NTTドコモ の歴史

創業

1991年

創業者

※日本電信電話

創業地

東京都

直近売上高(2020/3)

46,513億円

長期業績と転換点(1991/3〜2020/3)
売上高(億円純利益率(%)
Q なぜ1999年にiモードで通信網の上に自社サービスを載せたのか
A 回線を貸すだけの事業者に留まれば、通信網は差別化を失い価格勝負に陥る。コンテンツと課金の場を自社で握れば、通信の上に継続して稼げる層を作れる。この読みから1999年2月にiモードを始めた。携帯電話網とインターネット網の接続点にゲートウェイを置いて方式を変換し、端末からネットへつないだ。担当部門はリクルートなどから採った「外人部隊」と呼ばれ、公社体質の営業部隊と対照的だった。企画室長の松永真理氏らが、何を載せるかを自社で決める発想を持ち込んだ
Q なぜ2000年前後に海外キャリアへ1兆円超を出資し、巨額の評価損を負ったのか
A 国内市場が成熟し次の成長を国内で描きにくくなったため、自社主導の第3世代W-CDMAとiモードを世界へ広げ、出資先を通じてノウハウで稼ぐ構想に総額を投じた。2000年11月末に米AT&Tワイヤレスへ約1兆792億円を出資して株式16%を取得し、海外投資は米国分だけで計1.7兆円に達した。しかしITバブル崩壊とマイノリティ出資ゆえの発言力不足が重なり、2002年3月期に関係会社株式評価損8,129億円を計上した。立川敬二社長は「短期の投機家じゃない」と弁明したが、過大投資であったことは明らかだった
Q なぜ2020年に4.3兆円のTOBで親会社NTTの完全子会社になったのか
A 総務省の値下げ要請と楽天参入で料金競争が強まる一方、ドコモは廉価のサブブランドを持たず収入・利益は国内3番手へ落ちていた。上場を続ける限り一般株主への配慮から業績悪化を招く値下げは通しにくい。完全子会社化すれば30%強の少数株主持分利益をNTTが取り込め、値下げ減益をグループで吸収できる。この計算から2020年9月29日、約66%を出資するNTTはドコモをTOBで完全子会社化すると発表し、買付総額は約4.3兆円と国内TOBで過去最大になった。1992年に公正競争促進のため分離された会社が、政策要請に応えて親会社へ戻った。

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1991年〜 NTTからの分社と全国網の先行構築が生んだ携帯電話市場の独走

  1. 1991年 日本電信電話の出資により設立
  2. 1991年 各地域移動通信企画8社を設立
  3. 1992年 エヌ・ティ・ティ移動通信網に商号変更
  4. 1992年 日本電信電話から移動通信事業を営業譲受
  5. 1993年 地域企画会社8社が各地域移動通信網に商号変更
  6. 1994年 端末の売り切り制を導入
  7. 1997年 首都圏の新規契約シェアが89%に到達

移動通信事業の営業譲受による実質開業と全国網の先行構築

1991年8月、日本電信電話の出資により、エヌ・ティ・ティ・移動通信企画が東京で設立された[1]。1985年に民営化された日本電信電話[2]から移動通信事業を切り離す受け皿として、公正競争の促進を目的とした政府措置[3]を受けて用意された会社である。同年11月には北海道・東北・東海・北陸・関西・中国・四国・九州の各地域移動通信企画8社を設立し[4]、全国を地域会社で分担する体制を同時に組んだ。1992年4月にエヌ・ティ・ティ移動通信網へ商号を変更し[5]、同年7月に日本電信電話から携帯・自動車電話、無線呼出、船舶電話、航空機公衆電話の各事業を営業譲受して開業した[6]。分社の直後から携帯電話の需要が爆発的に拡大し、その恩恵を最も受けたのがドコモだった[7]

  • NTTドコモ 有価証券報告書 第29期(2020年3月期)【沿革】
    • [1]1991年8月 日本電信電話の出資によりエヌ・ティ・ティ・移動通信企画設立
    • [4]1991年11月 各地域移動通信企画8社(北海道、東北、東海、北陸、関西、中国、四国、九州)設立
    • [5]1992年4月 エヌ・ティ・ティ移動通信網へ商号変更
    • [6]1992年7月 日本電信電話より移動通信事業(携帯・自動車電話、無線呼出、船舶電話、航空機公衆電話)の営業譲受
  • 週刊東洋経済 2020年10月10日号「ニュース最前線 01 NTTが4兆でドコモ吸収 携帯料金値下げへの布石」
    • [2]日本電信電話の民営化 1985年
    • [3]公正競争の促進を目的とした政府措置による1992年のNTTからの分離
  • 週刊東洋経済 1997年9月27日号「企業「圧勝」ドコモ NTTをも脅かす今世紀最後の“大物”上場が近づいた」
    • [7]1992年のNTTからの分離以降 携帯電話ブームで最も恩恵を受けた事業者がドコモ

1993年4月に地域企画会社8社が各地域移動通信網へ商号を変更し[8]、同年7月には各地域の携帯・自動車電話と無線呼出の事業を8社へ営業譲渡した[9]。同年10月にはエヌ・ティ・ティ中央移動通信との合併と、地域ドコモ8社による各地域移動通信の吸収[10]を同時に済ませ、全国を9社で覆う分担が整った。1994年の端末売り切り制の導入と相次ぐ料金値下げを境に、携帯電話の加入者は毎年1,000万人という速度で増えた[11]。大星公二社長は勝因を三つに整理し、北海道から九州までの全国ネットワーク構築、端末の小型軽量化を支えた開発力[12]、利益が出れば料金値下げで還元する方針を挙げた。赤字の時期にも研究開発費を削らず、先行して料金を下げて需要を喚起した点は、後任の立川敬二社長も先代の功績として認めている[13]

  • NTTドコモ 有価証券報告書 第29期(2020年3月期)【沿革】
    • [8]1993年4月 地域企画会社8社が各地域移動通信網へ商号変更
    • [9]1993年7月 各地域の移動通信事業(携帯・自動車電話、無線呼出)を8社へ営業譲渡
    • [10]1993年10月 エヌ・ティ・ティ中央移動通信と合併、地域ドコモ8社が各地域移動通信を吸収合併
  • 週刊東洋経済 1999年8月7日号「[特集]通信活性化の条件 ドコモをNTTから分離せよ! 通信産業活性化の新条件」
    • [11]1994年の端末売り切り制導入と相次ぐ料金値下げ以降 携帯電話加入者が毎年1,000万人の速度で増加
  • 週刊東洋経済 1997年9月27日号「企業「圧勝」ドコモ NTTをも脅かす今世紀最後の“大物”上場が近づいた」
    • [12]大星公二社長が挙げた勝因 全国ネットワーク構築・端末の開発力・料金値下げによる還元
  • 週刊東洋経済 2001年4月28日号「INTERVIEW NTTドコモ社長 立川敬二 第3世代、国際戦略、分割。ドコモの本音を話そう」
    • [13]立川敬二社長「先代(大星公二会長)が苦しいときも研究開発を一生懸命やった」「赤字なのに先行して料金を下げて需要を喚起した」
  • NTTドコモ 有価証券報告書 第29期(2020年3月期)【沿革】
    • [1]1991年8月 日本電信電話の出資によりエヌ・ティ・ティ・移動通信企画設立
    • [4]1991年11月 各地域移動通信企画8社(北海道、東北、東海、北陸、関西、中国、四国、九州)設立
    • [5]1992年4月 エヌ・ティ・ティ移動通信網へ商号変更
    • [6]1992年7月 日本電信電話より移動通信事業(携帯・自動車電話、無線呼出、船舶電話、航空機公衆電話)の営業譲受
    • [8]1993年4月 地域企画会社8社が各地域移動通信網へ商号変更
    • [9]1993年7月 各地域の移動通信事業(携帯・自動車電話、無線呼出)を8社へ営業譲渡
    • [10]1993年10月 エヌ・ティ・ティ中央移動通信と合併、地域ドコモ8社が各地域移動通信を吸収合併
  • 週刊東洋経済 2020年10月10日号「ニュース最前線 01 NTTが4兆でドコモ吸収 携帯料金値下げへの布石」
    • [2]日本電信電話の民営化 1985年
    • [3]公正競争の促進を目的とした政府措置による1992年のNTTからの分離
  • 週刊東洋経済 1997年9月27日号「企業「圧勝」ドコモ NTTをも脅かす今世紀最後の“大物”上場が近づいた」
    • [7]1992年のNTTからの分離以降 携帯電話ブームで最も恩恵を受けた事業者がドコモ
    • [12]大星公二社長が挙げた勝因 全国ネットワーク構築・端末の開発力・料金値下げによる還元
  • 週刊東洋経済 1999年8月7日号「[特集]通信活性化の条件 ドコモをNTTから分離せよ! 通信産業活性化の新条件」
    • [11]1994年の端末売り切り制導入と相次ぐ料金値下げ以降 携帯電話加入者が毎年1,000万人の速度で増加
  • 週刊東洋経済 2001年4月28日号「INTERVIEW NTTドコモ社長 立川敬二 第3世代、国際戦略、分割。ドコモの本音を話そう」
    • [13]立川敬二社長「先代(大星公二会長)が苦しいときも研究開発を一生懸命やった」「赤字なのに先行して料金を下げて需要を喚起した」

首都圏シェア89%の独走と1998年10月の株式上場

分離から5年で市場での位置は決着し、1997年1月の首都圏における新規契約のシェアは89%に達した[14]。累計シェアでも過半を押さえ[15]、1998年3月期は連結売上高2兆4,120億円・純利益600億円[16]が見込まれていた。1996年11月に公正取引委員会が携帯電話各社へ立入検査に入り[17]、販売店への価格拘束の疑いが指摘された結果、従来は高めだったドコモ端末の価格が下がり、他社との格差が縮まった[18]。販売店からは「同じ値段なら『ドコモ』ブランドを買う客のほうが多い」[19]という声が挙がっている。競合するIDOの塚田健雄社長は「ドコモは公社時代の人、カネ、技術という国家資産を受け継いだ[20]。同じ土俵には立てない」と批判したが、大星社長は公社時代の技術はほとんど無いと反論した[21]。安売りを放置すればシェアがかえって増えるため、独占禁止法を意識せざるをえないジレンマ[22]を抱えていた。

