この買収は、37年前に社長が語っていた目標と正確に対応している。1977年、佐治敬三氏は取材の最後にこう述べていた。国産ウイスキーを米国市場へ持ち込む方式は結局とらず、代わりに米国のバーボンメーカーを買う方式で市場そのものを獲得した。手段は違うが、狙った市場は同じである。
もっとも、買った市場をそのまま生かせるかは別の問題として残った。買収の是非は、のれんの償却が終わるまでの長い期間で判定されることになる。加えて、この買収は同社の資本構成にも問いを残した。1977年に佐治敬三氏が非公開の根拠として挙げたのは、ウイスキー事業の設備投資が軽く自己資金と借入で足りることだった。1兆6500億円を投じて有利子負債とのれんを抱えた企業に、その前提はもう当てはまらない。