安藤・間安藤建設との合併と、間組を存続会社とする株式会社安藤・間の発足
縮む建設市場で準大手はどう生き残るか——土木の間組と建築の安藤建設をひとつにする統合
- 概要
- 2012年5月24日、間組(通称ハザマ)と安藤建設は、2013年4月1日付での合併を発表した。土木に強い間組を存続会社、建築に強い安藤建設を消滅会社とし、安藤建設の普通株式1株にハザマの普通株式0.53株を割り当てる。両社の名を併せた株式会社安藤・間(ブランド名・安藤ハザマ)として発足した。
- 背景
- 国内の建設投資は1996年ごろの年80兆円前後から2010年に41兆円へ半減し、大手と準大手以下の受注格差が開いていた。間組は2000年・2003年の二度の金融支援と会社分割で再建したものの、独力での規模拡大に限界を抱えていた。
- 内容
- 存続会社・間組が証券コードと東証一部上場を継ぎ、合計売上高は約3,500億円で上場建設会社の7番目の規模となった。安藤建設の野村俊明社長が新会社の社長、ハザマの小野俊雄社長が会長に就いた。狙いは土木と建築の相互補完に置かれた。
- 含意
- 発足後の連結売上高はFY13(2014年3月期)に3,712億円と間組単独の約1.9倍へ拡大した。一方で土木と建築の利益率は二極化し、統合の実質は初代・野村社長の地ならしと、続く福富正人社長の建築立て直しに持ち越された。
土木と建築を一つにするということ
この合併を「対等合併」「ベストパートナー」という言葉だけで読むと、芯を外す。中心にあるのは、縮む国内建設市場のなかで単独では規模の壁に阻まれる準大手が、土木の間組と建築の安藤建設という得意分野の異なる相手と組み、受注の幅と事業規模を確保したことである。1996年に80兆円あった建設投資が2010年に41兆円へ半減した市場で、間組は二度の金融支援と会社分割で身軽になってなお1,979億円で足踏みしていた。合併は、独力の再建の延長線上にある規模の確保だったとみることができる。
もっとも、二つの会社の数字を足すことと、一つの会社として稼ぐことは同じではない。発足後の安藤・間は本社機能の重複解消でFY16に売上高4,079億円・営業利益370億円まで伸びた一方、土木20.1%・建築5.5%という利益率の二極化は残った。統合の実質は、初代・野村社長の5年をかけた地ならしと、続く福富社長の建築立て直しへ持ち越されている。合併がもたらしたのは到達点ではなく、異なる二社を束ねて稼ぐ体制をつくる出発点であったといえる。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
背景
縮む建設市場と準大手の生き残り
ハザマと安藤建設が合併へ動いた背景には、国内建設市場の縮小があった。国土交通省の調査では、建設投資は1996年ごろまで年80兆円前後で推移していたが、2010年には半分の41兆円まで落ち込み、東日本大震災の復興需要でようやく息をつなぐ状況にあった。大手ゼネコンの受注は好調でも、下位になるほど厳しく、大手と準大手以下の差は開いていた。土木に強い間組のような準大手には、単独では規模でも価格でも見劣りしかねない環境が続いていた[1]。
間組自身も、独力での再建の限界に突き当たっていた。株式会社ハザマと改称していた間組は1990年代後半に経営が悪化し、2000年と2003年の二度の金融支援を経て、2003年10月の会社分割で健全な建設事業だけを承継会社・株式会社間組へ移し、東証一部上場を継いでいた。同じ2003年には安藤建設と資本業務提携を結んでいる。ただ承継会社の連結売上高は伸び悩み、合併直前のFY12(2013年3月期)は1,979億円にとどまり、規模の拡大には別の手立てが要った[2][3]。
決断
間組を存続会社とする合併の枠組み
2012年5月24日、間組(通称ハザマ)と安藤建設は、2013年4月1日付での合併を発表した。土木に強い間組を存続会社、建築に強い安藤建設を消滅会社とし、安藤建設の普通株式1株にハザマの普通株式0.53株を割り当てる。新社名は両社の名を併せた「安藤・間」とし、間組が証券コードと東証一部上場の地位を継ぐ。両社の売上高を合計すると約3,500億円で、上場建設会社では7番目の規模となる見通しであった[4]。
合併の狙いは、土木と建築の相互補完に置かれた。安藤建設の野村俊明社長は、建築に強みを持つ安藤と土木に定評のあるハザマは互いにベストパートナーだと述べ、事業規模を広げて需要増が見込めるアジア各国での受注力もつける考えを示した。新会社の経営体制は、安藤建設の野村俊明社長が社長に、ハザマの小野俊雄社長が会長に就く形で組んだ。存続会社は間組でありながら、社長を安藤建設側が担う布陣であった[5][6]。
結果
規模の拡大と、土木・建築の利益率の二極化
2013年4月1日、間組を存続会社として安藤・間が発足した。連結売上高はFY13(2014年3月期)に3,712億円と、存続会社・間組単独のFY12の1,979億円から約1.9倍へ拡大し、独力では届かなかった水準へ事業を引き上げた。本社は東京都港区赤坂へ移り、旧安藤建設の野村俊明氏が代表取締役社長、旧ハザマの小野俊雄氏が代表取締役会長に就いた。最初の5年間は、組織再編と人事・システムの統一を進める2社統合の地ならし期間となった[7][8]。
本社機能の重複解消と土木・建築の相互送客がシナジーの核となり、FY16(2017年3月期)には売上高4,079億円・営業利益370億円と合併後の業績ピークを記録した。もっとも収益の中身は一様ではなく、土木事業の利益率20.1%に対し建築事業は5.5%と二極化した。FY18には特別損失95億円で純利益が88億円へ落ち込み、同年4月に就任した2代目・福富正人社長は、建築事業の利益率改善を最優先課題に据えた[9][10]。
- 日本経済新聞 2012年5月24日「安藤建設とハザマが合併 新社名は『安藤・間』」
- J-CASTニュース 2012年6月4日「『このままいけばじり貧』のゼネコン業界 ハザマと安藤建設合併で生き残り目指す」
- 安藤ハザマ 会社沿革(公式サイト)
- 安藤・間 有価証券報告書【沿革】
- 安藤・間 有価証券報告書(連結財務諸表・セグメント情報)