  • 週刊東洋経済 1997年9月27日号「企業「圧勝」ドコモ NTTをも脅かす今世紀最後の“大物”上場が近づいた」
    • [14]1997年1月の首都圏における新規契約シェア 89%
    • [15]累計シェアでもドコモが過半を保持
    • [16]1998年3月期見込み 連結売上高2兆4,120億円(23%増)・純利益600億円(倍増)
    • [17]1996年11月 公正取引委員会が携帯電話各社へ立入検査(販売店への価格拘束の疑い)
    • [18]公取委の立入検査後 従来高めだったドコモ端末の価格が下落し他社との格差が縮小
    • [19]販売店の声「同じ値段なら『ドコモ』ブランドを買う客のほうが多い」
    • [20]IDOの塚田健雄社長「ドコモは公社時代の人、カネ、技術という国家資産を受け継いだ。同じ土俵には立てない」
    • [21]大星公二社長「技術独占というが公社時代のものはほとんどない」
    • [22]価格拘束を警戒して安売りを放置するとシェアがさらに増えるため 勝ち過ぎゆえに独禁法を意識するジレンマ

1998年10月、東京証券取引所市場第一部へ上場した[23]。公募価格は390万円と決まり、10月22日の初値[24]に市場の関心が集まった。国内外の市場からの調達額は合計2兆1,255億円[25]にのぼり、親会社の日本電信電話にはドコモ株の売却益として約8,500億円[26]が入った。当初の国内主幹事は山一証券の予定だったが、同社の自主廃業を受けて日興証券へ引き継がれ、海外主幹事はゴールドマン・サックス証券[27]が務めている。上場に先立ち、公正取引委員会は日本電信電話に対し95%の持株比率を下げるよう指導した[28]が、同社は5割以下にはしない方針を崩さなかった。1997年にNTTから副社長として送り込まれた立川敬二氏[29]が、1998年に社長へ就任している。

  • NTTドコモ 有価証券報告書 第29期(2020年3月期)【沿革】
    • [23]1998年10月 東京証券取引所市場第一部に上場
  • 週刊東洋経済 1998年10月24日号「[フラッシュ]ドコモ上場で真に笑うのは誰か?」
    • [24]公募価格390万円・初値は10月22日
    • [25]国内外の調達総額 2兆1,255億円
    • [26]NTTに入ったドコモ株売却益 約8,500億円
    • [27]国内主幹事は旧山一証券の自主廃業により日興証券へ、海外主幹事はゴールドマン・サックス
  • 週刊東洋経済 1997年9月27日号「企業「圧勝」ドコモ NTTをも脅かす今世紀最後の“大物”上場が近づいた」
    • [28]公正取引委員会がNTTへ持株比率95%の引き下げを指導、NTTは5割以下にはしない方針
  • 週刊東洋経済 2001年4月28日号「INTERVIEW NTTドコモ社長 立川敬二 第3世代、国際戦略、分割。ドコモの本音を話そう」
    • [29]立川敬二氏 1997年NTTドコモ副社長・1998年社長就任(1939年生、62年東京大学工学部卒、同年日本電信電話公社入社)
  • 週刊東洋経済 1997年9月27日号「企業「圧勝」ドコモ NTTをも脅かす今世紀最後の“大物”上場が近づいた」
    • [14]1997年1月の首都圏における新規契約シェア 89%
    • [15]累計シェアでもドコモが過半を保持
    • [16]1998年3月期見込み 連結売上高2兆4,120億円(23%増)・純利益600億円(倍増)
    • [17]1996年11月 公正取引委員会が携帯電話各社へ立入検査(販売店への価格拘束の疑い)
    • [18]公取委の立入検査後 従来高めだったドコモ端末の価格が下落し他社との格差が縮小
    • [19]販売店の声「同じ値段なら『ドコモ』ブランドを買う客のほうが多い」
    • [20]IDOの塚田健雄社長「ドコモは公社時代の人、カネ、技術という国家資産を受け継いだ。同じ土俵には立てない」
    • [21]大星公二社長「技術独占というが公社時代のものはほとんどない」
    • [22]価格拘束を警戒して安売りを放置するとシェアがさらに増えるため 勝ち過ぎゆえに独禁法を意識するジレンマ
    • [28]公正取引委員会がNTTへ持株比率95%の引き下げを指導、NTTは5割以下にはしない方針
  • NTTドコモ 有価証券報告書 第29期(2020年3月期)【沿革】
    • [23]1998年10月 東京証券取引所市場第一部に上場
  • 週刊東洋経済 1998年10月24日号「[フラッシュ]ドコモ上場で真に笑うのは誰か?」
    • [24]公募価格390万円・初値は10月22日
    • [25]国内外の調達総額 2兆1,255億円
    • [26]NTTに入ったドコモ株売却益 約8,500億円
    • [27]国内主幹事は旧山一証券の自主廃業により日興証券へ、海外主幹事はゴールドマン・サックス
  • 週刊東洋経済 2001年4月28日号「INTERVIEW NTTドコモ社長 立川敬二 第3世代、国際戦略、分割。ドコモの本音を話そう」
    • [29]立川敬二氏 1997年NTTドコモ副社長・1998年社長就任(1939年生、62年東京大学工学部卒、同年日本電信電話公社入社)

1999年〜 iモードによるサービス化の成功と海外キャリア出資の巨額減損

NTTドコモの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 1999年 「iモード」のサービスを開始
  2. 1999年 日本電信電話が純粋持株会社体制に移行
  3. 2000年 KPNモバイルに出資
  4. 2000年 iモード・W-CDMAの世界展開を狙った海外通信事業者への約1.9兆円出資 独り勝ちの資金力で世界標準を買えるか——蘭KPNモバイル・米AT&Tワイヤレスへのマイノリティ出資が残したもの
  5. 2001年 第3世代サービス「FOMA」を開始
  6. 2002年 売上高5兆円・営業利益1兆円を突破
  7. 2002年 海外出資先の減損6246億円を計上

iモードが実現した通信網のサービス化

1999年2月に始めたiモード[30]は、携帯電話網とインターネット網の接続点にゲートウェイを置き、通信方式を変換して携帯端末からネットへつなぐ仕組み[31]だった。回線を貸すだけの事業者にとどまらず、コンテンツと課金の場を自社で抱え込む設計は順調に立ち上がった[32]。もっともゲートウェイには負荷が集中して動作障害によるサービス中断をたびたび強いられ[33]、課金も電話と同じ従量制で、使うほど利用者の支払いが増える構造[34]を残した。当時のドコモ社内でiモード部門は、リクルートやインターネット関連企業からヘッドハンティングした「外人部隊」[35]と呼ばれ、公社的体質が指摘された営業部隊とは対照的に元気がいいと端末メーカー幹部が証言している[36]。ゲートウェイビジネス部の企画室長を務めた松永真理氏は、鋭い「大衆感知センサー」を武器とする人物として紹介された[37]

  • 週刊東洋経済 2004年4月24日号「NTTドコモ、社長交代へ 慎重すぎた“孝行息子”立川采配6年間の後に残ったものとは」
    • [30]iモードのサービス開始 1999年2月
  • 週刊東洋経済 2000年12月16日号「陰影 米AT&Tワイヤレスに出資 破竹のドコモに忍び寄る「電話網」iモードの限界」
    • [31]iモードは携帯電話網とインターネット網の接続点にゲートウェイ(通信方式変換装置)を置く構造
    • [33]ゲートウェイへの負荷集中による動作障害でサービス中断が繰り返された
    • [34]iモードの課金は電話と同じ従量制で 使うほど利用者の支払いが増える構造
  • 週刊東洋経済 1999年8月7日号「[特集]通信活性化の条件 ドコモをNTTから分離せよ! 通信産業活性化の新条件」
    • [32]1999年時点でiモードは順調に立ち上がった
    • [35]iモード部門はリクルート社やインターネット関連企業からヘッドハンティングした「外人部隊」
    • [36]ドコモの営業部隊に公社的体質が復活したとの端末メーカー幹部の証言
  • 日経ビジネス 2000年2月21日号「フォーカス 松永真理氏[NTTドコモ・ゲートウェイビジネス部企画室長]鋭い「大衆感知センサー」が武器 携帯電話で再び社会現象起こす」
    • [37]松永真理氏 NTTドコモ・ゲートウェイビジネス部企画室長、鋭い「大衆感知センサー」を武器とする人物と紹介

通信網とサービスを一体で握るドコモに対し、NTTの宮津純一郎社長は新体制への移行前から「将来、ドコモを分社化してズタズタにすることもありうる」[38]と語っていた。1999年7月、NTTは純粋持株会社の下に東西地域通信2社と長距離・国際通信のNTTコミュニケーションズを置く体制へ再編し[39]、ドコモ株の67%を持株会社が握る形で、ドコモも旧NTT三社と同列に並んだ[40]。携帯電話同士の通話ではNTTの通信網が使われず、接続料収入が消える[41]。1997年度には携帯電話からの通話の43.6%が携帯電話あてに変わり[42]、1999年3月期にはNTTの固定電話とISDNの合計加入者数が6,291万人と初めて減少へ転じた一方、携帯電話は4,153万人まで増えた[43]。大星社長の時代には「もうNTTという冠は要らない」と独立を求める機運が社内で強まっていた[44]が、立川敬二氏(社長)の就任以降、独立志向の発言は表立って聞かれなくなった。

  • 週刊東洋経済 1999年8月7日号「[特集]通信活性化の条件 ドコモをNTTから分離せよ! 通信産業活性化の新条件」
    • [38]NTTの宮津純一郎社長「将来、ドコモを分社化してズタズタにすることもありうる」
    • [39]1999年7月 NTTが純粋持株会社の下に東西地域通信2社とNTTコミュニケーションズを置く体制へ再編
    • [40]ドコモ株式の67%を持株会社NTTが保有し ドコモは旧NTT三社と同列
    • [41]携帯電話同士の通話ではNTTの通信網が一切使用されず接続料収入が失われる
    • [42]1997年度の携帯電話からの通話のうち43.6%が携帯電話あて(郵政省通信白書)
    • [43]1999年3月期 NTTの固定電話とISDN合計加入者数6,291万人で初の減少、携帯電話は4,153万人
    • [44]大星公二社長時代の「もうNTTという冠は要らない」という独立志向、立川敬二社長就任以降は表立って聞かれず
  • 週刊東洋経済 2004年4月24日号「NTTドコモ、社長交代へ 慎重すぎた“孝行息子”立川采配6年間の後に残ったものとは」
    • [30]iモードのサービス開始 1999年2月
  • 週刊東洋経済 2000年12月16日号「陰影 米AT&Tワイヤレスに出資 破竹のドコモに忍び寄る「電話網」iモードの限界」
    • [31]iモードは携帯電話網とインターネット網の接続点にゲートウェイ(通信方式変換装置)を置く構造
    • [33]ゲートウェイへの負荷集中による動作障害でサービス中断が繰り返された
    • [34]iモードの課金は電話と同じ従量制で 使うほど利用者の支払いが増える構造
  • 週刊東洋経済 1999年8月7日号「[特集]通信活性化の条件 ドコモをNTTから分離せよ! 通信産業活性化の新条件」
    • [32]1999年時点でiモードは順調に立ち上がった
    • [35]iモード部門はリクルート社やインターネット関連企業からヘッドハンティングした「外人部隊」
    • [36]ドコモの営業部隊に公社的体質が復活したとの端末メーカー幹部の証言
    • [38]NTTの宮津純一郎社長「将来、ドコモを分社化してズタズタにすることもありうる」
    • [39]1999年7月 NTTが純粋持株会社の下に東西地域通信2社とNTTコミュニケーションズを置く体制へ再編
    • [40]ドコモ株式の67%を持株会社NTTが保有し ドコモは旧NTT三社と同列
    • [41]携帯電話同士の通話ではNTTの通信網が一切使用されず接続料収入が失われる
    • [42]1997年度の携帯電話からの通話のうち43.6%が携帯電話あて(郵政省通信白書)
    • [43]1999年3月期 NTTの固定電話とISDN合計加入者数6,291万人で初の減少、携帯電話は4,153万人
    • [44]大星公二社長時代の「もうNTTという冠は要らない」という独立志向、立川敬二社長就任以降は表立って聞かれず
  • 日経ビジネス 2000年2月21日号「フォーカス 松永真理氏[NTTドコモ・ゲートウェイビジネス部企画室長]鋭い「大衆感知センサー」が武器 携帯電話で再び社会現象起こす」
    • [37]松永真理氏 NTTドコモ・ゲートウェイビジネス部企画室長、鋭い「大衆感知センサー」を武器とする人物と紹介

