ニッポン放送株を大量取得(2005年・ライブドアの決断)

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論点自己資金なしで放送局の支配権を取るか
ライブドア:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)
時間外取引という抜け道を使った株式の大量取得と、フジテレビジョンへの売却

何をなぜ決めたか:時間外取引という抜け道を使った株式の大量取得と、フジテレビジョンへの売却

概要

2005年2月8日、ライブドアがニッポン放送株の大量取得によって主要株主となり、同日に800億円の転換社債型新株予約権付社債を発表した経営判断。約2か月の攻防を経て、4月18日にフジテレビジョンと基本契約を締結し、同社が1株329円で133,740,000株を引き受ける440億円の第三者割当増資を受け入れて決着した。

背景

2004年9月期の連結売上高は309億円、当期純利益は36億円で、放送局を争うだけの自己資金は持っていなかった。有価証券報告書は、既存および新規のインターネットサービスをポータルサイトlivedoorを介して提供し、集客力や知名度の向上に注力してきたと記している。

内容

市場外で短時間に大量の株式を集める手法と、転換価額が下方に修正される社債による資金調達を同日に組み合わせた。社債800億円は2005年9月期のうちに10回に分けて全額が株式へ転換され、転換価額は319円から281円まで下がった。東京高裁がニッポン放送による新株予約権発行の差し止めを支持したのち、支配権の行使には進まず、株式の売却と資本提携による決着を選んだ。

含意

2005年9月期の財務活動によるキャッシュ・フローは1,146億円の収入となり、期末の現金及び現金同等物は957億円まで積み上がった。投資活動によるキャッシュ・フローは710億円の支出で、以後の買収と社債引き受けはこの資金の上で回った。

いつ何が起きたか7件
考察:得たのは支配権ではなく現金だった
考察

考察:得たのは支配権ではなく現金だった

東京高裁の支持を得ながら、ライブドアは支配株主としての権利を使わなかった。行使に伴う新たな裁判と第三者の介入という費用が、放送局の経営権から見込める利益を上回ると踏んだためなのだろう。ニッポン放送株の取得で実際に手元へ来たのは、テレビ局の支配権ではなく、フジテレビジョンが1株329円で払い込んだ440億円と、同じ日に市場から調達した社債800億円であった。買収の成否は、はじめから現金で測られていたのかもしれない。

ただ、その現金が会社に何を残したかは別の問題として残る。得た資金は社債の引き受けと買収へ投じられ、イーファイナンス事業は2005年9月期に146億円の営業利益を稼いだ。同じ期のポータルサイトlivedoorを担うネットメディア事業の営業利益は3億円にとどまる。テレビの視聴者規模まで集客を広げるという当初の動機に照らせば、資金力を得たことは集客を育てる方向ではなく、資本市場での取引を太らせる方向に働いたといえる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
数字で見る3表

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図と表

ライブドア:資金の出入りと手元の現金の推移

現金及び現金同等物(百万円)
ライブドア:資金の出入りと手元の現金の推移
(百万円)財務活動によるCF投資活動によるCF現金及び現金同等物備考
2001年9月期511△1,3192,584
2002年9月期221482,310
2003年9月期6,239△2,1787,709
2004年9月期35,186△7,72145,511
2005年9月期114,636△71,07495,734転換社債800億円と第三者割当増資440億円が財務活動の収入に入る
2006年9月期17△19,97471,5142006年4月14日に東京証券取引所マザーズを上場廃止
2007年9月期△2,39121,42889,089
2008年3月期1,490△68,02715,032決算期の変更により6か月の変則決算
2009年3月期△4,566102,75669,697
2010年3月期△70,62133,84624,301
出所:ライブドア 有価証券報告書 第10期〜第11期(主要な経営指標等の推移、連結キャッシュ・フロー計算書) / LDH 有価証券報告書 第16期(2011年3月期)(主要な経営指標等の推移)
出所:ライブドア 有価証券報告書 第10期〜第11期(主要な経営指標等の推移、連結キャッシュ・フロー計算書) / LDH 有価証券報告書 第16期(2011年3月期)(主要な経営指標等の推移)

