技術と設備投資
10の経営論点・458事例
技術投資は「輸入技術の量産」から「世界の要所を握る賭け」へ変わった
戦後は東レや日立が欧米から技術を買い、千葉製鉄所や新幹線のような巨大設備で追いつく投資が中心。
ホンダのCVCCや旭化成の電池で自前技術を得たのち、いまはARM買収やテスラとの電池協業で要所を握りにいく。
-
〜1960年代:輸入技術で量産(収録した決断 157件)
デュポンやGE、ウエスチングハウスから技術を買い、川崎製鉄の千葉や東海道新幹線のような巨大設備で量産と国土の基盤を一気に築いた。
- 1951年 東レ 米デュポンと技術提携:ナイロン技術の導入と、自社での生産に踏み出す足がかりの確保
- 1951年 川崎製鉄 千葉製鉄所を建設:製鉄所の新設による、平炉メーカーから銑鋼一貫メーカーへの転換
- 1959年 日本国有鉄道 東海道新幹線の建設:在来線の改良でしのぐ案を退け、広軌の別線に投じる選択
- 1967年 マツダ ロータリーエンジン量産化:外資との資本提携を退けて選んだ独自技術による単独路線
-
1970〜80年代:自前技術の開花(収録した決断 115件)
排ガス規制や石油危機を自社開発で越え、炭素繊維やリチウムイオン電池が生まれた。電力は原発とLNGに巨費を投じた。
- 1971年 東レ 「トレカ」の事業化:炭素繊維を事業に育てる決断と、黒字化まで約40年に及ぶ赤字の引き受け
- 1971年 東京電力HD 福島第一原発の建設:原子力を主力電源に据える選択と、その第一号機の実現
- 1974年 ホンダ CVCCエンジンの開発:他社に頼らない独力開発と、石油危機下での四輪シェア逆転
- 1985年 旭化成 リチウムイオン電池を確立:吉野彰氏による基本構造の確立と、それを囲い込む特許戦略
-
1990〜2000年代:集中投資の明暗(収録した決断 95件)
半導体と液晶は装置への巨額投資が勝負を決め、DRAMから退く会社と亀山や堺に賭ける会社が分かれた。素材ではABFのような隙間の首位が育った。
- 1998年 沖電気工業 DRAM事業から撤退:量産競争から降りたうえでの、半導体事業そのものの売却
- 1998年 味の素 半導体材ABFの育成:食品会社が世界シェア95%超を占めるに至ったパッケージ材事業の育成
- 2000年 キオクシアHD サンディスクとNAND生産で合弁:四日市工場の増産投資を米社と折半し、設備を自前で抱える方式をやめた選択
- 2004年 シャープ 亀山モデルへ集中投資:材料から完成品までを一つの拠点で生産する液晶一貫生産への賭け
-
2010年代〜:要所を買い握る(収録した決断 91件)
ARMの買収やテスラとの電池協業のように、技術と量産の要所を国境を越えて買い、組んで握りにいく。リニアのような自己負担の国家級投資も現れた。
- 2011年 小野薬品工業 米BMSと抗PD-1抗体提携:北米以外・日韓台を除く全世界の開発販売権を委ね、対価をロイヤルティで受け取る道を選んだ
- 2014年 パナソニック テスラとの車載電池協業:ギガファクトリーへの生産設備ごとの踏み込みと、電池の主力の家電向けから自動車向けへの転換
- 2014年 東海旅客鉄道 リニア中央新幹線を自己負担建設:外部資金に頼らない全額自己負担での新線建設という選択
- 2016年 ソフトバンクG 英ARM買収で最大M&A:IoT・AI時代を見据えた3.3兆円という過去最大規模の投資