世界時価総額上位と海外キャリアへの1兆円出資

国内で行き止まりが見えた成長を、ドコモは海外に求めた[45]。世界的なITブームのさなかの2000年から、自社が主導した第3世代携帯電話W-CDMAとiモードを世界へ広げる戦略を掲げ[46]、各国の携帯電話事業者へ相次いで出資している。1999年12月に香港ハチソンテレフォンへ資本参加し[47]、2000年5月にはオランダのKPNモバイルへ15%を出資して役員を送り込んだ[48][49]。国際ビジネス部長の辻村清行氏は資本政策を「経営に100%責任が持てれば経営権を完全取得、そうでなければ連結に反映できる15〜20%超の株式取得を選ぶ」[50]と説明し、立川敬二氏(社長)も海外進出の経験が浅いことを理由にマイノリティ出資を貫くとしていた[51]。1999年12月の時点で、ドコモの時価総額30兆円は米マイクロソフトの48兆円[52]と並べて論じられる水準にあった。

  • 週刊東洋経済 2002年6月15日号「[特集]決算書に強くなる PART2 実践編 NTTドコモ 営業利益1兆円でも盤石といえない理由」
    • [45]市場の飽和が最大の不安要素で その対策が海外投資とFOMAの展開
    • [46]2000年の世界的ITブーム下で自社主導のW-CDMAとiモードの世界展開戦略を掲げ 各国の携帯電話事業者へ積極出資
  • 週刊東洋経済 2000年5月20日号「スクープ! NTTドコモが描く「世界連合」構想の全貌」
    • [47]1999年12月 香港ハチソンテレフォンへ資本参加
    • [48]2000年5月 蘭KPNモバイルへの15%資本参加と役員派遣を発表
    • [51]立川敬二社長が海外進出経験の浅さを理由にマイノリティ出資(15〜20%)を貫く方針
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ アニュアルレポート(2000年度版)
    • [49]KPN Mobile N.V.(オランダ)への出資比率15%(2001年3月末時点の出資先一覧)
  • 週刊東洋経済 2000年2月19日号「棚ボタ欧州戦略、視界良好! NTTドコモが狙う英携帯電話取得の成算」
    • [50]辻村清行・国際ビジネス部長の海外資本政策「経営に100%責任が持てれば経営権を完全取得、そうでなければ連結に反映できる15〜20%超の株式取得を選ぶ」
  • 週刊東洋経済 1999年12月18日号「[データ&ランキング]マイクロソフト48兆円vsNTTドコモ30兆円 時価総額上位企業を日米で比較する」
    • [52]1999年12月時点のNTTドコモの時価総額30兆円 米マイクロソフト48兆円

2000年11月末には米携帯電話3位のAT&Tワイヤレスへ約1兆792億円を出資し、株式16%を取得する[53][54]と発表した。狙いはiモードの輸出で、AT&Tワイヤレスはデータ通信事業を移す子会社を設立し[55]、その最高技術責任者をドコモが指名する取り決めになっている。ISP世界最大の米AOLとの提携によりコンテンツも押さえ[56]、証券アナリストは「三強連合の誕生」と称賛した[57]。海外投資は欧州に続く米国投資で計1.7兆円に達し、次世代携帯への総額1兆円の投資[58]と並走した。立川敬二氏(社長)は1兆円投資の成算を問われ、目先の株価下落による含み損を認めつつ「われわれは短期の投機家じゃない」[59]「われわれのノウハウを持っていけば、もっと伸びる、十分稼げる」と答えた。経営を現地に任せる方針についても「国内だって、みんな事業部長に任せている。目標だけ決めて、あとはちゃんとやれ、と。ダメなら、(経営者を)替えればいい」と述べた。 [60]

  • 週刊東洋経済 2000年12月16日号「陰影 米AT&Tワイヤレスに出資 破竹のドコモに忍び寄る「電話網」iモードの限界」
    • [53]2000年11月末 米AT&Tワイヤレスへ約1兆792億円を出資し株式16%取得を発表
    • [55]出資の狙いはiモードの輸出、AT&Tワイヤレスは子会社を設立しデータ通信事業を移管、同子会社のCTOはドコモが指名
    • [56]米AOL(ISP世界最大)との提携によるコンテンツ確保
    • [57]証券アナリストの評価「三強連合の誕生」
    • [58]海外投資は欧州に続く米国投資で計1.7兆円、次世代携帯には総額1兆円の投資を開始
  • 日経クロステック(2000年11月30日)「NTTドコモが米国へiモードを輸出,AT&Tワイヤレスに1兆円出資」
    • [54]2000年11月30日 AT&Tワイヤレスへ約98億ドル(約1兆792億円)出資・16%取得を発表、iモード普及とW-CDMA構築を共同で推進
  • 週刊東洋経済 2001年4月28日号「INTERVIEW NTTドコモ社長 立川敬二 第3世代、国際戦略、分割。ドコモの本音を話そう」
    • [59]立川敬二社長「目先、株価が下がって含み損になっているが、われわれは短期の投機家じゃない」「われわれのノウハウを持っていけば、もっと伸びる、十分稼げる」
    • [60]立川敬二社長の現地経営方針「国内だって、みんな事業部長に任せている。目標だけ決めて、あとはちゃんとやれ、と。ダメなら、(経営者を)替えればいい」

2000年4月にはエヌ・ティ・ティ・ドコモへ商号を変更し、地域ドコモ8社も同様に改称している[61]。2002年3月にはロンドン証券取引所とニューヨーク証券取引所へ上場し[62]、資金調達の舞台も国際化した。もっとも出資先の株価は早々に崩れ、1株平均約24ドルで取得したAT&Tワイヤレス株は2001年7月末に18ドル台まで下がり、含み損は約2,837億円[63]に達した。立川敬二氏(社長)は同月末の記者会見で「必要があれば、時価会計に基づいて減損する」[64]と述べ、KPNモバイルについては7,000億円を超えるのれん代の評価損[65]が見込まれていた。1年半強で欧米アジアの携帯電話事業者へ投じた額は、累計約1.9兆円[66]にのぼる。

  • NTTドコモ 有価証券報告書 第29期(2020年3月期)【沿革】
    • [61]2000年4月 ㈱エヌ・ティ・ティ・ドコモへ商号変更、地域ドコモ8社も同様に商号変更
    • [62]2002年3月 ロンドン証券取引所及びニューヨーク証券取引所に上場
  • 週刊東洋経済 2001年8月11日号「通信株暴落で含み損! ドコモ海外投資の全貌」
    • [63]1株平均約24ドルで出資したAT&Tワイヤレス株が2001年7月末に18ドル台へ下落 含み損 約2,837億円
    • [64]立川敬二社長が2001年7月末の記者会見で「必要があれば、時価会計に基づいて減損する」と発言
    • [65]KPNモバイルののれん代評価損 7,000億円超の見込み
    • [66]1年半強で欧米アジアの携帯電話事業者へ累計約1.9兆円を出資
  • 週刊東洋経済 2002年6月15日号「[特集]決算書に強くなる PART2 実践編 NTTドコモ 営業利益1兆円でも盤石といえない理由」
    • [45]市場の飽和が最大の不安要素で その対策が海外投資とFOMAの展開
    • [46]2000年の世界的ITブーム下で自社主導のW-CDMAとiモードの世界展開戦略を掲げ 各国の携帯電話事業者へ積極出資
  • 週刊東洋経済 2000年5月20日号「スクープ! NTTドコモが描く「世界連合」構想の全貌」
    • [47]1999年12月 香港ハチソンテレフォンへ資本参加
    • [48]2000年5月 蘭KPNモバイルへの15%資本参加と役員派遣を発表
    • [51]立川敬二社長が海外進出経験の浅さを理由にマイノリティ出資(15〜20%)を貫く方針
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ アニュアルレポート(2000年度版)
    • [49]KPN Mobile N.V.(オランダ)への出資比率15%(2001年3月末時点の出資先一覧)
  • 週刊東洋経済 2000年2月19日号「棚ボタ欧州戦略、視界良好! NTTドコモが狙う英携帯電話取得の成算」
    • [50]辻村清行・国際ビジネス部長の海外資本政策「経営に100%責任が持てれば経営権を完全取得、そうでなければ連結に反映できる15〜20%超の株式取得を選ぶ」
  • 週刊東洋経済 1999年12月18日号「[データ&ランキング]マイクロソフト48兆円vsNTTドコモ30兆円 時価総額上位企業を日米で比較する」
    • [52]1999年12月時点のNTTドコモの時価総額30兆円 米マイクロソフト48兆円
  • 週刊東洋経済 2000年12月16日号「陰影 米AT&Tワイヤレスに出資 破竹のドコモに忍び寄る「電話網」iモードの限界」
    • [53]2000年11月末 米AT&Tワイヤレスへ約1兆792億円を出資し株式16%取得を発表
    • [55]出資の狙いはiモードの輸出、AT&Tワイヤレスは子会社を設立しデータ通信事業を移管、同子会社のCTOはドコモが指名
    • [56]米AOL(ISP世界最大)との提携によるコンテンツ確保
    • [57]証券アナリストの評価「三強連合の誕生」
    • [58]海外投資は欧州に続く米国投資で計1.7兆円、次世代携帯には総額1兆円の投資を開始
  • 日経クロステック(2000年11月30日)「NTTドコモが米国へiモードを輸出,AT&Tワイヤレスに1兆円出資」
    • [54]2000年11月30日 AT&Tワイヤレスへ約98億ドル(約1兆792億円)出資・16%取得を発表、iモード普及とW-CDMA構築を共同で推進
  • 週刊東洋経済 2001年4月28日号「INTERVIEW NTTドコモ社長 立川敬二 第3世代、国際戦略、分割。ドコモの本音を話そう」
    • [59]立川敬二社長「目先、株価が下がって含み損になっているが、われわれは短期の投機家じゃない」「われわれのノウハウを持っていけば、もっと伸びる、十分稼げる」
    • [60]立川敬二社長の現地経営方針「国内だって、みんな事業部長に任せている。目標だけ決めて、あとはちゃんとやれ、と。ダメなら、(経営者を)替えればいい」
  • NTTドコモ 有価証券報告書 第29期(2020年3月期)【沿革】
    • [61]2000年4月 ㈱エヌ・ティ・ティ・ドコモへ商号変更、地域ドコモ8社も同様に商号変更
    • [62]2002年3月 ロンドン証券取引所及びニューヨーク証券取引所に上場
  • 週刊東洋経済 2001年8月11日号「通信株暴落で含み損! ドコモ海外投資の全貌」
    • [63]1株平均約24ドルで出資したAT&Tワイヤレス株が2001年7月末に18ドル台へ下落 含み損 約2,837億円
    • [64]立川敬二社長が2001年7月末の記者会見で「必要があれば、時価会計に基づいて減損する」と発言
    • [65]KPNモバイルののれん代評価損 7,000億円超の見込み
    • [66]1年半強で欧米アジアの携帯電話事業者へ累計約1.9兆円を出資

