東証・名証への同時上場(2008年・ホシザキの決断)

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論点 創業家の会社を株式公開するか
ホシザキ:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)
創業61年目にしての株式公開と、二つの市場への同時上場

何をなぜ決めたか:創業61年目にしての株式公開と、二つの市場への同時上場

概要

ホシザキ電機が2008年12月10日、東京証券取引所市場第一部と名古屋証券取引所市場第一部に株式を上場した経営判断。1947年2月5日に日本ミシン製造(現ブラザー工業)の協力工場として名古屋市瑞穂区で設立されてから、61年余りを非上場で過ごした。

会社は上場を、事業基盤と資金調達基盤の強化を図るものと位置づけた。上場した2008年12月期の連結売上高は1,702億円、経常利益は71億円で、為替差損29億円を計上している。

背景

上場前の株式は、限られた株主の手元にあった。2006年6月末の大株主上位10名には坂本姓の個人4名と財団法人ホシザキグリーン財団が並び、首位の坂本精志氏が9.80%、10名の合計は46.27%を持っていた。

この間に会社の形は大きく変わった。1968年7月に営業部門を移していた坂本商事を2005年12月に吸収合併し、2006年2月に米LANCER CORPORATIONを、2008年9月にデンマークのGRAM COMMERCIAL A/Sを買収して完全子会社とした。2008年12月期の海外売上高比率は22.8%で、その向上を中長期の経営目標に掲げていた。

内容

坂本精志氏は2005年2月に代表取締役社長に就いた。上場の1年前、2007年12月7日には名古屋銀行など14社とホシザキグループ社員持株会を割当先に、1株1,240円で200万株の第三者割当増資を行っている。

上場にあたっては2008年12月9日付の一般募集でブックビルディング方式により790万株を発行価格750円で発行し、払込金総額は55億69百万円だった。12月18日には野村證券に70万3,000株を1株705円で割り当て、発行済株式総数は6,344万株から7,205万株となった。

含意

上場後の株価は公開価格を割り込む場面があった。2008年12月の東証一部での最高値は823円、最安値は700円で、1年前の第三者割当の1株1,240円を大きく下回る水準だった。

株式上場に伴う資本金と資本剰余金の増加を主因に、2008年12月末の純資産は1,009億82百万円となった。大株主の首位は財団法人ホシザキグリーン財団の8.04%となり、坂本精志氏は7.87%で2位に移った。上場後初の通期となる2009年12月期は、外食産業の競争激化のなかで売上高1,602億円(前期比5.9%減)、当期純利益48億円(同16.3%増)だった。

いつ何が起きたか 7件
考察:遅い公開が引き受けたもの
考察

考察:遅い公開が引き受けたもの

創業から61年という時間の長さは、この会社が資本市場を必要としてこなかった年月の長さでもある。氷を作る機械という一つの商品と、それを売って直す販売会社の網で、同社は長く自力の成長を続けてきた。上場を選んだのは、海外の会社を丸ごと買うという別種の投資を始めてからであった。買収の対価を払う手段としてだけでなく、買った会社を連結で説明し続ける立場に自らを置いたことに、この判断の重さがあると推察される。

値決めの結果だけを見れば、金融危機のただ中での公開は不利な取引であった。ただ、その10年後に子会社の不適切な取引が表面化したとき、同社は取引所の規則という外部の物差しに沿って処理する立場に置かれ、期限と手順を公開の場で示すことを求められた。創業家の判断で完結していた会社が、外の目に説明する会社へ移る——2008年12月の選択がもたらしたものは、調達した資金よりも、この立場の変化にあったと思われる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
参考文献

参考文献

参考
  • ホシザキ電機 有価証券報告書 第63期(2008年12月期)【業績等の概要】
  • ホシザキ電機 有価証券報告書 第63期(2008年12月期)【沿革】
  • ホシザキ電機 有価証券報告書 第60期(2006年6月期)【大株主の状況】
  • ホシザキ電機 有価証券報告書 第63期(2008年12月期)【対処すべき課題】
  • ホシザキ電機 有価証券報告書 第63期(2008年12月期)【役員の状況】
  • ホシザキ電機 有価証券報告書 第63期(2008年12月期)【発行済株式総数、資本金等の推移】
  • ホシザキ電機 有価証券報告書 第63期(2008年12月期)【株価の推移】
  • ホシザキ電機 有価証券報告書 第63期(2008年12月期)【財政状態及び経営成績の分析】
  • ホシザキ電機 有価証券報告書 第63期(2008年12月期)【大株主の状況】
  • ホシザキ電機 有価証券報告書 第64期(2009年12月期)【業績等の概要】
  • ホシザキ 有価証券報告書【沿革】
  • ホシザキ電機 有価証券報告書(2008年12月期・2009年12月期・2012年12月期・連結)
  • ホシザキ電機(2005年10月20日)「米国二位の飲料ディスペンサーメーカーである、LANCER CORPORATIONの買収について」
  • 東京証券取引所(2018年12月14日)「監理銘柄(確認中)の指定:ホシザキ(株)」
  • ホシザキ「ハッピー!!ペンギンアイランド」ホシザキの歴史

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