最高益のただ中で異分野を買い集めた動きは、余裕のある会社の分散投資のようにも映る。だが芯にあるのは、余裕ではなく記憶だとみられる。装置を売って終わる収益は、2010年2月期に売上を9割方失い経常損失に転じたとき、その脆さを一度さらしている。受注が減少すれば利益がそのまま痩せる構造を身をもって知っているからこそ、業績が跳ねている今のうちに、保守や研究受託のように循環に左右されにくい収益源を周辺へ仕込んでおく——イアスの分析・洗浄も、ジェノスタッフの研究受託も、その延長にあると推察される。
もっとも、仕込んだ多角化がすでに実を結んだとは言い難い。ライフサイエンスは2018年2月期に連結売上の1%に満たず、その後も本体を補う主力事業には距離がある。米Nanoverseも2022年設立の新興で、装置が量産に移行するかは先の話にとどまる。4件のM&Aは事業の輪郭を広げたが、収益の第二の柱と呼べるところまでは育っていない。装置売り切りの弱さに備えた布石が効くかどうかは、次に半導体投資が減少する時期まで測れないのかもしれない。