関係会社株式評価損8,129億円と立川体制の終幕

2002年3月期の本業は絶好調で、売上高は前期比10%増で5兆円の大台に乗り、営業利益は同29%増で1兆円を突破した[67]。営業費用の伸びが6.6%にとどまり、うち67%を占める物件費が3.1%しか増えなかった[68]ことが利益を押し上げている。ドコモを連結子会社とするNTTの営業利益が9,473億円[69]だったから、赤字に苦しむ固定電話事業をドコモが支える勘定になった。ところが同じ決算で、持分法による投資損失1,259億円と関係会社株式評価損8,129億円[70]という巨額の損失が並ぶ。内訳はAT&Tワイヤレスで5,056億円、KPNモバイルで2,627億円[71]。前期に9,300億円の公募増資で市場から集めた資金[72]を、1年余りでほぼ失った計算になる。立川敬二氏(社長)は「2000年当時にこの事態を予想できたとしたら神様だ」[73]と弁明したが、処分が役員報酬カットにとどまったのは自己資本比率50%超という財務の厚みゆえだった[74]

  • 週刊東洋経済 2002年6月15日号「[特集]決算書に強くなる PART2 実践編 NTTドコモ 営業利益1兆円でも盤石といえない理由」
    • [67]2002年3月期 売上高前期比10%増で5兆円台、営業利益同29%増で1兆円突破
    • [68]2001年度の営業費用の伸び6.6%、うち67%を占める物件費の伸びは3.1%
    • [69]2002年3月期のNTTの営業利益 9,473億円
    • [70]2002年3月期 持分法による投資損失1,259億円・関係会社株式評価損8,129億円
    • [71]関係会社株式評価損の内訳 AT&Tワイヤレス5,056億円・KPNモバイル2,627億円
    • [72]前期の公募増資 9,300億円
    • [73]立川敬二社長「2000年当時にこの事態を予想できたとしたら神様だ」
    • [74]処分が役員報酬カットにとどまった背景 自己資本比率50%超の財務構造

損失は米国会計基準の連結でさらに膨らみ、KPN Mobile・AT&T Wireless・ハチソン系など海外出資先の減損[75]を2002年3月期に624,644百万円、翌2003年3月期にも319,564百万円計上した[76]。出資先の資本構成の変化によりKPNモバイルと台湾KGテレコムへの影響力を相次いで失い、筆頭株主だったAT&Tワイヤレスも身売りが決まっている[77]。海外進出の経験が浅いことを理由にマイノリティ出資へ留めた慎重さが、発言力を欠く代償を招いた[78]。海外で機能したのはiモードの提携輸出だけで、加入者数は2004年1月末で200万人と、英ボーダフォンの類似サービスの450万人に水をあけられている[79]

  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ アニュアルレポート(2002年度版)
    • [75]海外出資先の減損対象 KPN Mobile・AT&T Wireless・ハチソン系
    • [76]関連会社投資の減損 2001年度(2002年3月期)624,644百万円(税効果453,235百万円調整後。税効果調整前の会社別内訳はAT&T Wireless 664,493百万円、KPNM 320,481百万円、H3G UK 56,444百万円、KGT 36,461百万円)・2002年度(2003年3月期)319,564百万円(税効果225,535百万円調整後)を米国会計基準連結で計上
  • 週刊東洋経済 2004年4月24日号「NTTドコモ、社長交代へ 慎重すぎた“孝行息子”立川采配6年間の後に残ったものとは」
    • [77]出資先の資本構成の変化によりKPNモバイル・台湾KGテレコムへの影響力を喪失、筆頭株主の米AT&Tワイヤレスも身売りが決定
    • [78]海外進出経験の浅さを理由にマイノリティ出資へとどめた代償としての発言力の欠如
    • [79]海外で機能したのはiモードの提携輸出のみ 加入者数200万人(2004年1月末)に対しボーダフォンライブ!は450万人(2003年12月末)

国内でも2001年10月に始めた第3世代のFOMAが、営業エリアと技術開発の不足したまま船出したため2年以上低迷し[80]、テレビ電話にこだわった副作用でムーバのカメラ付き携帯電話も他社に出遅れた。2004年3月の商戦では単月の加入台数純増数が41.3万台と、auの47.6万台に及ばなかった[81]。純増数の負けは2003年10月以降6カ月続いている[82]。国内の台数シェアは2001年から2002年初めの約59%を頂点に低下し、2004年3月末は56.34%[83]と立川敬二氏(社長)の就任時の56.80%[84]をわずかに下回った。

  • 週刊東洋経済 2004年4月24日号「NTTドコモ、社長交代へ 慎重すぎた“孝行息子”立川采配6年間の後に残ったものとは」
    • [80]2001年10月 第3世代携帯電話「FOMA」開始、営業エリア展開・技術開発が不十分で2年以上低迷、テレビ電話重視の副作用でムーバのカメラ付き携帯が出遅れ
    • [81]2004年3月商戦の単月加入台数純増数 ドコモ41.3万台・au47.6万台、純増数は2003年10月以降6連敗
    • [82]純増数の敗北は2003年10月以降6カ月連続
    • [83]国内台数シェア 2001〜2002年初めに約59%、2004年3月末56.34%
    • [84]立川敬二社長の就任当時の国内シェア 56.80%
  • 週刊東洋経済 2002年6月15日号「[特集]決算書に強くなる PART2 実践編 NTTドコモ 営業利益1兆円でも盤石といえない理由」
    • [67]2002年3月期 売上高前期比10%増で5兆円台、営業利益同29%増で1兆円突破
    • [68]2001年度の営業費用の伸び6.6%、うち67%を占める物件費の伸びは3.1%
    • [69]2002年3月期のNTTの営業利益 9,473億円
    • [70]2002年3月期 持分法による投資損失1,259億円・関係会社株式評価損8,129億円
    • [71]関係会社株式評価損の内訳 AT&Tワイヤレス5,056億円・KPNモバイル2,627億円
    • [72]前期の公募増資 9,300億円
    • [73]立川敬二社長「2000年当時にこの事態を予想できたとしたら神様だ」
    • [74]処分が役員報酬カットにとどまった背景 自己資本比率50%超の財務構造
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ アニュアルレポート(2002年度版)
    • [75]海外出資先の減損対象 KPN Mobile・AT&T Wireless・ハチソン系
    • [76]関連会社投資の減損 2001年度(2002年3月期)624,644百万円(税効果453,235百万円調整後。税効果調整前の会社別内訳はAT&T Wireless 664,493百万円、KPNM 320,481百万円、H3G UK 56,444百万円、KGT 36,461百万円)・2002年度(2003年3月期)319,564百万円(税効果225,535百万円調整後)を米国会計基準連結で計上
  • 週刊東洋経済 2004年4月24日号「NTTドコモ、社長交代へ 慎重すぎた“孝行息子”立川采配6年間の後に残ったものとは」
    • [77]出資先の資本構成の変化によりKPNモバイル・台湾KGテレコムへの影響力を喪失、筆頭株主の米AT&Tワイヤレスも身売りが決定
    • [78]海外進出経験の浅さを理由にマイノリティ出資へとどめた代償としての発言力の欠如
    • [79]海外で機能したのはiモードの提携輸出のみ 加入者数200万人(2004年1月末)に対しボーダフォンライブ!は450万人(2003年12月末)
    • [80]2001年10月 第3世代携帯電話「FOMA」開始、営業エリア展開・技術開発が不十分で2年以上低迷、テレビ電話重視の副作用でムーバのカメラ付き携帯が出遅れ
    • [81]2004年3月商戦の単月加入台数純増数 ドコモ41.3万台・au47.6万台、純増数は2003年10月以降6連敗
    • [82]純増数の敗北は2003年10月以降6カ月連続
    • [83]国内台数シェア 2001〜2002年初めに約59%、2004年3月末56.34%
    • [84]立川敬二社長の就任当時の国内シェア 56.80%

2005年〜 国内市場の成熟とシェア低下、地域ドコモ8社合併とiPhone導入

NTTドコモの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2005年 PHSの新規受付を終了
  2. 2006年 番号ポータビリティ制度が開始
  3. 2006年 マルチメディア放送の準備会社を設立
  4. 2008年 山田隆持氏が社長に就任
  5. 2008年 地域ドコモ8社を吸収合併
  6. 2010年 LTEサービスを開始
  7. 2013年 iPhoneの取り扱いを開始

純増数の後退と中村・山田両体制の立て直し

立川敬二氏(社長)は3期6年の任期を終え[85]、2004年6月に中村維夫氏が社長へ就いた[86]。就任直前の1998年3月期と2004年3月期を比べると売上高は2倍の5兆300億円、純利益は5倍の6,200億円[87]へ伸びたが、後追いからの脱却を問われる位置での交代だった。市場そのものも成熟し、月間の加入台数増加率は0.5%程度にとどまった[88]。2006年4月の時点で加入者は5,065万件、業界シェアは約56%[89]と他を圧倒していたが、好調なauでもシェアはドコモの半分以下の約24%にとどまり[90]、伸びしろは国内に残っていなかった。2006年10月に番号ポータビリティが始まると、純増数での負けが続いた[91]。2006年3月期の売上高は4兆7,659億円、純利益は6,105億円。2007年3月期の売上高は4兆7,881億円とほぼ横ばいで、純利益は4,573億円へ落ちている。

