全国保証の直近の業績・経営課題と展望

全国保証の直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望

2025/3売上高570億円YoY+10.3%
2025/3営業利益420億円YoY+7.3%
2025/3経常利益445億円YoY+7.1%
2025/3親会社株主に帰属する当期純利益321億円YoY+11.4%
2025/3自己資本比率48.5%YoY+0.2pt
2025/3有利子負債合計300億円
2025/3現金同等物期末残高924億円YoY+19%
経営トップ青木裕一代表取締役社長
2025/3従業員数369前年比+38人
2025/3平均給与809万円前年比+22万円
歴史的背景1981年に東京都千代田区大手町で創業した全国保証は、厚生年金転貸住宅融資保証から始まり、1997年の民間金融機関住宅ローン保証参入を主力事業の起点として、独立系信用保証専業会社として全国営業網を整備した。2012年に東証一部直接上場、2022年にプライム市場へ移行し、保証債務残高はFY21時点で15兆円規模に到達した。
経営課題人口減少と若年層の住宅取得意欲の低下、フラット35の固定金利優位性によるシェア拡大、ネット銀行系住宅ローンの価格競争という3方向からの圧力で、本業の住宅ローン保証市場の縮小が中期的に進行する局面にある。連結営業利益率73.7%・経常利益率78.1%という極めて高水準の収益体質をどう持続させるかが当面の論点。
経営方針青木裕一社長(FY22〜現任)は、地方信用保証会社の連続買収による全国シェア拡大と、カードローン・教育ローン・カード関連事業への商品領域拡張で、本業の住宅ローン保証市場縮小への対応戦略を進める。石川英治会長との二人三脚で、創業以来の独立系信用保証専業会社としての中立的位置づけを維持する経営方針を採用している。
主な投資2023年4月の東日本保証サービス子会社化、2024年7月のちば興銀カードサービス子会社化、2025年2月の三重総合信用・東北保証サービスの同時子会社化が直近の主な事業投資。2022年6月の四国総合信用との資本業務提携契約締結も含め、地方信用保証会社の連続買収・連携が青木裕一社長体制での明確な戦略軸となっている。

地方信用保証会社の連続買収戦略と住宅ローン市場縮小への備え

2022年6月の代表取締役会長・社長交代以降、全国保証は地方信用保証会社の連続買収を急加速させた。2023年4月の東日本保証サービス子会社化(2024年3月に筑波信用保証が吸収合併)、2024年7月のちば興銀カードサービス子会社化、2025年2月の三重総合信用・東北保証サービスの同時子会社化と、ほぼ毎年1〜2社のペースで地方信用保証会社を取り込む連続買収を進めている。地方信用保証会社は地銀・第二地銀・信用金庫・労働金庫といった地元金融機関との独占的・優先的保証契約を持つことが多く、買収による営業権の取得が直接的な収益寄与をもたらす構造である。各買収先の保証残高を本体に集約することで、グループ全体の保証債務残高(FY24時点で約16兆円水準)をさらに拡大する戦略となる。

連結業績はFY22以降、3期連続で増収増益を続けた。連結営業収益はFY21(2022年3月期)の488億円からFY22 503億円、FY23 516億円、FY24(2025年3月期)570億円へ拡大、連結経常利益はFY21 405億円・FY22 415億円・FY23 416億円・FY24 445億円、親会社株主帰属純利益はFY21 278億円・FY22 286億円・FY23 288億円・FY24 321億円と、創業以来最高水準の収益を更新する局面が続いた。連結営業利益率73.7%・経常利益率78.1%・純利益率56.3%(FY24)という極めて高水準の収益体質は、住宅ローン保証専業会社という特殊な事業構造が生み出す収益特性を反映している。

