この経営判断の核心は、成長の踊り場で直面した生産能力の限界を、新工場でなく不振同業の買収で埋めた点にある。地価の上昇と機械業界の景気循環を前に、土地と設備を自前で抱える危険を避け、すでに用地・設備・人を持つ企業を安く取り込んで即戦力に変えた。相手のメンツを重んじ、買い占めを避けて話し合いで経営権を得るという日本的な作法は、ドライな買収が根づきにくい風土を逆手にとった選択だったのだろう。
それを可能にしたのは、不況の教訓から築いた無借金・自己資本経営であった。含み資産の乏しい会社が同業を次々に買えたのは、財務の健全さが買い手としての信用を支えていたためである。不振企業を組織的に再生させ、生産を分業で集約して規模を拡大するこの型は、今日でいう再建型のロールアップにも重なる。もっとも、買収に頼る拡大は、再建の巧拙と本業の景気に成否を左右される。財務の余力があるうちに次の成長の受け皿をどう組むか——1970年代のアマダの選択は、その問いを早くから経営の中心に据えていたといえる。