この上場を、成長企業が市場から資金を調達した話として読むと、要点を外す。公募と売出で得た公開規模は約17.7億円で、その後に重ねた地域買収の総額からすれば小さい。むしろ効いたのは、メーカー系列に属さない独立系の保守会社が公開市場に立ったという事実そのものであったとみられる。"安かろう悪かろう"と見られがちだった独立系が、上場企業の看板で信用の壁を一つ越えた点に、この判断の芯があったといえる。
もっとも、上場がただちに買収を呼んだわけではない。同社が地域の保守会社を続けて買い始めたのは公開から3年後の2020年で、資金と信用が実際の保守契約台数へ変わるまでには助走を要した。創業家が約62%を握ったまま市場に出た構図は、目先の調達額よりも信用を優先した判断とも読める。市場に立つことの意味が調達額だけでは測れないことを、この会社のその後の歩みは示しているといえる。