1991年3月11日号

免責事項およびポリシー