安藤建設と合併(2012年・安藤・間の決断)

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論点同業との合併で規模を確保するか
安藤・間:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
同業との一体化と、株式会社安藤・間としての再出発

何をなぜ決めたか:同業との一体化と、株式会社安藤・間としての再出発

概要

2012年5月24日、間組(通称ハザマ)は安藤建設との間で経営統合を定めた合併契約を締結した。同年7月20日の臨時株主総会と普通株主による種類株主総会の承認、第Ⅰ種から第Ⅳ種までの優先株主の書面同意を経て、合併期日である2013年4月1日に合併した。

間組を吸収合併存続会社、安藤建設を吸収合併消滅会社とする吸収合併で、安藤建設の普通株式1株に間組の普通株式0.53株を割り当て、43,833,139株を交付した。結合後企業の名称は株式会社安藤・間、ブランド名は安藤ハザマとした。

背景

両社は2003年に資本業務提携契約を締結し、長きにわたり信頼・協力関係を築いてきた。持続的な成長のためには提携にとどまらず、経営統合によって事業規模の拡大と経営の合理化・効率化を図り、収益力を強化することが最善の策だという考えで一致した。

間組は2003年10月の会社分割で承継会社として再出発し東証一部上場を継いだものの、合併直前の2013年3月期の連結売上高は1,979億円、営業利益は56億円にとどまり、独力での規模拡大には限界を抱えていた。

内容

取得原価は9,242百万円で、内訳は対価として交付した間組普通株式9,117百万円と、アドバイザリー費用等の取得に直接要した費用125百万円である。企業結合日に受け入れた資産は116,143百万円、引き受けた負債は96,810百万円で、その純額が取得原価を上回ったため負ののれん発生益10,089百万円を計上した。

取得した議決権比率は100%。吸収合併存続会社である間組の株主が合併後企業の議決権比率のうち最も大きい割合を占めることから、会計上も間組を取得企業とした。安藤建設の野村俊明社長が新会社の社長、間組の小野俊雄社長が会長に就任した。

含意

発足初年度の2014年3月期の連結売上高は3,712億円と、合併前の1,979億円から1.9倍へ拡大し、総資産も1,418億円から2,606億円になった。連結従業員数は2,245人から3,888人へ増加した。

その後は2017年3月期に売上高4,079億円・営業利益370億円と合併後の最高を記録する一方、同じ期のセグメント利益率は土木20.1%に対し建築5.5%と開き、統合の実質は初代・野村俊明社長の地ならしと、続く福富正人社長の建築立て直しに持ち越された。

いつ何が起きたか7件
考察:土木と建築を一つにするということ
考察

考察:土木と建築を一つにするということ

この合併を"対等合併""ベストパートナー"という言葉だけで読むと、芯を外す。中心にあるのは、2003年の資本業務提携から10年をかけて築いた関係について、提携のままでは規模の壁を越えられないと見切ったことである。会社分割で資産を圧縮した間組の合併直前の売上高は1,979億円で足踏みしており、一方で受け入れた安藤建設の資産と負債の純額は取得原価9,242百万円を上回って、負ののれん発生益10,089百万円が立った。安く買えたというより、単独では積み上がらない規模を株式の交付だけで獲得した取引だったとみられる。

もっとも、二つの会社の数字を足すことと、一つの会社として稼ぐことは同じではない。発足後の安藤・間は2017年3月期に売上高4,079億円まで伸びた一方、同じ期のセグメント利益率は土木20.1%に対し建築5.5%と開いたままだった。土木の間組と建築の安藤建設という補完関係は、受注の幅を広げはしても、収益力の差をならすところまでは届いていない。合併がもたらしたのは到達点ではなく、異なる二社を統合して稼ぐ体制をつくる出発点であったといえる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
数字で見る3表