  • 週刊東洋経済 2004年4月24日号「NTTドコモ、社長交代へ 慎重すぎた“孝行息子”立川采配6年間の後に残ったものとは」
    • [85]立川敬二社長は3期6年の任期満了で退任
    • [87]立川敬二社長の在任中に売上高は1998年3月期比2倍の5兆300億円、純利益は5倍の6,200億円(2004年3月期推定)
    • [88]成熟した携帯電話市場の月間加入台数増加率 0.5%程度
  • 日経ビジネス 2004年7月26日号「なるか、後追い脱却 NTTドコモ社長に就任した中村維夫氏」
    • [86]2004年6月 中村維夫氏がNTTドコモ社長に就任(後追い脱却が課題)
  • 週刊東洋経済 2006年4月15日号「[第2特集]ソフトバンクは大丈夫か 王者ドコモは地固めへ走る」
    • [89]2006年4月時点で加入者5,065万件・業界シェア約56%
    • [90]auのシェアはドコモの半分以下の約24%
  • 週刊東洋経済 2008年5月24日号「ニュース最前線 このひとに5つの質問 山田隆持 NTTドコモ次期社長 ドコモにいなかった そのことを利点にしたい」
    • [91]番号ポータビリティ開始(2006年10月)以後 純増数で負けが続いた

2008年6月、中村維夫社長の後任として山田隆持氏が社長に就任した[92]。1948年生まれ、兵庫県出身で、1973年に大阪大学大学院を修了して日本電信電話公社へ入り[93]、NTT西日本常務、NTT副社長を経て2007年にドコモ副社長へ移った[94]人物である。ドコモに来て1年という経歴を自ら利点にしたいと語り[95]、前任の中村維夫社長が販売奨励金の見直し、新しいコーポレートブランドの策定、地域販社の統合という持続的成長への道筋[96]をつけたと評価したうえで、現場原点主義を掲げた。当時のドコモの課題としては、努力が結果に結び付かず「どう方策を変えたらいいのかわからないといった“ためらい”があったのではないか」[97]と述べ、本社組織の肥大化による部分最適への傾き[98]も挙げている。契約数が1億件を超え、2台目市場や法人市場を除けば飽和した市場[99]での就任だった。

  • 週刊東洋経済 2008年5月24日号「ニュース最前線 このひとに5つの質問 山田隆持 NTTドコモ次期社長 ドコモにいなかった そのことを利点にしたい」
    • [92]2008年6月 中村維夫氏の後任として山田隆持氏がNTTドコモ社長に就任
    • [93]山田隆持氏 1948年生まれ・兵庫県出身、1973年大阪大学大学院修了後に日本電信電話公社入社
    • [94]山田隆持氏の経歴 NTT西日本常務・NTT副社長を経て2007年にNTTドコモ副社長
    • [95]山田隆持次期社長「ドコモに長くいなかったことをむしろ利点にしたい」
    • [96]山田隆持次期社長が前任の中村維夫社長について「販売奨励金の見直しや新しいコーポレートブランドの策定、地域販社の統合など持続的成長への道筋をつけていただいた」と述べ、現場原点主義を掲げた
    • [97]山田隆持次期社長「創業以来右肩上がりで来たが、最近は厳しい状況」「どう方策を変えたらいいのかわからないといった“ためらい”があったのではないか」
    • [98]山田隆持次期社長「本社組織が大きくなると大企業病が出てくる」「部分最適に走り全体最適が見えなくなってくる」
    • [99]2008年時点で携帯電話の契約数が1億件を超え、2台目市場や法人市場を除くと飽和状態
  • 週刊東洋経済 2004年4月24日号「NTTドコモ、社長交代へ 慎重すぎた“孝行息子”立川采配6年間の後に残ったものとは」
    • [85]立川敬二社長は3期6年の任期満了で退任
    • [87]立川敬二社長の在任中に売上高は1998年3月期比2倍の5兆300億円、純利益は5倍の6,200億円(2004年3月期推定)
    • [88]成熟した携帯電話市場の月間加入台数増加率 0.5%程度
  • 日経ビジネス 2004年7月26日号「なるか、後追い脱却 NTTドコモ社長に就任した中村維夫氏」
    • [86]2004年6月 中村維夫氏がNTTドコモ社長に就任(後追い脱却が課題)
  • 週刊東洋経済 2006年4月15日号「[第2特集]ソフトバンクは大丈夫か 王者ドコモは地固めへ走る」
    • [89]2006年4月時点で加入者5,065万件・業界シェア約56%
    • [90]auのシェアはドコモの半分以下の約24%
  • 週刊東洋経済 2008年5月24日号「ニュース最前線 このひとに5つの質問 山田隆持 NTTドコモ次期社長 ドコモにいなかった そのことを利点にしたい」
    • [91]番号ポータビリティ開始(2006年10月)以後 純増数で負けが続いた
    • [92]2008年6月 中村維夫氏の後任として山田隆持氏がNTTドコモ社長に就任
    • [93]山田隆持氏 1948年生まれ・兵庫県出身、1973年大阪大学大学院修了後に日本電信電話公社入社
    • [94]山田隆持氏の経歴 NTT西日本常務・NTT副社長を経て2007年にNTTドコモ副社長
    • [95]山田隆持次期社長「ドコモに長くいなかったことをむしろ利点にしたい」
    • [96]山田隆持次期社長が前任の中村維夫社長について「販売奨励金の見直しや新しいコーポレートブランドの策定、地域販社の統合など持続的成長への道筋をつけていただいた」と述べ、現場原点主義を掲げた
    • [97]山田隆持次期社長「創業以来右肩上がりで来たが、最近は厳しい状況」「どう方策を変えたらいいのかわからないといった“ためらい”があったのではないか」
    • [98]山田隆持次期社長「本社組織が大きくなると大企業病が出てくる」「部分最適に走り全体最適が見えなくなってくる」
    • [99]2008年時点で携帯電話の契約数が1億件を超え、2台目市場や法人市場を除くと飽和状態

地域ドコモ8社の合併によるブランドと組織の一体化

2008年7月、ドコモは地域ドコモ8社を吸収合併した[100]。1991年11月の地域企画会社8社設立[101]以来、17年近く続いた全国分担の体制を1社へ束ねた再編である。同年4月には既存顧客の重視を掲げる「新ドコモ宣言」を発表し、ロゴも変えている[102]。前任の中村維夫社長が進めた地域販社の統合[103]も、この一体化の助走にあたる。1998年12月にはエヌ・ティ・ティ中央パーソナル通信網からPHS事業を営業譲受し[104]、地域ドコモ8社も各地域パーソナル通信網からPHS事業を引き取っていたが、この事業は約604億円の減損を計上して整理へ向かった[105]。PHSは2005年4月末に新規受付を終えている[106]

  • NTTドコモ 有価証券報告書 第29期(2020年3月期)【沿革】
    • [100]2008年7月 地域ドコモ8社と合併
    • [101]1991年11月 各地域移動通信企画8社設立
    • [104]1998年12月 エヌ・ティ・ティ中央パーソナル通信網よりPHS事業の営業譲受、地域ドコモ8社も各地域パーソナル通信網より営業譲受
  • 週刊東洋経済 2008年5月24日号「ニュース最前線 このひとに5つの質問 山田隆持 NTTドコモ次期社長 ドコモにいなかった そのことを利点にしたい」
    • [102]2008年4月 既存顧客を重視する「新ドコモ宣言」を発表しロゴを変更
    • [103]中村維夫社長による地域販社の統合
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ アニュアルレポート(2004年度版)
    • [105]PHS事業に係る長期性資産の全額減損 事業資産の減損損失約604億円(60,399百万円)を2004年度末(2005年3月期)に計上
    • [106]PHSの新規受付終了 2005年4月末

海外投資の整理も同時に進み、2004年10月にはCingularによるAT&Tワイヤレス買収に伴って保有株を1株15ドル・合計約64億9,500万ドルで売却し[107]、2004年度に5,018億円の売却益を計上した[108]。2000年前後の第3世代バブルのなかで積み上げた出資[109]を、4年ほどで整理へ回した勘定になる。国内では2010年12月に他社へ先駆けて高速通信のLTEサービスを始めた[110]。ただし2012年9月発売のiPhone 5がLTEに対応すると、KDDIとソフトバンクも基地局投資を強め、先行の優位は薄れた[111]。電波のつながりやすさと通信速度というドコモ本来の強み[112]は、2013年の時点で明確な差にならなくなっている。

  • ITmedia(2004年10月27日)「CingularのAT&T買収、ドコモが株7000億円分を売却」
    • [107]2004年10月 CingularのAT&T Wireless買収に伴いドコモ保有株を1株15ドル・合計約64億9,500万ドル(約6,950億円)で売却
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ アニュアルレポート(2004年度版)
    • [108]2004年度にAT&Tワイヤレス株式の売却により5,018億円の売却益を計上
  • 週刊東洋経済 2004年4月24日号「NTTドコモ、社長交代へ 慎重すぎた“孝行息子”立川采配6年間の後に残ったものとは」
    • [109]2000年半ばから2001年初めの世界的な第3世代携帯電話バブルの渦中で繰り広げた巨額投資
  • 週刊東洋経済 2013年9月13日号「NEWS&REPORT 02 ついにiPhone発売 ドコモは巻き返せるか」
    • [110]2010年12月 他社に先駆けて高速通信LTEサービスを開始
    • [111]2012年9月発売のiPhone 5のLTE対応を機にKDDI・ソフトバンクもLTE基地局投資を強化し先行メリットが薄れた
    • [112]2013年時点で電波のつながりやすさ・通信速度の優位性は失われた
  • NTTドコモ 有価証券報告書 第29期(2020年3月期)【沿革】
    • [100]2008年7月 地域ドコモ8社と合併
    • [101]1991年11月 各地域移動通信企画8社設立
    • [104]1998年12月 エヌ・ティ・ティ中央パーソナル通信網よりPHS事業の営業譲受、地域ドコモ8社も各地域パーソナル通信網より営業譲受
  • 週刊東洋経済 2008年5月24日号「ニュース最前線 このひとに5つの質問 山田隆持 NTTドコモ次期社長 ドコモにいなかった そのことを利点にしたい」
    • [102]2008年4月 既存顧客を重視する「新ドコモ宣言」を発表しロゴを変更
    • [103]中村維夫社長による地域販社の統合
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ アニュアルレポート(2004年度版)
    • [105]PHS事業に係る長期性資産の全額減損 事業資産の減損損失約604億円(60,399百万円)を2004年度末(2005年3月期)に計上
    • [106]PHSの新規受付終了 2005年4月末
    • [108]2004年度にAT&Tワイヤレス株式の売却により5,018億円の売却益を計上
  • ITmedia(2004年10月27日)「CingularのAT&T買収、ドコモが株7000億円分を売却」
    • [107]2004年10月 CingularのAT&T Wireless買収に伴いドコモ保有株を1株15ドル・合計約64億9,500万ドル(約6,950億円)で売却
  • 週刊東洋経済 2004年4月24日号「NTTドコモ、社長交代へ 慎重すぎた“孝行息子”立川采配6年間の後に残ったものとは」
    • [109]2000年半ばから2001年初めの世界的な第3世代携帯電話バブルの渦中で繰り広げた巨額投資
  • 週刊東洋経済 2013年9月13日号「NEWS&REPORT 02 ついにiPhone発売 ドコモは巻き返せるか」
    • [110]2010年12月 他社に先駆けて高速通信LTEサービスを開始
    • [111]2012年9月発売のiPhone 5のLTE対応を機にKDDI・ソフトバンクもLTE基地局投資を強化し先行メリットが薄れた
    • [112]2013年時点で電波のつながりやすさ・通信速度の優位性は失われた

