ぺんてる株の取得試み(2019年・コクヨの決断)2019年 | コクヨの決断

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何をなぜ決めたか:投資組合の持分取得から過半数を狙った買付け、3年後の全株譲渡まで

概要
概要

2019年5月10日、コクヨの取締役会はマーキュリアインベストメントが管理・運営するPI投資事業有限責任組合の有限責任組合員としての持分すべてを取得することを決議し、同日付で10,110百万円を投じて取得した。組合は取得日の時点でぺんてる株の37.45%を保有していた。11月15日には、ぺんてるを連結子会社にするため発行済株式の過半を押さえることを狙い、ぺんてるの株主から株式を買い付けると取締役会で決めた。2019年12月期末の議決権所有割合は45.05%で、譲渡の承諾を得て対価の支払が済んでいない分を合わせても45.6%であった。

背景
背景

会社は企業結合の理由として、グローバルステーショナリードメインで持続的に企業価値を向上させるには、確固たる強みを持つ企業同士がアライアンスを構築することが不可欠な事業環境であると記した。ぺんてるについては、技術と人材に優れた国内有数の筆記具メーカーと見ており、エナージェル、オレンズ、サインペンなどのブランドが22の販売拠点から120を超える国と地域に届いていると書いている。マーキュリアインベストメントは、ぺんてるの収益と成長を伸ばせる事業会社に持分を譲渡することを考えており、その相手としてコクヨに声をかけた。コクヨ自身は本邦の外部顧客への売上高が連結売上高の90%を超え、地域別の記載を省略していた。

内容
内容

持分取得のあと両社は業務提携契約の締結に向けて協議を始め、2019年12月上旬の締結と公表を目指していた。コクヨは8月2日の取締役会で組合からぺんてる株3,370,563株を現物配当で受け取ることを承認し、9月24日のぺんてる取締役会がこの譲渡を承認して直接の株主となった。ところが会社の説明では、ぺんてる経営陣は国内事業の提携について協議に消極的となり、株主名簿の開示にも応じず、コクヨ以外の第三者との大規模な資本業務提携を画策している可能性が高いと判断した。11月15日に決めた買付けは1株3,500円で、買付予定数に下限・上限を設けなかった。プラスが設立したコンソーシアムが1株3,500円で買い受ける旨の文書をぺんてる株主に送ったことを確かめ、11月20日に3,750円、11月29日に4,200円へ価格を引き上げた。

沿革:意思決定前後の出来事9件
考察:買収しきれなかったものと、残ったもの
考察

考察:買収しきれなかったものと、残ったもの

コクヨが獲得したのは、ぺんてるの筆記具の技術と、120以上の国と地域に伸びる販路であった。本邦の売上高が9割を超えて地域別の記載を省略するほど国内に偏った会社にとって、海外の販路は自前では持っていないものだった。投資組合の持分の全部を買い、ぺんてる取締役会の承認を得て直接の株主に移るという2019年の手順は、非上場株を動かす筋としては通っている。ただし提携協議が止まったあと、価格を2度引き上げて株主から買い集めても、議決権は45.6%で止まった。

過半数に届かない持ち分は3年間そのままとなり、2021年12月期には減損損失5,024百万円として損益に表れた。単体でも関係会社株式評価損5,821百万円を計上している。売却して得たのは売却益923百万円と、ぺんてるとの海外文具市場での業務提携であった。同じ2022年にコクヨが9,501百万円を投じた先は香港のオフィス家具企業であり、その年のファニチャー事業は16,523百万円のセグメント利益を稼いでいる。資本の投入先は、文具から家具へ移った。

Yutaka Sugiura, 2026年8月

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数値:意思決定前後の事業数値1件

コクヨ:売上高と経常利益の推移

売上高(百万円)経常利益率(%)
コクヨ:売上高と経常利益の推移
(百万円)売上高経常利益親会社株主に帰属する当期純利益備考
2014年12月期293,0549,6435,065
2015年12月期304,27611,8806,312
2016年12月期307,62515,69012,182
2017年12月期315,62219,13015,000
2018年12月期315,15519,17814,231
2019年12月期320,20018,19815,303投資組合の持分を10,110百万円で取得し、ぺんてるを持分法適用とした期
2020年12月期300,64414,1738,297ぺんてるの繰延税金資産の取り崩しに伴う1,024百万円を含む損失を計上
2021年12月期320,17016,41513,703第1四半期にぺんてる株の減損損失5,024百万円を営業外損失に計上した
2022年12月期300,92921,16118,23711月30日に全株を売却。売上高は収益認識会計基準の適用で26,484百万円減
2023年12月期328,75325,98919,069
2024年12月期338,22724,41021,787
出所:コクヨ 有価証券報告書 第72期(2018年12月期)・第76期(2022年12月期)・第78期(2024年12月期)【主要な経営指標等の推移】。2022年12月期の経常利益と当期純利益は第78期の組替後の値による
取得と断念の経緯