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図と表

安藤・間:合併前後の連結業績と総資産

売上高(百万円)営業利益率(%)
安藤・間:合併前後の連結業績と総資産
(百万円)売上高営業利益当期純利益総資産備考
2008年3月期221,0034,442843159,267
2009年3月期224,2764,4461,002157,743
2010年3月期191,8771,750△1,743138,358
2011年3月期196,7013,9781,560141,150
2012年3月期182,0495,9151,766133,176
2013年3月期197,8995,6122,293141,8792012年5月に合併契約を締結。合併前の間組単独としては最後の通期
2014年3月期371,21612,07716,414260,6462013年4月1日に合併。負ののれん発生益10,089百万円を特別利益に計上した
2015年3月期369,70218,5187,240269,720
2016年3月期379,25825,45614,983300,368
2017年3月期407,99437,01826,277318,387合併後の売上高・営業利益はこの期が最高
2018年3月期377,02035,71423,862329,780
出所:安藤・間 有価証券報告書 第5期〜第10期・第1期〜第5期(主要な経営指標等の推移、連結損益計算書)
出所:安藤・間 有価証券報告書 第5期〜第10期・第1期〜第5期(主要な経営指標等の推移、連結損益計算書)

安藤・間:土木事業と建築事業のセグメント別業績

土木事業 売上高(百万円)建築事業 売上高(百万円)建築事業 セグメント利益率(%)
安藤・間:土木事業と建築事業のセグメント別業績
(百万円)土木事業 売上高土木事業 セグメント利益建築事業 売上高建築事業 セグメント利益備考
2010年3月期99,29547579,8962,169
2011年3月期85,1263,09294,8131,346
2012年3月期81,2026,77684,761△170
2013年3月期91,0606,45588,321△592建築事業は2期続けてセグメント損失。合併相手の安藤建設は建築に強かった
2014年3月期110,9508,170236,0264,594合併により建築事業の売上高が2.7倍。セグメント利益は営業利益ベース
2015年3月期121,5549,574225,97510,365
2016年3月期122,50215,096233,46212,618
2017年3月期134,03726,978238,92113,083利益率は土木20.1%、建築5.5%
2018年3月期127,58922,365215,94416,561
出所:安藤・間 有価証券報告書 第7期〜第10期・第1期〜第5期(セグメント情報)
出所:安藤・間 有価証券報告書 第7期〜第10期・第1期〜第5期(セグメント情報)

合併の条件

合併の条件
科目概要備考
合併契約の締結2012年5月24日2012年7月20日の臨時株主総会と種類株主総会で承認。優先株主は書面で同意した
企業結合日2013年4月1日合併契約書に定めた合併期日
企業結合の法的形式吸収合併間組が吸収合併存続会社、安藤建設が吸収合併消滅会社
被取得企業安藤建設事業の内容は建設業及び不動産業
結合後企業の名称株式会社安藤・間ブランド名は安藤ハザマ
取得企業を決定した根拠存続会社の株主が議決権比率で最大を占める会計上は間組を取得企業、安藤建設を被取得企業とした
取得した議決権比率100%
合併比率普通株式1:0.53安藤建設の普通株式1株に対し間組の普通株式0.53株を割当て交付した
交付した株式数43,833,139株安藤建設が保有する自己株式2,783,963株には割当てを行わなかった
取得原価9,242百万円対価は間組普通株式9,117百万円、取得に直接要したアドバイザリー費用等125百万円
負ののれん発生益10,089百万円第10期の後発事象では10,537百万円。受け入れた純額が取得原価を上回った
受け入れた資産・負債資産116,143百万円/負債96,810百万円流動資産84,322・固定資産31,820/流動負債83,231・固定負債13,578
出所:安藤・間 有価証券報告書 第1期(2014年3月期)【企業結合等関係】・第10期(2013年3月期)【経営上の重要な契約等】【重要な後発事象】
出所:安藤・間 有価証券報告書 第1期(2014年3月期)【企業結合等関係】・第10期(2013年3月期)【経営上の重要な契約等】【重要な後発事象】
参考文献

参考文献

参考

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