会社分割で青山管財と間組に分離(2003年・安藤・間の決断)

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論点建設事業を新会社へ移して再出発するか
安藤・間:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)
建設事業と上場の新会社への承継と、開発事業の旧会社への残置

何をなぜ決めたか:建設事業と上場の新会社への承継と、開発事業の旧会社への残置

概要

2003年10月1日、旧ハザマは分割型分割(混合型)による新設分割を行い、建設事業部門を承継する会社として株式会社間組を設立した。新会社は同じ月に東京証券取引所市場第一部へ上場し、国土交通大臣の建設業許可と宅地建物取引業免許を取得した。分割した旧ハザマは青山管財株式会社へ商号を変更し、開発事業の会社として残った。

新会社は設立時に普通株式100,000千株を発行した。旧ハザマの株主には旧株1株につき0.1株を割り当て、残りの株式は旧ハザマ自身に割り当てている。分割を実行したのは2003年6月に旧ハザマの代表取締役社長となった新名順一氏で、10月に新会社の初代社長へ就任した。最初の決算は6か月の変則期で、連結売上高140,341百万円、経常利益3,841百万円だった。

背景

分割の前年から、旧ハザマの経営陣は入れ替わっていた。新名順一氏は2002年3月に経営企画室長、同年6月に代表取締役副社長となり、2003年6月に社長へ就任した。2003年5月には、みずほコーポレート銀行で専務取締役審査統括役員を務めた宍戸道夫氏が顧問として入社し、6月に審査担当の代表取締役副社長となった。

同業との関係も分割の前後に固めている。2001年に西武建設と事業提携を締結し、2003年には安藤建設と資本業務提携契約を締結した。同じ2003年5月には安藤建設の執行役員だった芳野榮文氏が入社し、のちに新会社の代表取締役副社長へ就任した。主力行と提携先の双方から役員を迎えた体制で、旧ハザマは会社分割に臨んだ。

内容

新会社の資本は2段階で整えた。設立時の資本金は5,000百万円で、2003年12月25日に第三者割当で優先株式2,750千株を1株4,000円で発行し、資本金を12,000百万円とした。このうち第Ⅰ種から第Ⅲ種の2,500千株はみずほコーポレート銀行などに割り当て、借入金を株式に替える現物出資で発行した。金額にすると100億円分にあたる。第Ⅳ種の250千株は安藤建設が引き受けた。

優先株式から普通株式への転換を請求できる時期は、種類ごとにずらした。第Ⅰ種と第Ⅳ種は2008年12月25日から、第Ⅱ種は2010年12月25日から、第Ⅲ種は2012年12月25日からである。新会社が最初の決算を締めた2004年3月期末の連結総資産は182,223百万円、自己資本比率は13.8%だった。

含意

旧会社との資本関係は、分割から3年足らずで切れた。2006年1月27日に安藤建設と資本業務提携の強化に関する契約を締結し、安藤建設は3月22日に青山管財から普通株式10,000千株を取得した。2006年3月末に32.55%を持つ筆頭株主だった青山管財は、5月18日に残る保有株をすべて売却し、新会社との資本関係はなくなった。

一方で、新会社の売上高は伸びなかった。第1〜10期で最も多いのは2007年3月期の237,205百万円で、2010年3月期には当期純損失1,743百万円を計上した。2013年3月期の売上高は197,899百万円、自己資本比率は23.1%である。2013年4月1日、間組は安藤建設を合併比率1対0.53で合併し、株式会社安藤・間が発足した。

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考察:社名と上場を残し、規模は合併に委ねた分割
考察

考察:社名と上場を残し、規模は合併に委ねた分割

なぜ会社分割だったのか。旧ハザマを立て直すなら、本体のまま増資や資産売却を重ねる選択肢もあった。新設分割を選んだことで、建設事業は間組の社名と東証一部の上場を保ったまま新会社へ移り、旧会社は青山管財として開発事業とともに残った。主力行は借入金100億円分を優先株式に替えて新会社の資本に加わり、審査担当の副社長も送り込んだ。建設の受注は発注者からの信用で決まる。建設会社の部分を先に分けて立てることが、再建の前提だったのだろう。

もっとも、新会社は最初から自立していたわけではない。2004年3月期の自己資本比率は13.8%にとどまり、2人の代表取締役副社長はみずほコーポレート銀行と安藤建設の出身者だった。旧会社の青山管財も、2006年5月まで大株主として新会社の株式を保有し続けた。会社分割は事業と法人を分ける手続きであり、株主の顔ぶれまでは入れ替えない。新会社は、主力行・提携先・旧会社の3者に資本を預けた状態で出発したと思われる。

