"デフレへの対応"でこの転換を片づけるのはたやすい。だが、それではなぜ黒字で稼ぐ看板を自ら廃止したのかが抜け落ちる。すかいらーくは倒れかけていたのではなく、減益下でも主力として利益を生んでいた。その業態を、体力の残るうちに客単価760円のガストへ塗り替え、原点の名まで外したところにこの判断の芯がある。全面転換の発表は実験店が結果を出す前の宣言であり、創業者が単独で腹をくくれる会社の形が、その見切り発車の速さに表れている。
もっとも、この転換を正解と呼べるのは、その後の反転を知っているからにすぎない。セルフサービスへ振り切ったガストの現場は、予想以上のサービス低下を招いた。看板の全廃も、掲げた1996年ではなく2009年までずれ込んでいる。それでも、まだ稼げるうちに次の業態へ転換し、原点の名すら惜しまなかったことが、危機のたびに看板を作り替えるこの会社の体質を表しているといえる。