アマダエイチアンドエフ買収:超大型プレス機と基板穴あけ加工機の2社を続けて取り込む連続取得

更新:

時期 2025年1月
意思決定者(推定) 山梨貴昭 社長
論点 事業領域の拡大手段
概要

2025年、アマダがカナデビア傘下の総合プレス機械メーカー・エイチアンドエフを177億円で、投資ファンド傘下で基板穴あけ加工機を手がけるビアメカニクスを510億円で、相次いで完全子会社化した経営判断。山梨貴昭社長のもとで同社として過去最大級の買収となった。

背景

2024年3月期に過去最高益を出した後、2025年3月期は中国市況の悪化で減益に転じた。アマダは"長期ビジョン2030"と"中期経営計画2025"のもとで、自社のレーザ技術による新領域拡大をe-Mobility・半導体・医療へ広げる方針を掲げ、M&Aによる事業拡大を探っていた。

内容

1月にカナデビアと契約し、500トンの大型から3,000トン超の超大型プレスを手がけるエイチアンドエフを取得。4月にはアドバンテッジパートナーズのファンドと契約し、1968年に日立製作所の工作機部門から独立したビアメカニクスを取得した。実行はそれぞれ5月と7月であった。

含意

1970年代の連続買収が経営不振の同業を引き受ける救済であったのに対し、2025年の2件はいずれも黒字企業で、自社に欠けていた寸法と精度を買っている。2026年3月期は売上・受注とも過去最高となったが、無形資産の償却費などで営業利益は減益に転じた。

筆者の見解

半世紀前の買収と、逆を向いた動機

1973年から1977年にかけて天田勇氏が淀川プレス製作所や園池製作所を系列へ収めたとき、金で買っていたのは工場用地と設備と人であった。新工場を建てるより安く即戦力になるという計算で、相手はいずれも経営不振に陥っていた。2025年の2件は動機が逆を向いている。エイチアンドエフは2024年3月期に209億円、ビアメカニクスは433億円を売り上げており、救済の対象ではない。買ったのは自社に欠けていた寸法、すなわち3,000トンを超える超大型と、ハイエンド基板の微細な穴あけという精度であった。

ただ、687億円という値付けが妥当だったかは、まだ判定できない。2026年3月期は売上と受注が過去最高に達しながら、ビアメカニクス関連の償却費が営業利益を押し下げている。半世紀前の買収は、相手の累積欠損を消して復配させれば成果が目に見えた。領域を金で埋める買い物は、自社のレーザ技術との噛み合わせが差別化商品として現れるまで答えが出ない。板金加工機で貯めた稼ぐ力を成長分野の入場券に換えたその換算率が読めるのは、新中期経営計画が終わる2030年度あたりになるとみられる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

同じ問いに直面した会社

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出典・参考
  • アマダ ニュースリリース 2025年1月24日「総合プレス機械メーカーを買収」
  • アマダ ニュースリリース 2025年4月17日「基板穴あけ加工機のリーディングカンパニーを買収」
  • アマダ 適時開示 2025年3月26日「(開示事項の変更)株式会社エイチアンドエフの株式の取得(子会社化)及び一部事業の譲受に関するお知らせ」
  • MONOist(2026年5月18日)
  • 神奈川新聞(カナロコ, 2025年)
  • アマダ 有価証券報告書(2025年3月期・連結・IFRS)

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