日本の住宅ローン市場は、3方向の圧力に直面している。第一に人口減少と若年層の住宅取得意欲の低下で、新築住宅着工戸数は2010年代後半以降の縮小トレンドが継続している。第二にフラット35(住宅金融支援機構の固定金利住宅ローン)の固定金利優位性が、金利上昇局面で再評価され、民間金融機関の住宅ローンシェアを圧迫する構造が顕在化しつつある。第三にネット銀行系住宅ローン(住信SBIネット銀行・auじぶん銀行・PayPay銀行等)の価格競争が、地銀・第二地銀の住宅ローン金利を圧迫し、保証料収入の単価を低下させる圧力となる。これら3方向の圧力に対し、全国保証は地方信用保証会社の連続買収による全国シェア拡大と、カードローン・教育ローン・カード関連事業への商品領域拡張で対応する戦略を採用している。

創業以来44年継続した独立系信用保証専業会社が、住宅ローン市場の縮小局面でどう成長を継続させるかが、青木裕一社長体制の現在進行形の経営課題である。地方信用保証会社の連続買収戦略は、短期的には連結保証残高の拡大と収益寄与をもたらす一方、地方住宅ローン市場の縮小トレンドそのものを反転させる効果は持たない。中長期的には、住宅ローン保証以外の領域(カードローン・教育ローン・事業者保証・賃貸保証等)への商品領域拡張が、本業の縮小局面における収益基盤の代替源として重要性を増す局面となる。2018年12月のYUTORI債権回収子会社化(現あけぼの債権回収)以降の連続買収戦略が、信用保証グループの規模拡大と商品領域拡張の両面で次代の経営基盤を構築できるかが、創業45年目を迎える全国保証の構造論点となる。

全国保証の業績推移直近10ヵ年・有価証券報告書をもとに作成(XBRLよりデータ取得)

項目単位FY152016/3単体 / JGAAPFY162017/3単体 / JGAAPFY172018/3単体 / JGAAPFY182019/3単体 / JGAAPFY192020/3単体 / JGAAPFY202021/3単体 / JGAAPFY212022/3単体 / JGAAPFY222023/3連結 / JGAAPFY232024/3連結 / JGAAPFY242025/3連結 / JGAAP
損益計算書 (PL)
売上高YoY億円319+8.2%359+12.5%396+10.2%432+9.1%452+4.6%478+5.8%488+2.1%503+2.9%516+2.7%570+10.3%
営業利益YoY億円251+12.3%281+12.0%312+10.8%342+9.8%354+3.4%382+8.1%395+3.2%399+1.0%391−2.0%420+7.3%
経常利益YoY億円263+9.1%290+10.3%320+10.3%352+10.0%358+1.7%390+9.0%406+4.0%415+2.2%416+0.3%445+7.1%
当期純利益YoY億円172+13.8%191+11.2%221+15.3%241+9.4%244+1.2%270+10.5%278+3.1%286+2.7%288+0.7%321+11.4%
貸借対照表 (BS)
自己資本比率%31.534.236.839.538.941.946.448.248.5
有利子負債比率%8.07.66.86.46.1
キャッシュフロー (CF)
営業CF億円261330349328298302293287313334
投資CF億円2369-292-34227-143-380-360-5606
財務CF億円-33-38-43-55233-65-85-92-103-193
従業員
連結従業員数317331369
単体従業員数238255260256257258271278292305
平均年収(単体)万円701718718728756787809

IR資料直近5ヵ年

決算説明会資料

FY報告資料の種別見所リンク調査時点のURLのため、現在は有効ではない可能性があります
FY25決算説明会2025年3月期通期決算。独立系住宅ローン保証最大手としての提携金融機関拡大と保証残高積み上げ、新中期経営計画「Next Phase」の進捗を整理。

アニュアルレポート / 統合報告書

FY報告資料の種別見所リンク調査時点のURLのため、現在は有効ではない可能性があります
FY26ディスクロージャー誌最新ディスクロージャー誌。独立系住宅ローン保証最大手としての事業構造、提携金融機関ネットワーク、保証残高推移、リスク管理体制を整理。
FY23統合報告書2022年版統合報告書。「日本で唯一の独立系住宅ローン保証会社」としての競争優位性を整理、地域金融機関との提携拡大と保証残高成長による継続成長戦略を提示。

参考文献・出所

全国保証有価証券報告書
全国保証決算短信