取得と断念の経緯

取得と断念の経緯
科目概要備考
取得の決議2019年5月10日取締役会が投資組合の持分すべての取得を決議し、同日付で取得
取得したものPI投資事業有限責任組合の持分有限責任組合員の持分の全部。組合の事業はぺんてるへの出資
組合が保有していたぺんてる株37.45%コクヨの取得日時点。その後、全株式が配当によりコクヨへ移った
取得原価10,110百万円対価の種類は現金。取得関連費用はアドバイザリー費用等191百万円
発生したのれんなし受け入れた資産10,303百万円、引き受けた負債191百万円
ぺんてる取締役会の承認2019年9月24日組合からコクヨへの株式譲渡を承認し、同日付で直接の株主となった
議決権所有割合45.05%2019年12月期末。2021年12月期末は45.6%
会計上の位置づけ持分法適用関連会社2019年第3四半期から。連結子会社にはなっていない
のれん相当額3,166百万円2020年12月期末。顧客関連資産(税効果考慮後)を含む
2020年12月期の損失1,024百万円ぺんてるの繰延税金資産の全額取り崩しに伴う持分法投資損失
2021年12月期の減損5,024百万円持分法投資損失の合計は5,221百万円。単体の評価損は5,821百万円
減損の測定使用価値。割引率8.2%海外の業績悪化と構造改革費用を含む中期経営計画の見直しによる
譲渡の決議2022年9月30日取締役会が全株式のプラスへの譲渡と海外文具市場での業務提携を決議
譲渡の完了2022年11月30日全株式を売却し、持分法の適用範囲から除外した
譲渡価額記載なし有価証券報告書に譲渡価額の記載はない。売却益は923百万円
子会社化至らず議決権は45.6%までで、連結子会社にはならなかった
出所:コクヨ 有価証券報告書 2019年12月期【企業結合等関係】【関係会社の状況】 / 2020年12月期・2021年12月期【追加情報】【監査上の主要な検討事項】 / 2022年12月期【経営上の重要な契約等】【連結損益計算書注記】
参考文献

参考文献

参考

  • コクヨ 有価証券報告書 第73期(2019年12月期)【企業結合等関係】
  • コクヨ 有価証券報告書 第73期(2019年12月期)【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
  • コクヨ 有価証券報告書 第73期(2019年12月期)【関係会社の状況】
  • コクヨ 有価証券報告書 第73期(2019年12月期)【セグメント情報】
  • コクヨ 有価証券報告書 第74期(2020年12月期)【追加情報】
  • コクヨ 有価証券報告書 第75期(2021年12月期)【追加情報】
  • コクヨ 有価証券報告書 第76期(2022年12月期)【沿革】
  • コクヨ 有価証券報告書 第76期(2022年12月期)【経営上の重要な契約等】
  • コクヨ 有価証券報告書 第76期(2022年12月期)【連結財務諸表注記】
  • コクヨ 有価証券報告書 第72期(2018年12月期)・第76期(2022年12月期)・第78期(2024年12月期)【主要な経営指標等の推移】。2022年12月期の経常利益と当期純利益は第78期の組替後の値による
  • コクヨ 適時開示「ぺんてる株式会社の株式の買付け方針に関するお知らせ」
  • コクヨ 適時開示「持分法適用関連会社の異動(連結子会社化)に関するお知らせ」
  • コクヨ 適時開示「(変更)ぺんてる株式会社の株式の買付け条件変更のお知らせ」
  • コクヨ 適時開示「(再変更)ぺんてる株式会社の株式の買付け条件変更のお知らせ」
  • コクヨ 有価証券報告書「2019年12月期 企業結合等関係、経営成績等の分析」
  • コクヨ 有価証券報告書「2019年12月期 関係会社の状況、事業の内容」
  • コクヨ 有価証券報告書「2020年12月期 追加情報」
  • コクヨ 有価証券報告書「2021年12月期 追加情報、監査上の主要な検討事項」
  • コクヨ 有価証券報告書「2022年12月期 経営上の重要な契約等、連結財務諸表注記」
  • コクヨ 有価証券報告書「第72期(2018年12月期)・第76期(2022年12月期)・第78期(2024年12月期)主要な経営指標等の推移」

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