フューチャー リヴァンプ買収でグループ化 連続買収による総合コンサルティンググループ化

更新:

時期 2024年
当時の社長 金丸恭文
論点 事業領域の拡張と総合化
何をなぜ決めたか
概要

2017年から2024年にかけて、フューチャーが製造業向けSI・情報セキュリティ・デザイン・経営マーケティングの会社を連続して買収し、ITコンサルを中核としながら顧客の経営そのものを支える領域まで守備範囲を広げて総合コンサルティンググループ化した経営判断。到達点となったリヴァンプの取得原価は255億3,800万円で、それまでの4件の合計を大きく上回る。

背景

2016年の持株会社化で機能・業種別子会社を統括する骨格は整えたが、ITコンサルとシステム実装だけでは顧客の経営課題を丸ごと引き受けるには守備範囲が狭く、そこへ収める中身が課題として残っていた。

内容

2017年のワイ・ディ・シー(製造業SI・議決権81%)、2018〜19年のディアイティ(セキュリティ)、2022年のネイロ、2023年のキュリオシティ(デザイン)、2024年のリヴァンプ(経営・マーケティングとDX)を順に取り込み、上流の戦略から下流の実装までを一貫して担う体制へ拡張した。

含意

独立系のまま経営とITを一体で引き受ける総合性を得た一方、収益は一貫して本業のITコンサルに集中する二層構造が続き、広げた守備範囲を稼ぐ力に育てられるかは今後の課題として残る。

いつ何が起きたか 8件
筆者の見解
筆者の見解

守備範囲を拡大することと、収益構造を変えること

この連続買収は、単一事業から総合コンサルティンググループへ、という物語として読める。2016年に用意した持株会社の枠組みに、製造業SI・セキュリティ・デザイン・経営マーケティングという中身を、七年ほどをかけて順に収めていった歩みであった。系列に頼らず顧客の経営課題を丸ごと引き受けるという創業以来の発想が、買収の選び方にも通っているようにみえる。ただし、五件の重さは同じではない。ワイ・ディ・シーが2,187百万円、キュリオシティが2,220百万円、ネイロにいたっては企業結合等関係の注記そのものが省かれる規模であったのに対し、リヴァンプの取得原価は25,538百万円である。前の四件が受け皿を試す小さな手であったとすれば、最後の一件だけが桁の違う賭けであった。

その賭けの重さは、貸借対照表の側にも残っている。のれん10,815百万円は15年、顧客関係10,325百万円は17年という長い償却期間が置かれ、総資産は66,043百万円から92,048百万円へ一気に膨らんだ。取得資金200億円は借入で賄われている。翌期の有報では、このふたつの資産の評価が監査上の主要な検討事項として取り上げられた。買った側が十年以上にわたって事業計画の達成を問われ続ける構図である。そして、守備範囲を広げることと、稼ぎ方そのものを変えることは同じではない。ビジネスイノベーション事業のセグメント利益は2024年12月期で381百万円、売上高8,895百万円に対して4%台にとどまり、グループの収益はなおITコンサルティング&サービス事業が支えている。総合化が顧客の経営課題をより深く引き受ける力に育つのか、それとも本業を核とした緩やかな周辺配置にとどまるのか。生成AIへの集中投資という次の一手とあわせて、この総合化の実質はこれから問われていくとみられる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

