上場のメリットとして会社が真っ先に書いたのは、調達額でも知名度でもなく、金融機関の資産査定であった。上場して安定した配当を続ければ、自社の保証が付いた案件は優良保証に分類され、提携先は引当金の負担を軽くできる。7兆円を保証していながら、非上場のままでは保証の確からしさを相手に説明する手立てが乏しかった。80億8,000万円という調達額は、735万株の新株を出した対価としては小さい。この上場で買ったものは資金というより、保証を売るときに提示できる格であったとみられる。
ただし、その格は無償ではなかった。優良保証として扱われる条件が上場と安定した配当の継続である以上、配当を絞れば営業条件のほうが傷む。住宅市場が縮む見通しは上場申請の書類自身が認めていたことで、そのなかで残高と利益を伸ばし続ける立場を自ら選んだ形になる。2009年に1株53,000円で株を引き受けた投資事業組合と生命保険会社は上場後に持分を減らし、2014年3月末には外国法人等が25.77%を占めた。静かな非上場会社が、四半期ごとに数字を問われる会社へ変わった代償ともいえる。