この上場が特異なのは、調達した金額の大きさよりも、会社の実力と市場の値付けの距離にあったと思われる。売上高50億円に満たない会社に2,000億円を超える評価がつき、創業者の持ち分だけで1,000億円に達した。会員の利用時間の濃さという、当時の会計上の売上高にはまだ現れていない資産を市場が先に評価した点に、SNSという業態の性格がうかがえる。
そして、先に評価された資産は、利用者の端末が変わればそのまま持ち越せるとは限らなかった。招待制と日記を軸にした関係の濃さは、スマートフォンと実名型SNSが広がるなかで別の形へ移り、広告収入の前提も入れ替わる。上場の局所的な成否よりも、この会社がその後たどった道筋——ゲーム、スポーツ、そして海外ベッティングへと主力を入れ替えていく経緯——のほうが、2006年に市場が値付けしたものの正体を映しているといえる。高い評価を得た会社が、その評価の根拠を自ら作り直し続けられるか。この上場は、その問いの入口にあたる。