NTTドコモ の歴史

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創業 1991年
母体 日本電信電話
創業地 東京都
創業
1991年8月、日本電信電話の出資でエヌ・ティ・ティ・移動通信企画が東京に設立された。同年11月には北海道から九州まで地域8社を置き、1992年4月にエヌ・ティ・ティ移動通信網へ商号を変更、同年7月にNTTから携帯・自動車電話や無線呼出の営業を譲り受けて開業した。開業時の社長は日本電信電話取締役だった大星公二氏。商号は2000年にエヌ・ティ・ティ・ドコモ、2013年にNTTドコモへ改まる。公正競争の促進を目的とした政府措置による分社で、顧客も設備も技術者も親会社から引き継いでおり、ゼロから創業したのではない。
決断
回線を貸すだけでなく、その上へ自社のサービスを載せて客を囲い込む。判断はこの一点で貫かれている。1999年2月のiモードで、通信網に何を載せるかを自社で決める仕組みを作る。同じ設計を世界へ広げようと2000年前後に欧米アジアの通信事業者へ相次いで出資したが、取ったのは経営権に及ばない15〜24%の持分で、2002年3月期に6,246億円、翌期に3,196億円の減損を強いられる。2018年10月には「会員を軸とした事業運営」を掲げ、囲い込む相手を回線契約者からdポイント会員へ移した。上へ載せる設計は自社の網では効き、他社の網の上では効かなかった。
現況
NTTの完全子会社として、グループの移動通信を一手に担っている。2020年9月、親会社のNTTは1株3,900円で3分の1を占めていた一般株主の持分を取得し、同年12月に東証一部の上場は廃止された。上場最終期の2020年3月期の営業収益は4兆6,513億円で、うち通信事業が3兆6,870億円と8割弱を占める。営業利益8,547億円のうち通信事業が7,065億円、dポイントやd払いを集約したスマートライフ事業は収益5,437億円に対し利益325億円だった。回線の外へ広げた分は費用に食われ、上場廃止のときも稼ぎ手は携帯電話の回線料のままだった。
競合
決着をつけたのは料金だった。2020年3月末で国内の携帯電話契約数の44.1%、8,033万契約を握り、同じ全国網を持つKDDI・ソフトバンクとの3社競争で首位を保ったが、サブブランドとMVNOの格安スマホに低価格帯を侵食されていた。2018年12月、総務省の緊急提言と楽天の携帯電話事業への参入を前に最大4,000億円の顧客還元を決める。翌2019年度は新料金で2,000億円、端末と回線を分ける分離プランで800億円の減益を抱えた。日本で最初に全国へ電波を敷いた事業者は、いちばん多くの回線を抱えるがゆえに、値下げの痛みを最も重く負う側へ回った。
NTTドコモ:長期業績の推移(売上高・利益率)売上高(億円純利益率(%)
2002年3月期2020年3月期
NTTドコモにおける経営の転換点(その1) Q なぜ1999年にiモードで通信網の上に自社サービスを載せたのか
A 回線を貸すだけの事業者にとどまれば、通信網は差別化を失って価格勝負に陥る。コンテンツと課金の場を自社で握れば、通信の上に継続して稼げる層を作れる。この読みから1999年2月、モバイルマルチメディア戦略の中核としてiモードを始めた。担当したゲートウェイビジネス部で企画室長を務めた松永真理氏は、鋭い『大衆感知センサー』を武器とする人物として紹介されており、何を載せるかを自社で決める発想を社内へ持ち込んだ。この発想は20年後まで残る。2017年4月の中期戦略2020「beyond宣言」を受けた中期経営戦略で、ドコモは「会員を軸とした事業運営への変革」と「5Gの導入とビジネス創出」を基本方針に据え、2021年度にdポイントクラブ会員7,800万人という目標を掲げた。回線の数ではなく会員の数を経営指標に置く会社へ、iモードの延長線上で移っていった。
NTTドコモにおける経営の転換点(その2) Q なぜ2000年前後に海外キャリアへ相次いで出資し、巨額の減損を負ったのか
A 国内市場の成熟を前に、自社が主導した第3世代W-CDMAとiモードを世界へ広げ、出資先を通じて稼ぐ構想へ踏み込んだためである。2000年度の年次報告は、オランダKPN傘下のKPNモバイルへの15%出資に関する覚書締結を海外戦略の柱として説明している。2001年度には台湾KG Telecommunicationsとの提携やオランダ・ドイツ・ベルギーでの合弁準備が続き、米AT&T Wirelessは15.89%、香港・英国のHutchison 3Gは20〜24%と、いずれも経営権に届かない持分だった。ITバブルの崩壊で出資先の企業価値が落ちると、米国会計基準の連結で2002年3月期に6,246億円、2003年3月期にも3,196億円の減損を計上する。税効果調整前の内訳はAT&T Wirelessが6,644億円、KPNモバイルが3,204億円、Hutchison 3G UKが564億円、KGテレコムが364億円である。2004年度にはAT&Tワイヤレス株式を売却して5,018億円の売却益を計上し、整理へ向かった。経営権を取らない出資は、出資先の資本構成が変わればそのまま影響力の喪失に直結した。
NTTドコモにおける経営の転換点(その3) Q なぜ2020年に親会社NTTの完全子会社となり、上場を廃止したのか
A 値下げを受け止める体力を、上場子会社のままでは作れなかったためである。2018年12月、ドコモは総務省の緊急提言と楽天の新規参入を背景に最大4,000億円の顧客還元を決めた。翌2019年度は新料金による2,000億円の減益に、端末代金と回線料金を分ける分離プランでの機器収支悪化800億円が重なり、営業利益は前年比1,800億円の減益見通しとなる。実際に営業利益は2019年3月期の1兆136億円から2020年3月期の8,546億円へ落ちた。一方でNTTの持株比率は66.21%にとどまり、残る3分の1は一般株主のものだった。2020年9月29日、NTTは1株3,900円でドコモ株式を公開買付けすると決め、ドコモ取締役会は賛同して株主に応募を推奨する。NTTはこの再編を、グループ横断で各社のリソースやアセットを戦略的に組み合わせて活用するための前提と位置づけている。買付け後の株式売渡請求を経て、ドコモは2020年12月に上場を廃止した。1991年に公正競争の促進を目的として分社された会社が、料金政策の要請に応える形で親会社の内側へ戻ったことになる。