MNP流出55カ月とiPhone取扱いの決断

iPhoneが日本で初めて発売されてから5年、ドコモだけが取り扱っていなかった[113]。アップルが課す厳しい販売ノルマと、自社で運営する独自サービスの提供が制限されることを嫌ったため[114]である。しかし番号持ち運び制度により55カ月連続でユーザーが他社へ流出し、かつて5割以上あったシェアは4割強まで落ちている[115]。2013年5月にはソニーの「エクスペリアA」とサムスン電子の「ギャラクシーS4」の2機種を大きく値下げして集中的に売り込む「ツートップ戦略」を始めたが、MNPによる流出は5月13.5万件、6月14.6万件と止まらなかった[116]。全機種を公平に扱ってきた従来の販売方針を捨てた転換[117]であり、同年6月にはソフトバンクが6万、KDDIが8万増やす一方でドコモは14万減っている[118]

  • 週刊東洋経済 2013年9月13日号「NEWS&REPORT 02 ついにiPhone発売 ドコモは巻き返せるか」
    • [113]iPhoneの日本初発売から5年間 ドコモのみ非取扱い
    • [114]ドコモはアップルの厳しい販売ノルマと独自サービスの提供制限を嫌い導入を決断できずにいた
    • [115]MNPにより55カ月連続でユーザーが他社へ流出、シェアは5割以上から4割強へ低下
    • [116]2013年5月開始の「ツートップ戦略」(ソニー「エクスペリアA」、サムスン電子「ギャラクシーS4」)後もMNP流出は5月13.5万件・6月14.6万件
  • 週刊東洋経済 2016年1月4日号「【深層リポート ドコモ NOTTV撤退】 ドコモ 放送事業で大損 NOTTV撤退」
    • [117]ツートップ戦略は夏モデル11機種のうち2機種を強力に販促する戦略で 全機種を公平に扱ってきたドコモの戦略転換
    • [118]2013年6月のMNPでソフトバンクが6万・KDDIが8万増加、ドコモは14万減少

追い詰められたドコモは方針を変え[119]、iモードで築いた自前主義を顧客流出の防止と引き換えに手放した[120]。アップルは2013年9月10日に新型機種の発表会を開き[121]、ドコモが新たに取り扱いを始めることを明らかにしている。9月20日から高機能の「5s」と廉価版の「5c」を販売した[122]。同年10月には商号をNTTドコモへ変更している[123]。2013年3月期の売上高は4兆4,701億円、純利益は4,956億円で、2006年3月期の売上高4兆7,659億円からは縮んだままだった。2012年に社長へ就いた加藤薫氏[124]のもとで、成長の回復と構造改革が並行する課題として残った。

  • 週刊東洋経済 2016年1月4日号「【深層リポート ドコモ NOTTV撤退】 ドコモ 放送事業で大損 NOTTV撤退」
    • [119]顧客流出に追い詰められたドコモがiPhone販売を決断
  • 週刊東洋経済 2013年9月13日号「NEWS&REPORT 02 ついにiPhone発売 ドコモは巻き返せるか」
    • [120]iモード以来の自前主義(独自サービスの自社運営)を手放した転換
    • [121]2013年9月10日 アップルが新型iPhone発表会でドコモの取り扱い開始を公表
    • [122]2013年9月20日から「5s」「5c」を販売
  • NTTドコモ 有価証券報告書 第29期(2020年3月期)【沿革】
    • [123]2013年10月 ㈱NTTドコモへ商号変更
  • 週刊東洋経済 2015年11月20日号「この人に聞く NTTドコモ 社長 加藤薫 値下げ検討はこれから 成長と顧客満足を両立する」
    • [124]加藤薫氏 2012年からNTTドコモ社長
  • 週刊東洋経済 2013年9月13日号「NEWS&REPORT 02 ついにiPhone発売 ドコモは巻き返せるか」
    • [113]iPhoneの日本初発売から5年間 ドコモのみ非取扱い
    • [114]ドコモはアップルの厳しい販売ノルマと独自サービスの提供制限を嫌い導入を決断できずにいた
    • [115]MNPにより55カ月連続でユーザーが他社へ流出、シェアは5割以上から4割強へ低下
    • [116]2013年5月開始の「ツートップ戦略」(ソニー「エクスペリアA」、サムスン電子「ギャラクシーS4」)後もMNP流出は5月13.5万件・6月14.6万件
    • [120]iモード以来の自前主義(独自サービスの自社運営)を手放した転換
    • [121]2013年9月10日 アップルが新型iPhone発表会でドコモの取り扱い開始を公表
    • [122]2013年9月20日から「5s」「5c」を販売
  • 週刊東洋経済 2016年1月4日号「【深層リポート ドコモ NOTTV撤退】 ドコモ 放送事業で大損 NOTTV撤退」
    • [117]ツートップ戦略は夏モデル11機種のうち2機種を強力に販促する戦略で 全機種を公平に扱ってきたドコモの戦略転換
    • [118]2013年6月のMNPでソフトバンクが6万・KDDIが8万増加、ドコモは14万減少
    • [119]顧客流出に追い詰められたドコモがiPhone販売を決断
  • NTTドコモ 有価証券報告書 第29期(2020年3月期)【沿革】
    • [123]2013年10月 ㈱NTTドコモへ商号変更
  • 週刊東洋経済 2015年11月20日号「この人に聞く NTTドコモ 社長 加藤薫 値下げ検討はこれから 成長と顧客満足を両立する」
    • [124]加藤薫氏 2012年からNTTドコモ社長

2014年〜 値下げ圧力とdポイント経済圏への転換、NTTによる完全子会社化

NTTドコモの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2015年 売上高4兆3834億円・営業利益6439億円に減少
  2. 2015年 「NOTTV」からの撤退を決定
  3. 2016年 吉澤和弘氏が社長に就任
  4. 2018年 最大4000億円の顧客還元を発表
  5. 2020年 日本電信電話が公開買付けによる完全子会社化を発表
  6. 2020年 井伊基之氏が社長に就任
  7. 2020年 東京証券取引所市場第一部の上場を廃止

NOTTV撤退が示した新規事業の限界と構造改革

地上デジタル放送への移行で空いたVHF帯の利用権を得て[125]、ドコモは2012年4月にスマートフォン向けテレビ放送「NOTTV」を開局した[126]。準備には2006年12月の準備会社設立から6年近くを要している[127]。2013年1月に契約数50万を突破し、同年6月末には100万を超えた[128]が、iPhoneの取り扱い開始が逆風になった。世界中で売られるグローバル端末のiPhoneに、NOTTVを視聴できる部品は搭載されていない[129]。運営子会社mmbiは2015年3月期までのわずか3期で900億円近い累積赤字を計上し[130]、放送設備を持つ子会社への貸付金300億円弱の貸倒引当と、mmbi株・放送設備の減損200億円弱[131]を前期末に済ませていた。経営陣は2015年11月27日に撤退を決め[132]、2014年度にはマルチメディア放送事業の資産について302億円の減損を計上している[133]

  • 週刊東洋経済 2016年1月4日号「【深層リポート ドコモ NOTTV撤退】 ドコモ 放送事業で大損 NOTTV撤退」
    • [125]地上デジタル移行で空いたVHF帯の電波利用権をmmbiへ割り当て
    • [126]NOTTVは2012年4月開局
    • [127]準備会社設立は2006年12月で放送開始まで6年近く
    • [128]2013年1月に契約数50万突破、同年6月末に100万超
    • [129]グローバル端末のiPhoneにNOTTV視聴用の部品は非搭載
    • [130]mmbiは2015年3月期までの3期で900億円近い累積赤字を計上
    • [131]ジャパン・モバイルキャスティング向け貸付金300億円弱の貸倒引当、mmbi株・放送設備の減損200億円弱を前期末に完了
    • [132]2015年11月27日 ドコモ経営陣が事業撤退を決定、2016年6月に終了
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ 2014年度決算説明会資料(2015年4月28日)
    • [133]2014年度にマルチメディア放送(mmbiグループ)事業資産の減損302億円を計上

撤退の評価は社内外で割れ[134]、ドコモでiモードを立ち上げた夏野剛氏は「加藤薫社長をはじめとした現経営陣は度胸が据わっている」[135]と驚き、前任者の否定につながる判断だと指摘している。契約者数6,849万(2015年9月末)という国内最大の顧客基盤[136]への甘えを原因に挙げる関係者もいた[137]が、夏野氏は最大の原因を好循環を作れなかった点に求めた[138]。「iモードだって、何もせずに成功したわけではない。頻繁に新サービスを追加することで好循環を作った結果だ」という言葉が、成功体験の再現の難しさを示している。この時期のドコモは構造改革によるコスト効率化を進め、2013年10月には1株を100株とする株式分割も実施した[140]。2015年3月期の売上高は4兆3,834億円、営業利益は6,439億円まで落ち込んでいる。 [139]

