この決断は、競争相手を引き受けることと、資本市場に出ることを同じ年に重ねた点に特徴がある。ディレクTVの統合は優位に立つ側による吸収というより、外資が退場するにあたっての受け皿づくりであり、条件面ではむしろ退く側が得をした。それでもプラットフォームが一つになれば、販売奨励金の競り上げは止まり、加入者1人あたりの採算を立て直す前提が整う。損益分岐点の手前で上場を急いだのも、その立て直しに要する資金を、黒字化を待たずに取りにいく判断だっただろう。
もっとも、独占には値段がついた。追い出されたかたちの三菱商事と日本テレビは次期CSで対抗軸をつくろうと動き、業界の主導権争いは場所を変えて続く。加入者を集める費用も、市場に競争相手がいなくなったからといってすぐには下がらず、累積損失の一掃は無償減資という手段を用いた2003年6月まで持ち越された。競争を減らせば採算が戻るという読みは、半分だけ当たったといえる。残りの半分——加入者を増やす以外の稼ぎ方をどこに求めるか——は、七年後の衛星会社との経営統合まで答えが出ないまま残った。