この合併の性格は、優位に立った側が劣位の側を引き受けたというより、始まる前の競争を当事者どうしで畳んだ点にある。ジェイ・スカイ・ビーは150チャンネルの計画を掲げながら一度も放送せずに消え、消耗戦は数字で決着する前に打ち切られた。四商社にとっての実利は衛星の稼働率であり、放送はその需要をつくるための手段であった。合併を主導した動機が放送事業そのものへの確信ではなかったところに、その後の株主構成のちぐはぐさの芽があったと推察される。
横並びの5社に11.375%ずつを配る出資構成は、誰も突出させないかわりに、誰も責任を負わない構えでもあった。豪ニューズは早期の黒字化を、ソフトバンクは退き際を、フジテレビジョンは地上波を先に見ていて、事業に前のめりだったのはソニーだけだったと同時代の誌面は伝えている。競争相手を消すことと、事業を伸ばす主体をつくることは別の作業である。この合併が残した課題は、二年後のディレクTV統合、そして九年後の衛星会社との経営統合まで、かたちを変えて引き継がれていく。