  • 週刊東洋経済 2016年1月4日号「【深層リポート ドコモ NOTTV撤退】 ドコモ 放送事業で大損 NOTTV撤退」
    • [134]NOTTV撤退の評価が社内外で分かれた
    • [135]夏野剛氏(ドコモ元執行役員・iモードを立ち上げ、慶応義塾大学特別招聘教授)が「加藤薫社長をはじめとした現経営陣は度胸が据わっている」「NOTTVを始めた前任者の否定につながる」と述べた
    • [136]ドコモの契約者数6,849万(2015年9月末)で国内最大
    • [137]NOTTV関係者「ドコモの携帯に乗せれば大概のサービスはうまくいく、という見通しの甘さも失敗の原因の一つ」
    • [138]夏野剛氏が失敗の最大原因を好循環の欠如に求めた
    • [139]夏野剛氏が「iモードだって、何もせずに成功したわけではない。頻繁に新サービスを追加することで好循環を作った結果だ。NOTTVは好循環を作ることができなかったのが失敗の最大原因」と述べた
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ 2012年度決算説明会資料(2013年4月26日)
    • [140]2013年10月1日付で1株を100株とする株式分割を実施、構造改革によるコスト効率化を継続
  • 週刊東洋経済 2016年1月4日号「【深層リポート ドコモ NOTTV撤退】 ドコモ 放送事業で大損 NOTTV撤退」
    • [125]地上デジタル移行で空いたVHF帯の電波利用権をmmbiへ割り当て
    • [126]NOTTVは2012年4月開局
    • [127]準備会社設立は2006年12月で放送開始まで6年近く
    • [128]2013年1月に契約数50万突破、同年6月末に100万超
    • [129]グローバル端末のiPhoneにNOTTV視聴用の部品は非搭載
    • [130]mmbiは2015年3月期までの3期で900億円近い累積赤字を計上
    • [131]ジャパン・モバイルキャスティング向け貸付金300億円弱の貸倒引当、mmbi株・放送設備の減損200億円弱を前期末に完了
    • [132]2015年11月27日 ドコモ経営陣が事業撤退を決定、2016年6月に終了
    • [134]NOTTV撤退の評価が社内外で分かれた
    • [135]夏野剛氏(ドコモ元執行役員・iモードを立ち上げ、慶応義塾大学特別招聘教授)が「加藤薫社長をはじめとした現経営陣は度胸が据わっている」「NOTTVを始めた前任者の否定につながる」と述べた
    • [136]ドコモの契約者数6,849万(2015年9月末)で国内最大
    • [137]NOTTV関係者「ドコモの携帯に乗せれば大概のサービスはうまくいく、という見通しの甘さも失敗の原因の一つ」
    • [138]夏野剛氏が失敗の最大原因を好循環の欠如に求めた
    • [139]夏野剛氏が「iモードだって、何もせずに成功したわけではない。頻繁に新サービスを追加することで好循環を作った結果だ。NOTTVは好循環を作ることができなかったのが失敗の最大原因」と述べた
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ 2014年度決算説明会資料(2015年4月28日)
    • [133]2014年度にマルチメディア放送(mmbiグループ)事業資産の減損302億円を計上
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ 2012年度決算説明会資料(2013年4月26日)
    • [140]2013年10月1日付で1株を100株とする株式分割を実施、構造改革によるコスト効率化を継続

最大4,000億円還元とdポイント経済圏への転換

業績はいったん回復し、2018年3月期の売上高は4兆7,694億円、営業利益は1兆966億円と過去最高水準に達し、純利益も7,908億円を記録した。しかし2018年末、ドコモは最大4,000億円の顧客還元を打ち出した[141]。総務省の緊急提言と楽天の新規参入を前にした判断[142]だった。会社側は値下げの理由を「2〜4割の値下げは楽天が新規参入した際に想定される料金水準にほぼ匹敵する」[143]と説明し、あわせて調査で把握した「お客様が払う価値があると思っている料金」と現状料金のギャップ[144]を挙げている。政府の圧力については、料金水準への規制には反対だとしつつ、緊急提言は料金の不透明性を規制するもの[145]であり、端末代金と回線料金を明確に分ける考え方には同意する[146]と述べた。

  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ 中期経営戦略に関するスモールミーティング議事録(2018年12月11日)
    • [141]最大4,000億円のお客様還元(値下げ)を決定
    • [142]値下げの背景 総務省の緊急提言と楽天の新規参入
    • [143]値下げの理由「2〜4割の値下げは楽天が新規参入した際に想定される料金水準にほぼ匹敵する」
    • [144]調査で把握した「お客様が払う価値があると思っている料金」と現状料金のギャップ
    • [145]「料金水準に対する規制には反対」「今回の緊急提言は料金の水準ではなく、料金の不透明性を規制するもの」
    • [146]「端末代金と回線料金を明確に分けるという考え方は我々も同意している」

値下げの見返りに据えたのが会員基盤[147]で、dポイントクラブの会員数を2018年時点の約6,500万から2021年度までに7,800万へ伸ばし[148]、いずれ1億、つまり日本に住む全ての人の会員化をめざす[149]と説明している。2019年度は新料金の減益影響2,000億円に加え、分離プラン導入による機器収支の悪化800億円、5Gを含む成長投資の増加550億円[150]が重なった。営業利益は前年比1,800億円の減益となる見通し[151]が示されている。投資家からゴールを問われた経営陣は「まずは1年でも早く利益を回復する、また株主還元の努力でご理解をいただくしかない」[152]と答えた。

  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ 中期経営戦略に関するスモールミーティング議事録(2018年12月11日)
    • [147]値下げの見返りとしての会員基盤の拡大
    • [148]dポイントクラブ会員数は当時約6,500万、2021年度までに7,800万
    • [149]いずれ1億アカウント(日本に住む全ての人の会員化)をめざす目標
    • [152]株主・投資家への説明「まずは1年でも早く利益を回復する、また株主還元の努力でご理解をいただくしかない」
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ 2018年度決算説明会 質疑応答(2019年4月26日)
    • [150]2019年度は新料金の減益影響2,000億円、分離プラン導入による機器収支悪化800億円、成長投資の対前年増分550億円
    • [151]2019年度の営業利益は前年比1,800億円の減益見通し
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ 中期経営戦略に関するスモールミーティング議事録(2018年12月11日)
    • [141]最大4,000億円のお客様還元(値下げ)を決定
    • [142]値下げの背景 総務省の緊急提言と楽天の新規参入
    • [143]値下げの理由「2〜4割の値下げは楽天が新規参入した際に想定される料金水準にほぼ匹敵する」
    • [144]調査で把握した「お客様が払う価値があると思っている料金」と現状料金のギャップ
    • [145]「料金水準に対する規制には反対」「今回の緊急提言は料金の水準ではなく、料金の不透明性を規制するもの」
    • [146]「端末代金と回線料金を明確に分けるという考え方は我々も同意している」
    • [147]値下げの見返りとしての会員基盤の拡大
    • [148]dポイントクラブ会員数は当時約6,500万、2021年度までに7,800万
    • [149]いずれ1億アカウント(日本に住む全ての人の会員化)をめざす目標
    • [152]株主・投資家への説明「まずは1年でも早く利益を回復する、また株主還元の努力でご理解をいただくしかない」
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ 2018年度決算説明会 質疑応答(2019年4月26日)
    • [150]2019年度は新料金の減益影響2,000億円、分離プラン導入による機器収支悪化800億円、成長投資の対前年増分550億円
    • [151]2019年度の営業利益は前年比1,800億円の減益見通し

4.3兆円のTOBによる完全子会社化と上場廃止

2020年3月期の売上高は4兆6,513億円、営業利益は8,546億円、純利益は5,915億円まで戻ったが、2018年3月期の営業利益1兆966億円には届かなかった。2020年9月29日、約66%を出資するNTTは、上場子会社のNTTドコモをTOBで完全子会社化すると発表した[153]。買い付け総額は約4.3兆円と国内のTOBとして過去最大[154]になる。NTTの澤田純社長は決断の理由を「ドコモの収入・利益が3番手になったことが大きい」[155]と説明した。シェアこそ首位でも、KDDIのUQモバイルやソフトバンクのワイモバイルのような廉価のサブブランドを持たず[156]、値下げによる減益を埋める手段がなかった。2020年6月に総務省が公表した各国最大手事業者の料金比較[157]でも、ドコモの高さが際立っていた。

  • 週刊東洋経済 2020年10月10日号「ニュース最前線 01 NTTが4兆でドコモ吸収 携帯料金値下げへの布石」
    • [153]2020年9月29日 NTT(約66%出資)がNTTドコモをTOBで完全子会社化すると発表
    • [154]買い付け総額 約4.3兆円で国内TOB過去最大
    • [155]NTTの澤田純社長「ドコモの収入・利益が(国内通信会社の中で)3番手になったことが大きい」
    • [156]ドコモは廉価のサブブランドを持たず値下げによる減益を埋める手段がなかった
    • [157]2020年6月に総務省が公表した各国最大手事業者の携帯料金の価格差調査でドコモの高さが強調された

完全子会社化には値下げ余力を生む効果があった[158]。少数株主持分として取りこぼしていた30%強のドコモ純利益をNTTが決算へ取り込める[159]ため、値下げでドコモの利益が減ってもグループの減益を回避しうる。上場を続けるかぎり「業績悪化につながる値下げは、上場会社としては本来許されない」[160]という制約が働き、一般株主への配慮がドコモの一段の値下げを難しくしていた[161]。澤田純社長も「今後ドコモの財務基盤が強くなれば、値下げの余力は当然出てくる」[162]と語っている。1992年に公正競争の促進を目的とした政府措置で分離された会社[163]が、料金引き下げという政策要請に応えるために親会社へ戻る筋道になった。吉澤和弘社長は社内向けメッセージで「ドコモの事業運営が窮屈になるのではないか、という漠然とした不安があるかもしれませんがそんなことはありません。私は、もっと自由になれると考えています」と記した。 [164]

  • 週刊東洋経済 2020年10月10日号「ニュース最前線 01 NTTが4兆でドコモ吸収 携帯料金値下げへの布石」
    • [158]完全子会社化により値下げ余力が生まれる
    • [159]完全子会社化により、少数株主持分として取りこぼしていた30%強のドコモ純利益をNTTが決算に取り込める
    • [160]SMBC日興証券の菊池悟アナリスト「業績悪化につながる値下げは、上場会社としては本来許されない」
    • [161]一般株主への配慮でドコモの一段の値下げが困難だった
    • [162]NTTの澤田純社長「今後ドコモの財務基盤が強くなれば、値下げの余力は当然出てくる」
    • [163]公正競争の促進を目的とした政府措置により1992年にNTTから分離、28年を経て再び一体化
  • 週刊東洋経済 2021年1月23日号「【第2特集 反撃のNTT】 動き出した巨象 反撃のNTT」
    • [164]吉澤和弘社長が社内向けメッセージ「NTTドコモのさらなる強化に向けて」で「ドコモの事業運営が窮屈になるのではないか、という漠然とした不安があるかもしれませんがそんなことはありません。私は、もっと自由になれると考えています」と記した

