森ビル 麻布台ヒルズの開業 虎ノ門・麻布台地区の開発区域拡大

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時期 2017年9月
論点 合意形成に要する時間と、開業時期の選び方
何をなぜ決めたか
概要

1989年の街づくり協議会設立から約300人の権利者と30年にわたって議論を重ね、当初4.2ヘクタールだった開発区域を約2倍の8.1ヘクタールへ広げて一体開発に持ち込んだ経営判断。2017年に国家戦略特区法に基づき都市計画決定され、2023年11月24日に麻布台ヒルズが開業した。

背景

計画地は東西に細長く高低差が大きい地形で、敷地は細分化され小規模な木造住宅やビルが密集していた。1993年2月に虎ノ門・麻布台地区市街地再開発準備組合が設立されたものの、権利者は区分所有者を含めて300人以上に及び、都市計画決定までさらに四半世紀近くを要した。

内容

隣接する麻布郵便局や外務省飯倉公館との一体開発を進めて区域を8.1ヘクタールへ広げ、高さ約330メートルの森JPタワーを含む3棟を建てた。総事業費は約5800億円と六本木ヒルズの約2700億円の2倍を超え、大型ビルの竣工が集中する2023年に開業を迎えている。

含意

2024年に入るとオフィス市況が反転し、ベイカレントの本社やマツダのR&Dセンターが入居して床は埋まっていった。

いつ何が起きたか 8件
筆者の見解
筆者の見解

区域を広げた30年と、開業の年

4.2ヘクタールのまま建てていれば、開業はもっと早く来ていたかもしれない。東西に細長い敷地に巨大な超高層を置くのは難しく、森ビルは隣接する麻布郵便局や外務省飯倉公館を取り込む道を選び、開発区域は約2倍の8.1ヘクタールになった。1989年の街づくり協議会から数えて30年、約300人の権利者と議論を重ねた末に得たのが、高さ約330メートルという床の量であったのだろう。

ただ、その時間の代償は開業の年に集中して現れた。竣工が重なった2023年に都心のオフィスは供給過多となり、主要テナントと目された企業は移転を凍結する。工事を請け負った清水建設は上場来初の営業赤字に転落し、三井住友建設は15カ月の工期遅延と534億円の損失を計上した。床が埋まったのは開業から1年以上あとで、街区の完成と市況の回復が同じ年に来る保証はどこにもなかったといえる。

Yutaka Sugiura, 2026年8月

業績の推移
同じ問いに直面した会社

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高付加価値への転換2006年新日本石油ガソリン依存からの脱却と、10年2000億円を投じる製油所改造国内需要の縮小を前提とした製油所の生産構成
2023年トクヤマ折半出資による半導体用多結晶シリコン生産の再開と、ベトナム子会社の設立多結晶シリコンの海外生産の再開と組み方
2013年大同特殊鋼150トン級の大型炉導入による、高付加価値鋼へ向けた設備の作り替え主力工場の設備更新と製品構成の高付加価値化
1959年三菱地所策定と、赤煉瓦街から9階建てビル街への建て替え丸ノ内の街区単位の建て替えと、建物の高さの扱い
1926年雪印乳業品質と冷蔵物流への投資による、道産バターを名前で選ばせる商品への転換ブランド確立と品質・物流投資
大型設備投資2021年日本ガイシ製造装置用部材を柱に据えたデジタル社会領域への事業構成の組み替え主力事業の転換と次の柱の選定
2015年ネクステージ大型ワンストップ店フォーマットへの転換と、借入による規模拡大店舗フォーマットと成長の資金構造
2015年住友商事リスク回避路線からの転換と資源投資の膨張が招いた3,103億円の損失計上資源投資とリスク管理
2014年三菱倉庫日本橋の物流拠点を建て替え、賃貸オフィスとして収益を得る形への切り替え都心用地の活用と不動産事業の拡充
2007年キオクシアホールディングス回路線幅を細める微細化の延長を捨て、メモリセルを縦に積む3次元構造へ主力技術を移した選択微細化の限界を見越したNAND型フラッシュメモリの技術転換
参考文献
出典・参考
  • 森ビル「麻布台ヒルズ 開発経緯」
  • 森ビル「麻布台ヒルズ 施設概要」
  • 日経ビジネス 1995年8月7日・14日号

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