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価格政策
価格政策の歴史は、値段を誰が決めるかの移動として読める。戦前は業界が決めた。日本セメントはセメント連合会を創設し、生産・販売数量と最低価格を協定で取り決めている。戦後はメーカーが決める。資生堂はチェインストア方式で店と流通を束ね、定価を守らせる仕組みを全国に敷いた。この構図はデフレで反転する。日本マクドナルドはハンバーガーの値下げを断行して客数を取りにいき、ファーストリテイリングは自主企画品の売価を毎週変更して在庫を残さず売り切った。資生堂自身も再販売価格維持を撤廃し、値付けを売り場へ渡す。証券手数料の自由化では松井証券のボックスレートが9割引まで進み、SBIホールディングスはゼロ革命で国内株式の手数料そのものを手放した。資源高と人手不足が続く現在、ヤマトホールディングスの27年ぶりの宅急便値上げのように、売り手が値段を決める側へ戻っている。
財務諸表のどこを見るか
経営者による経営成績の分析で、増収の内訳が価格改定と数量のどちらに帰属すると説明されているかを読む。値上げが通ったかどうかは、単価上昇を販売数量の減少が打ち消していないかで判定する。値引き・リベートは変動対価として売上高から控除されるため、総額だけでは値付けの実態がつかめない。収益認識に関する注記の収益の分解情報で品目別・地域別の内訳を取り、契約負債の残高も併せて確認したい。転嫁の成否は、売上原価の上昇を売上高が追い越せているかを示す売上高総利益率に最も早く出る。
2020年代
英パリサーのABF要求 株主が突きつけた「価値向上プラン」と、事業価値の顕在化を迫る圧力 人月単価の役職別一律化 顧客ごとの個別交渉をやめ、一律の基準で価格を決める仕組みへの転換 中長期成長戦略2030策定 売上成長を追うのをやめ、主力4ブランドへの絞り込み 東名阪184店の価格改定 立地に応じて値段を変える形への改定と、長く続いた全国一律価格の放棄 バリュープライシング転換 相次ぐ価格改定の実施と、値付けの考え方そのものの組み替え 「ゼロ革命」で手数料無料化 オンラインの国内株式売買手数料を手放し、金融収益と口座数で取り返す 河合映治の100円均一維持 値上げに踏み切らず、価格を据え置いたまま需要をつなぎ止める選択 セメント価格を値上げ 石炭高騰下での1トン2,000円級の値上げの反復と、生コン向け取引慣行の見直し セメント価格を値上げ 石炭サーチャージ制度の導入表明と撤回を経た、1トン3000円の直接転嫁と収益重視への価格政策の転換
2010年代
宅急便運賃の全面値上げ 27年ぶりの価格改定と取扱総量の抑制による収益の立て直し 阿部義之への社長交代 上場直後の減益を受けた社長交代と、採用数と単価を同時に上げる成長モデルへの転換 ずっともプランで電力参入 電力小売全面自由化に合わせた家庭向け低圧電力販売への参入とガス・電気のセット販売 未完成のまま先行公開 課金機能を欠いた会計ソフトの投入と、その空白を「無料期間」と呼ぶ選択 eコマース革命で出店料無料化 出店料収入を自ら手放すことと引き換えの、収益構造そのものの転換 「一日信用取引」導入 デイトレード限定の商品投入による、委託手数料に依存しない収益構造への移行 アマゾンジャパン取引を縮小 大口顧客の宅配取引の絞り込みと、配送単価の維持を優先する選択 川内1・2号機の再稼働申請 全原発停止下での家庭向け料金値上げと、原子力復帰を先頭に据えた収支の立て直し 上西京一郎の入園料引き上げ 入園者数の成長から客単価の成長への転換と入園料の段階的な引き上げ
2000年代
1990年代
「ボックスレート」導入 定額制手数料への転換と、当初案7割引から9割引への引き下げ 武井保雄が敷いた170万円上限 無人契約機での1口座50万円上限の維持と、一人あたり 小島賢蔵のリボ金利値下げ リボ払い金利を業界最低の16.8%へ——利息制限法を自ら割った先回りの値下げ 再販価格維持の撤廃 定価を守る仕組みを捨て、価格決定を売り場に委ねる転換 GOA車専用保険の開発 自動車メーカーの依頼に応じた、メーカー主導の商品設計の受け入れ 外交営業の否定 広告・電話営業への転換、株式保護預り手数料の無料化 PB衣料の毎週売価変更 自主企画品の比率を8割に引き上げ、在庫を残さず売り切る体制の確立 ハンバーガー価格破壊 値下げの断行と、低価格で客数を取りにいく路線への転換 村田泰隆の円建て統一 輸出取引の円建てへの統一と、生産設備まで自前で開発する国内生産の維持 「ガスト」へ全店転換 客単価760円の新業態への全店転換と、原点ブランド「すかいらーく」の廃止