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高付加価値への転換
高付加価値への転換は、品揃えに高い商品を足すことでは達成されていない。安く買う顧客を手放し、高く払う顧客へ入れ替える決断として実行されてきた。雪印乳業が「雪印」商標を制定したとき、産地相場で売られていたバターは名前で選ばれる商品に変わる。資本自由化を前に、コマツはマルA対策で品質へ集中し、キャタピラーへ性能で対抗した。円高が採算を削った1978年、シマノは値引きを拒み高付加価値部品と海外直販へ転じる。石油危機後の汎用品過剰には、三井化学が浮島集約と超石化転換を掲げ、三菱瓦斯化学はBT樹脂で機能化学品へ主力を移した。キーエンスは利益率2割の自動線材切断機事業を譲渡し、日東電工は大型偏光板の技術を供与して量販価格帯から離脱した。数量を守るために価格を下げず、数量を減らしてでも単価を上げる。この入れ替えが、人口の減る国内市場で利益を残す条件になった。
財務諸表のどこを見るか
「生産、受注及び販売の状況」から入る。品目別の販売高と数量が併記されていれば除算で平均単価が求まり、増収が単価と数量のどちらに由来するか判別できる。続いてセグメント情報で、構成比を落とした事業の営業利益率が本当に低かったかを確かめる。高付加価値化は費用の側にも出るため、研究開発費の売上高比率と、無形固定資産に計上された商標権・特許権の残高を追う。手放した事業は事業譲渡益や減損損失として特別損益に立つので、その注記で退出の対価も読める。
2020年代
人月単価の役職別一律化 顧客ごとの個別交渉をやめ、一律の基準で価格を決める仕組みへの転換 量から質へ転換 実質減収の決算を受け入れてでも収益性を優先する方針の選択 DUNLOP商標権を取得 グッドイヤーからの欧州・北米・オセアニアの権利の買い戻しと、基幹ブランドのFALKENからの入れ替え 小林一俊の中国事業整理 中国生産子会社の持分譲渡と、在庫処分・店舗整理 バリュープライシング転換 相次ぐ価格改定の実施と、値付けの考え方そのものの組み替え OCIと合弁でマレーシア再進出 折半出資による半導体用多結晶シリコン生産の再開と、ベトナム子会社の設立 麻布台ヒルズの開業 虎ノ門・麻布台地区の開発区域拡大 UBEへ改称 祖業セメントの連結除外と、社名の書き換えを揃えた事業構成の転換 パーソナルケア事業の売却 日用品の一角を手放すことによる、事業の重心の絞り込み
2010年代
3COINSのリブランド 大型店化と品揃えの拡張による、300円均一からの脱却と再成長 グロンサン等ブランド譲渡 売上規模の拡大を目標から外す方針転換と、ブランドの選択と集中 杭州錦江集団へ技術供与 大型偏光板技術の外部提供と、ボリュームゾーンからの離脱 グランドセイコーの独立ブランド化 日本発ラグジュアリーへの転換 Peroni・Grolsch取得 欧州プレミアムビール4社の取り込みと、高価格帯ブランドの獲得 「ビオラル」業態の創出 価格ではなく有機・自然派で選ばれる売り場を、店・商品・調達の三層で自前に抱える UNITED TOKYO業態開始 海外輸入が主流の業界での逆張り——全量国産・高原価率の自主企画SPA 米Vaupellの買収 川澄化学工業の子会社化と併せた医療機器・航空機部品事業の構築 知多にアーク炉新設 150トン級の大型炉導入による、高付加価値鋼へ向けた設備の作り替え
2000年代
三菱レイヨンの子会社化 総額約2100億円を投じた公開買付けによるグループへの取り込み JSWスチールと提携 インド市場への足がかりとしての、地場鉄鋼会社との包括的な協業 ReFaの発売開始 美容ローラーを起点としたブランド開発企業への業態転換 LE事業への限定 移動機能付き抗重力・空間作業機械への事業領域の絞り込みと、多角化の不採用 三菱樹脂の完全子会社化 株式交換による取り込みと、機能商品の持株会社直下への集約 ソーテックの子会社化 パソコン事業への参入と、量販店向け販売からの撤退 石油化学製品へ生産転換 ガソリン依存からの脱却と、10年2000億円を投じる製油所改造 ジェットストリームの発売 摩擦を半減させた油性ボールペンの発売と、芯を固定した軸展開によるシリーズ化 みずほと資本非関与提携 大手銀行の傘下に入らず、業務面の連携にとどめた独立路線の堅持 広州鋼鉄と合弁生産 無名の地場企業と組んだ中国での自動車用鋼板の現地生産と垂直分業 「Brillia」へブランド統一 郊外マンション分譲への参入と、市場別5ブランドの一本化