2020年12月25日、NTTドコモは20年余りの上場企業としての歴史に幕を下ろした[165]。携帯電話の契約数は3四半期連続の純減が続いていた[166]。上場廃止を待たず12月1日には井伊基之氏が社長に就き[167]、就任2日後にはデータ容量20ギガバイトで月額2,980円という新料金プラン「ahamo」[168]を発表している。12月18日には既存の大容量プランの値下げも打ち出し、ソフトバンクとKDDIも新プランで追随した[169]。井伊基之氏(社長)はインタビューで「(1999年に開始した)『iモード』以来、ヒット商品を出せていないことを、ドコモの社員は悔しいと思わなきゃいけない」[170]と述べている。1992年にNTTから移動通信事業を引き継ぎ、全国網の先行と料金値下げで独走し、iモードで通信網の上に価値を載せ、海外へ出て挫折し、国内の成熟とともに3番手の収益へ落ちた28年が、親会社への再統合で区切られた[171]

  • 週刊東洋経済 2021年1月23日号「【第2特集 反撃のNTT】 動き出した巨象 反撃のNTT」
    • [165]2020年12月25日 NTTドコモが上場企業としての歴史に幕を下ろした(上場廃止)
    • [166]携帯電話の契約数が直近で3四半期連続の純減
    • [167]井伊基之氏 2020年12月1日にNTTドコモ社長就任
    • [168]新料金プラン「ahamo」 データ容量20ギガバイト・月額2,980円を社長就任2日後に発表
    • [169]2020年12月18日に既存の大容量プランの値下げを発表、ソフトバンク・KDDIも新プランで追随
    • [170]井伊基之社長「(1999年に開始した)『iモード』以来、ヒット商品を出せていないことを、ドコモの社員は悔しいと思わなきゃいけない」
  • 週刊東洋経済 2020年10月10日号「ニュース最前線 01 NTTが4兆でドコモ吸収 携帯料金値下げへの布石」
    • [171]1992年の分離独立から2020年の完全子会社化まで28年
  • 週刊東洋経済 2020年10月10日号「ニュース最前線 01 NTTが4兆でドコモ吸収 携帯料金値下げへの布石」
    • [153]2020年9月29日 NTT(約66%出資)がNTTドコモをTOBで完全子会社化すると発表
    • [154]買い付け総額 約4.3兆円で国内TOB過去最大
    • [155]NTTの澤田純社長「ドコモの収入・利益が(国内通信会社の中で)3番手になったことが大きい」
    • [156]ドコモは廉価のサブブランドを持たず値下げによる減益を埋める手段がなかった
    • [157]2020年6月に総務省が公表した各国最大手事業者の携帯料金の価格差調査でドコモの高さが強調された
    • [158]完全子会社化により値下げ余力が生まれる
    • [159]完全子会社化により、少数株主持分として取りこぼしていた30%強のドコモ純利益をNTTが決算に取り込める
    • [160]SMBC日興証券の菊池悟アナリスト「業績悪化につながる値下げは、上場会社としては本来許されない」
    • [161]一般株主への配慮でドコモの一段の値下げが困難だった
    • [162]NTTの澤田純社長「今後ドコモの財務基盤が強くなれば、値下げの余力は当然出てくる」
    • [163]公正競争の促進を目的とした政府措置により1992年にNTTから分離、28年を経て再び一体化
    • [171]1992年の分離独立から2020年の完全子会社化まで28年
  • 週刊東洋経済 2021年1月23日号「【第2特集 反撃のNTT】 動き出した巨象 反撃のNTT」
    • [164]吉澤和弘社長が社内向けメッセージ「NTTドコモのさらなる強化に向けて」で「ドコモの事業運営が窮屈になるのではないか、という漠然とした不安があるかもしれませんがそんなことはありません。私は、もっと自由になれると考えています」と記した
    • [165]2020年12月25日 NTTドコモが上場企業としての歴史に幕を下ろした(上場廃止)
    • [166]携帯電話の契約数が直近で3四半期連続の純減
    • [167]井伊基之氏 2020年12月1日にNTTドコモ社長就任
    • [168]新料金プラン「ahamo」 データ容量20ギガバイト・月額2,980円を社長就任2日後に発表
    • [169]2020年12月18日に既存の大容量プランの値下げを発表、ソフトバンク・KDDIも新プランで追随
    • [170]井伊基之社長「(1999年に開始した)『iモード』以来、ヒット商品を出せていないことを、ドコモの社員は悔しいと思わなきゃいけない」

NTTドコモの沿革1991〜2020年における主な出来事を抜粋

年月社長・CEO出来事重要度
日本電信電話の出資により設立★★
各地域移動通信企画8社を設立
エヌ・ティ・ティ移動通信網に商号変更
日本電信電話から移動通信事業を営業譲受★★
地域企画会社8社が各地域移動通信網に商号変更
地域ドコモ8社に移動通信事業を営業譲渡
エヌ・ティ・ティ中央移動通信を吸収合併
端末の売り切り制を導入★★
公正取引委員会が携帯電話各社に立入検査
首都圏の新規契約シェアが89%に到達★★
立川敬二氏が社長に就任
東京証券取引所市場第一部に上場
エヌ・ティ・ティ中央パーソナル通信網からPHS事業を営業譲受
「iモード」のサービスを開始★★★
日本電信電話が純粋持株会社体制に移行★★
ハチソンテレフォンに資本参加
エヌ・ティ・ティ・ドコモに商号変更
KPNモバイルに出資★★
iモード・W-CDMAの世界展開を狙った海外通信事業者への約1.9兆円出資独り勝ちの資金力で世界標準を買えるか——蘭KPNモバイル・米AT&Tワイヤレスへのマイノリティ出資が残したもの 詳細を読む★★★
第3世代サービス「FOMA」を開始★★
ロンドン証券取引所・ニューヨーク証券取引所に上場
売上高5兆円・営業利益1兆円を突破★★
海外出資先の減損6246億円を計上★★
中村維夫海外出資先の減損3196億円を計上
中村維夫中村維夫氏が社長に就任
中村維夫AT&T Wireless株を売却★★
中村維夫PHSの新規受付を終了
中村維夫番号ポータビリティ制度が開始
中村維夫マルチメディア放送の準備会社を設立
山田隆持山田隆持氏が社長に就任
山田隆持地域ドコモ8社を吸収合併★★★
山田隆持LTEサービスを開始★★
加藤薰スマートフォン向け放送「NOTTV」を開局
加藤薰加藤薫氏が社長に就任
加藤薰「ツートップ戦略」を開始
加藤薰iPhoneの取り扱いを開始★★★
加藤薰NTTドコモに商号変更
加藤薰1株を100株に分割
吉澤和弘売上高4兆3834億円・営業利益6439億円に減少
吉澤和弘「NOTTV」からの撤退を決定★★
吉澤和弘吉澤和弘氏が社長に就任
吉澤和弘営業利益1兆966億円・純利益7908億円を計上
吉澤和弘ニューヨーク証券取引所の上場を廃止
吉澤和弘最大4000億円の顧客還元を発表★★★
売上高4兆6513億円・営業利益8546億円を計上
日本電信電話が公開買付けによる完全子会社化を発表★★★
井伊基之氏が社長に就任★★
東京証券取引所市場第一部の上場を廃止★★
出典・参考
  • NTTドコモ 有価証券報告書 第29期(2020年3月期)【沿革】
  • 週刊東洋経済 2020年10月10日号「ニュース最前線 01 NTTが4兆でドコモ吸収 携帯料金値下げへの布石」
  • 週刊東洋経済 1997年9月27日号「企業「圧勝」ドコモ NTTをも脅かす今世紀最後の“大物”上場が近づいた」
  • 週刊東洋経済 1999年8月7日号「[特集]通信活性化の条件 ドコモをNTTから分離せよ! 通信産業活性化の新条件」
  • 週刊東洋経済 2001年4月28日号「INTERVIEW NTTドコモ社長 立川敬二 第3世代、国際戦略、分割。ドコモの本音を話そう」
  • 週刊東洋経済 1998年10月24日号「[フラッシュ]ドコモ上場で真に笑うのは誰か?」
  • 週刊東洋経済 2004年4月24日号「NTTドコモ、社長交代へ 慎重すぎた“孝行息子”立川采配6年間の後に残ったものとは」
  • 週刊東洋経済 2000年12月16日号「陰影 米AT&Tワイヤレスに出資 破竹のドコモに忍び寄る「電話網」iモードの限界」
  • 日経ビジネス 2000年2月21日号「フォーカス 松永真理氏[NTTドコモ・ゲートウェイビジネス部企画室長]鋭い「大衆感知センサー」が武器 携帯電話で再び社会現象起こす」
  • 週刊東洋経済 2002年6月15日号「[特集]決算書に強くなる PART2 実践編 NTTドコモ 営業利益1兆円でも盤石といえない理由」
  • 週刊東洋経済 2000年5月20日号「スクープ! NTTドコモが描く「世界連合」構想の全貌」
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ アニュアルレポート(2000年度版)
  • 週刊東洋経済 2000年2月19日号「棚ボタ欧州戦略、視界良好! NTTドコモが狙う英携帯電話取得の成算」
  • 週刊東洋経済 1999年12月18日号「[データ&ランキング]マイクロソフト48兆円vsNTTドコモ30兆円 時価総額上位企業を日米で比較する」
  • 日経クロステック(2000年11月30日)「NTTドコモが米国へiモードを輸出,AT&Tワイヤレスに1兆円出資」
  • 週刊東洋経済 2001年8月11日号「通信株暴落で含み損! ドコモ海外投資の全貌」
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ アニュアルレポート(2002年度版)
  • 日経ビジネス 2004年7月26日号「なるか、後追い脱却 NTTドコモ社長に就任した中村維夫氏」
  • 週刊東洋経済 2006年4月15日号「[第2特集]ソフトバンクは大丈夫か 王者ドコモは地固めへ走る」
  • 週刊東洋経済 2008年5月24日号「ニュース最前線 このひとに5つの質問 山田隆持 NTTドコモ次期社長 ドコモにいなかった そのことを利点にしたい」
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ アニュアルレポート(2004年度版)
  • ITmedia(2004年10月27日)「CingularのAT&T買収、ドコモが株7000億円分を売却」
  • 週刊東洋経済 2013年9月13日号「NEWS&REPORT 02 ついにiPhone発売 ドコモは巻き返せるか」
  • 週刊東洋経済 2016年1月4日号「【深層リポート ドコモ NOTTV撤退】 ドコモ 放送事業で大損 NOTTV撤退」
  • 週刊東洋経済 2015年11月20日号「この人に聞く NTTドコモ 社長 加藤薫 値下げ検討はこれから 成長と顧客満足を両立する」
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ 2014年度決算説明会資料(2015年4月28日)
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ 2012年度決算説明会資料(2013年4月26日)
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ 中期経営戦略に関するスモールミーティング議事録(2018年12月11日)
  • エヌ・ティ・ティ・ドコモ 2018年度決算説明会 質疑応答(2019年4月26日)
  • 週刊東洋経済 2021年1月23日号「【第2特集 反撃のNTT】 動き出した巨象 反撃のNTT」

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