買ったのは会員100万人と、ライブドアという名であった。受託制作から抜け出すためにオン・ザ・エッヂに足りなかったものは技術ではなく、自社の名で人を集める力である。常時接続とブロードバンドの普及に前提を崩された会社を、行き詰まった後に引き取り、会社ごとの買収ではなく営業の譲受の方式で会員と接続サービスと名称を取り、その名を自社に付け替えた。創業以来の社名を1年3か月のうちに二度替えた機動性は、この会社の強みであり、同時に輪郭の薄さでもあったと思われる。
ただ、名が集めた人数は、そのまま利益にはならなかった。ポータル事業は一度も黒字化せず、稼いだのは金融部門である。2007年に分離され、2010年に譲渡された株式会社ライブドアは、譲り受けた側の法人から離れて別の資本のもとへ移った。会員基盤を買って社名まで替えた会社が消え、買われた側の名が残る——事業の譲受で本当に引き継がれたのは名であったといえる。