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NTTドコモの沿革1991〜2020年における主な出来事を抜粋

時代年月社長・CEO出来事重要度
日本電信電話の出資により設立★★
各地域移動通信企画8社を設立
大星公二エヌ・ティ・ティ移動通信網に商号変更
大星公二日本電信電話から移動通信事業を営業譲受★★
大星公二地域企画会社8社が各地域移動通信網に商号変更
大星公二地域ドコモ8社に移動通信事業を営業譲渡
大星公二エヌ・ティ・ティ中央移動通信を吸収合併
大星公二端末の売り切り制を導入★★
大星公二公正取引委員会が携帯電話各社に立入検査
大星公二首都圏の新規契約シェアが89%に到達★★
立川敬二立川敬二氏が社長に就任
立川敬二東京証券取引所市場第一部に上場
立川敬二エヌ・ティ・ティ中央パーソナル通信網からPHS事業を営業譲受
立川敬二「iモード」のサービスを開始★★★
立川敬二日本電信電話が純粋持株会社体制に移行★★
立川敬二ハチソンテレフォンに資本参加
立川敬二エヌ・ティ・ティ・ドコモに商号変更
立川敬二KPNモバイルに出資★★
立川敬二iモード・W-CDMAの世界展開を狙った海外通信事業者への約1.9兆円出資

1999年末から2001年にかけて、NTTドコモがiモードとW-CDMAの世界展開を掲げ、香港ハチソンテレフォン・蘭KPNモバイル・米AT&Tワイヤレス・英ハチソン3G UKなど海外の通信事業者へ累計約1.9兆円を出資した経営判断。立川敬二社長が主導し、出資が集中した2000年に対外的に明確化した。

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★★★
立川敬二第3世代サービス「FOMA」を開始★★
立川敬二ロンドン証券取引所・ニューヨーク証券取引所に上場
立川敬二売上高5兆円・営業利益1兆円を突破★★
立川敬二海外出資先の減損6246億円を計上★★
立川敬二海外出資先の減損3196億円を計上
中村維夫中村維夫氏が社長に就任
中村維夫AT&T Wireless株を売却★★
2005〜2013年国内市場の成熟とシェア低下、地域ドコモ8社合併とiPhone導入中村維夫PHSの新規受付を終了
中村維夫番号ポータビリティ制度が開始
中村維夫マルチメディア放送の準備会社を設立
山田隆持山田隆持氏が社長に就任
山田隆持地域ドコモ8社を吸収合併★★★
山田隆持LTEサービスを開始★★
山田隆持スマートフォン向け放送「NOTTV」を開局
加藤薰加藤薫氏が社長に就任
加藤薰「ツートップ戦略」を開始
加藤薰iPhoneの取り扱いを開始★★★
加藤薰NTTドコモに商号変更
加藤薰1株を100株に分割
2014〜2020年値下げ圧力とdポイント経済圏への転換、NTTによる完全子会社化加藤薰売上高4兆3834億円・営業利益6439億円に減少
加藤薰「NOTTV」からの撤退を決定★★
吉澤和弘吉澤和弘氏が社長に就任
吉澤和弘営業利益1兆966億円・純利益7908億円を計上
吉澤和弘ニューヨーク証券取引所の上場を廃止
吉澤和弘最大4000億円の顧客還元を発表★★★
吉澤和弘売上高4兆6513億円・営業利益8546億円を計上
吉澤和弘日本電信電話が公開買付けによる完全子会社化を発表★★★
井伊基之井伊基之氏が社長に就任★★
井伊基之東京証券取引所市場第一部の上場を廃止★★

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