分割から20年以上がたった今からみると、この判断は部分的な成功だった。建設事業は存続し、自己資本比率は2004年3月期の13.8%から2013年3月期には23.1%まで上がった。一方で売上高は伸びず、2010年3月期には当期純損失1,743百万円を計上し、2013年3月期の売上高は197,899百万円と第2期の225,328百万円を下回った。単独での成長には届かず、間組は2013年4月に安藤建設を合併して安藤・間となった。分割は再建の入口を開いたが、規模の回復は合併に委ねられた。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
数字で見る3表

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図と表

安藤・間:売上高と利益の推移

売上高(百万円)経常利益率(%)
安藤・間:売上高と利益の推移
(百万円)売上高経常利益当期純利益備考
2004年3月期140,3413,8417462003年10月設立。6か月の変則決算
2005年3月期225,3286,1052,608
2006年3月期230,4745,6472,132
2007年3月期237,2053,493947
2008年3月期221,0032,400843
2009年3月期224,2762,6551,002
出所:間組 有価証券報告書 第3期(2006年3月期)・第6期(2009年3月期)【主要な経営指標等の推移】
出所:間組 有価証券報告書 第3期(2006年3月期)・第6期(2009年3月期)【主要な経営指標等の推移】

安藤・間:総資産と純資産の推移

純資産額(百万円)負債(百万円)
安藤・間:総資産と純資産の推移
(百万円)総資産額純資産額備考
2004年3月期182,22325,177自己資本比率13.8%。12月に優先株式で資本金を12,000へ
2005年3月期174,61027,987
2006年3月期173,77231,227
2007年3月期171,54032,585
2008年3月期159,26731,123
2009年3月期157,74330,286自己資本比率19.2%
出所:間組 有価証券報告書 第3期(2006年3月期)・第6期(2009年3月期)【主要な経営指標等の推移】
出所:間組 有価証券報告書 第3期(2006年3月期)・第6期(2009年3月期)【主要な経営指標等の推移】

安藤・間:連結従業員数の推移

連結従業員数(名)
安藤・間:連結従業員数の推移
(名)連結従業員数
2004年3月期2,618
2005年3月期2,420
2006年3月期2,426
2007年3月期2,411
2008年3月期2,376
2009年3月期2,416
出所:間組 有価証券報告書 第3期(2006年3月期)・第6期(2009年3月期)【主要な経営指標等の推移】
出所:間組 有価証券報告書 第3期(2006年3月期)・第6期(2009年3月期)【主要な経営指標等の推移】
参考文献

参考文献

参考
  • 間組 有価証券報告書 第3期(2006年3月期)【沿革】
  • 間組 有価証券報告書 第3期(2006年3月期)【関係会社の状況】
  • 間組 有価証券報告書 第3期(2006年3月期)【発行済株式総数、資本金等の推移】
  • 間組 有価証券報告書 第3期(2006年3月期)【役員の状況】
  • 間組 有価証券報告書 第3期(2006年3月期)【主要な経営指標等の推移】
  • 安藤・間 公式サイト「沿革」
  • 間組 有価証券報告書 第3期(2006年3月期)【株式の総数等】
  • 間組 有価証券報告書 第3期(2006年3月期)【経営上の重要な契約等】【大株主の状況】
  • 間組 有価証券報告書 第3期(2006年3月期)【大株主の状況】【事業の内容】
  • 間組 有価証券報告書 第10期(2013年3月期)【主要な経営指標等の推移】
  • 間組 有価証券報告書 第3期(2006年3月期)【経営上の重要な契約等】
  • 間組 有価証券報告書 第3期(2006年3月期)【事業の内容】
  • 安藤建設・間組 適時開示「安藤建設株式会社と株式会社間組の合併契約締結に関するお知らせ」
  • 安藤・間 企業公式サイト「沿革」
  • 間組 有価証券報告書「第3期(2006年3月期)【沿革】【関係会社の状況】【役員の状況】【発行済株式総数、資本金等の推移】【大株主の状況】【経営上の重要な契約等】」
  • 間組 有価証券報告書「第6期(2009年3月期)【主要な経営指標等の推移】」
  • 間組 有価証券報告書「第10期(2013年3月期)【主要な経営指標等の推移】【発行済株式総数、資本金等の推移】」
  • 安藤・間 有価証券報告書「第1期(2014年3月期)【沿革】」

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