低価格帯への参入とだけ読むと、この判断の順序を取り違える。ケイアイスター不動産が先に決めたのは商品ではなく客であった。世帯収入300万円から500万円台という帯を定め、そこから逆算して本体870万円という価格を置き、100種類以上の規格プランはその価格を守るための手段として用意された。自由設計の"ケイアイカーザ"を別立てにしたのも、価格の異なる客を一つの商品で追わないためだったと思われる。
もっとも、投入から数年の注文住宅事業は会社を牽引する規模ではなかった。2016年3月期の売上高は46億円で前期より減少し、分譲住宅事業の294億円には遠く及ばない。フランチャイズ第一号の契約も6年後の2015年5月であった。それでも棟数を保ったまま営業利益を71.0%伸ばしたことは、価格を下げても利益が残る作り方の裏づけになった。後の全国展開が加盟から子会社化へ進む型を取れたのも、この検算が先にあったからなのだろう。