この判断の核心には、グループ全体の独立性を守りながら、成長事業の資金だけを外から調達したいという二律を、どう両立させるかという問いがある。サントリーグループは長く非上場を貫き、四半期ごとの市場の評価に縛られない経営を強みとしてきた。その思想を頂点で保ったまま、飲料という最も外へ広がる事業だけを切り出して上場させた組み立ては、独立性と資金調達力のどちらも手放さないための折衷であったとみられる。
もっとも、事業会社だけを上場させる親子上場は、親会社と少数株主の利害がどこかで交わる論点を抱え続ける形でもある。市場から得た約3,900億円は、上場直後の欧州ブランド取得やアジアでの拡張を確かに後押しし、四極体制の完成を資本面から支えた。非上場の思想を守るための上場という逆説的な選択が、その後の同社の規模拡大にどう影響し続けるのかは、なお見届ける対象であると推察される。