ライブドア:売上高と損益の推移

売上高(百万円)
ライブドア:売上高と損益の推移
(百万円)売上高経常損益当期純損益備考
2001年9月期3,601303121
2002年9月期5,8911,138453
2003年9月期10,8251,314489
2004年9月期30,8695,0343,577
2005年9月期78,42211,26215,475特別利益12,042百万円に投資有価証券売却益5,650百万円が含まれる
2006年9月期137,912△2,132△40,842
2007年9月期97,341△5,01435,341
2008年3月期42,120△658△5,386決算期の変更により6か月の変則決算
2009年3月期70,976△1,427△57,647
2010年3月期26,769△804△6,295
出所:ライブドア 有価証券報告書 第10期〜第11期(主要な経営指標等の推移) / LDH 有価証券報告書 第16期(2011年3月期)(主要な経営指標等の推移)
出所:ライブドア 有価証券報告書 第10期〜第11期(主要な経営指標等の推移) / LDH 有価証券報告書 第16期(2011年3月期)(主要な経営指標等の推移)

決着の条件

決着の条件
科目概要備考
資本提携の相手方株式会社フジテレビジョンテレビ放送事業、放送関連事業、通信販売事業。資本金は146,200百万円
基本契約の締結2005年4月18日同日の取締役会でフジテレビジョンに対する第三者割当による新株式発行を決議
増資の理由資本受入による資本提携が不可避友好的な提携の実現にあたり、フジサンケイグループの中核企業からの資本受入が不可避との見解で一致
割当先へ交付した株式数133,740,000株増資完了後の発行済株式数1,049,062,809.53株の12.75%にあたる
発行価格1株につき329円
発行総額44,000百万円資本金組入額22,067,100千円、資本準備金組入額21,933,360千円
払込完了日2005年5月23日
調達資金の使途ポータルサイトに関する事業の強化
割当先の譲渡制限2007年9月末日までライブドアの事前の書面による同意がある場合等を除き、第三者への譲渡・貸株を行わない
提携の枠組み業務提携推進委員会の設立ライブドア、フジテレビジョン、ニッポン放送の3社で相互補完関係を協議する
同日に発表した資金調達800億円が全額株式へ転換2010年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債。10回に分けて転換された
社債の転換価額319円から281円へ低下転換のつど下方に修正され、1株当たり資本組入額も160円から141円へ下がった
その他有価証券の売却額87,325百万円2005年9月期の連結。売却益5,650百万円、売却損285百万円
割当先による株式の売却2006年3月16日フジテレビジョンが宇野康秀氏へ133,740,000株を売却した
割当先からの損害賠償請求34,504百万円売却に伴う損失額として催告書を受領。応じた場合に支払が発生する
出所:ライブドア 有価証券報告書 第10期(2005年9月期)【経営上の重要な契約等】【株式の総数等】【資本金等明細表】・第11期(2006年9月期)【経営上の重要な契約等】
出所:ライブドア 有価証券報告書 第10期(2005年9月期)【経営上の重要な契約等】【株式の総数等】【資本金等明細表】・第11期(2006年9月期)【経営上の重要な契約等】
参考文献

参考文献

参考
  • ライブドア 有価証券報告書 第10期(2005年9月期)【主要な経営指標等の推移】【経営上の重要な契約等】【資本金等明細表】
  • ライブドア 有価証券報告書 第11期(2006年9月期)【主要な経営指標等の推移】【経営上の重要な契約等】
  • LDH 有価証券報告書 第16期(2011年3月期)【主要な経営指標等の推移】
  • ライブドア 有価証券報告書「第10期(2005年9月期)【経営上の重要な契約等】」
  • ライブドア 有価証券報告書「第10期(2005年9月期)【株式の総数等】【資本金等明細表】」
  • ライブドア 有価証券報告書「第10期(2005年9月期)【有価証券関係】【連結キャッシュ・フロー計算書】」
  • ライブドア 有価証券報告書「第10期(2005年9月期)【事業の種類別セグメント情報】」
  • ライブドア 有価証券報告書「第11期(2006年9月期)【経営上の重要な契約等】【事業等のリスク】」
  • LDH 有価証券報告書「第16期(2011年3月期)【主要な経営指標等の推移】」

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