業績の推移
連続買収の条件

連続買収の条件

科目 概要 備考
ワイ・ディ・シー(2017年1月) 2,187百万円 議決権81%を横河電機から取得。のれん134百万円を6年で均等償却
ワイ・ディ・シーの無形資産配分 1,408百万円 顧客関連資産。償却期間は2年から6年
ディアイティ(2018年9月) 93百万円 持分法適用会社からの追加取得分。段階取得に係る差益19百万円、のれん15百万円
ネイロ(2022年10月) 記載なし 企業結合等関係の注記は省略。取得による支出は現金控除後の純額で509百万円
キュリオシティ(2023年4月) 2,220百万円 議決権100%。のれん846百万円を8年で均等償却。取得関連費用96百万円
キュリオシティの条件付対価 最大660百万円 条件が成立した場合は取得時に発生したものとみなし取得原価とのれんを修正
リヴァンプ(2024年3月) 25,538百万円 議決権100%を現金で取得。取得関連費用はアドバイザリー報酬等229百万円
リヴァンプの企業結合日 2024年3月26日 取締役会決議は1月24日、株式譲渡契約は3月18日。みなし取得日は3月31日
リヴァンプののれん 10,815百万円 今後の事業展開により期待される超過収益力から発生。15年で均等償却
リヴァンプの無形資産配分 10,325百万円 顧客関係(償却17年)。ほかに受注残399百万円(償却1年)
リヴァンプの受入資産・負債 資産21,100百万円・負債6,377百万円 差引14,723百万円。取得原価との差額がのれんとなった
リヴァンプ取得の借入 20,000百万円 三菱UFJ銀行・三井住友銀行から各10,000百万円。2024年3月25日実行、期間7年
リヴァンプを連結した期間 2024年4月1日から12月31日 期首に完了したと仮定した場合の影響額は重要性が乏しく記載なし

出所:フューチャー 有価証券報告書 第29期(2017年12月期)・第35期(2023年12月期)・第36期(2024年12月期)【企業結合等関係】、第36期【経営上の重要な契約等】、第30期(2018年12月期)・第34期(2022年12月期)【連結キャッシュ・フロー計算書関係】

のれんと無形固定資産の推移

フューチャー:のれんと無形固定資産の推移

(百万円) のれん無形固定資産総資産 備考
2019年12月期 1782,48139,039 ディアイティ取得で計上したのれんは15百万円にとどまる
2020年12月期 1382,15149,823
2021年12月期 102,13854,483
2022年12月期 4013,77757,976 ネイロの暫定的な会計処理を第35期に確定し、この期の数値を組み替えた
2023年12月期 1,0835,68466,043 キュリオシティ取得でのれん846百万円と技術関連資産914百万円を計上
2024年12月期 11,16825,49692,048 リヴァンプののれん10,815百万円と顧客関連資産10,724百万円が加わった
2025年12月期 10,47323,25997,491 減損はなく償却が進んだ。のれんと顧客関連資産の評価は監査上の主要な検討事項
のれんと無形固定資産
のれん(百万円)のれん以外の無形固定資産(百万円)

出所:フューチャー 有価証券報告書 第32期・第34期・第35期・第37期(連結貸借対照表)

ITコンサルティング&サービス事業の推移

フューチャー:ITコンサルティング&サービス事業の推移

(百万円) 売上高セグメント利益 備考
2019年12月期 37,3406,261 売上高は外部顧客への売上高
2020年12月期 35,4364,900
2021年12月期 39,1608,925
2022年12月期 45,48712,910
2023年12月期 50,75013,705
2024年12月期 60,79814,538 リヴァンプの損益を第2四半期から取り込み、セグメント計の売上は19.8%増
2025年12月期 67,44516,381
ITコンサルティング&サービス事業の売上高と利益率
売上高(百万円)セグメント利益率(%)

出所:フューチャー 有価証券報告書 第32期・第33期・第35期・第37期(セグメント情報等)

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参考文献
出典・参考
  • フューチャー 有価証券報告書 第37期(2025年12月期)【沿革】
  • フューチャー 有価証券報告書 第36期(2024年12月期)【企業結合等関係】【経営上の重要な契約等】
  • フューチャー 有価証券報告書 第35期(2023年12月期)【企業結合等関係】【重要な後発事象】
  • フューチャー 有価証券報告書「第36期(2024年12月期)【企業結合等関係】【経営上の重要な契約等】」
  • フューチャー 有価証券報告書「第35期(2023年12月期)【企業結合等関係】【重要な後発事象】」
  • フューチャー 有価証券報告書「第29期(2017年12月期)【企業結合等関係】」
  • フューチャー 有価証券報告書「第30期(2018年12月期)・第34期(2022年12月期)【連結キャッシュ・フロー計算書関係】」
  • フューチャー 有価証券報告書「第32期・第33期・第35期・第37期(連結貸借対照表・セグメント情報等)」
  • フューチャー 有価証券報告書「第37期(2025年12月期)【監査上の主要な検討事項】」

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